別れる勇気が出ないのはなぜ? 別れを決断するための心の準備とは
彼氏や彼女との別れを考えた時、勇気が出ないことってありますよね。30代・40代ならなおさらです。好きだけど別れないといけない場合もあるでしょう。コラムニストのマドカ・ジャスミンさんが分かれる勇気が出ない理由と勇気を出すための方法を教えます。
私は交際していたパートナーと、付き合った当初から別れる別れないを繰り返し、時には周囲を巻き込み、各方面に多大なる迷惑を掛け続け、別れるまでに約2年4カ月もの時間を要した。
別れてからの率直な感想としては、「なぜ早く別れなかったのだろう」と、軽い自己嫌悪に陥ったものだ。
別に元パートナーのことを揶揄しているのではなく、結局そこそこ以上に相性が悪かったということ、交際直後から既に相性の悪さに薄々気付いていたことを無視し続けた結果なのだということに合点がいったのである。
「別れるには勇気が必要」という表現があるが、私にとっては、別れることに必要なのは、「勇気」ではなく「悟り」であったらしい。
とはいえ、世の中の女性たちは、別れを考えたとき、なかなか勇気が出ないことで悩んでいるそうだ。
そこで、私の経験したフィルターを通し、「別れる勇気」について語っていこうと思う。
別れる勇気が出ない4つの理由
人はなぜ別れる勇気が出ないのだろうか。私が思う理由をいくつか挙げてみる。
(1)大きな変化への恐れ
人間はそもそも変化を嫌う生き物で、「今の彼氏とも何かのきっかけがあれば、きっと変わるはず」と思い込み、ズルズルと関係を続けてしまう。
また、同棲していると、彼氏名義の家に住んでいたり共有している所有物があったりする。
別れるとなると、そういったものが全て白紙となり生活環境がガラリと変わる。それは別れを切り出す最後の一歩をかなり重くするものだ。
(2)ペット問題
こちらも同棲していると、もし彼氏との間に迎えたペットがいた場合、それはまさに二人の子どものような存在である。親権などの制度は無くとも気持ちはそうはいかない。
特に都心ではペット可能物件の母数がそもそも少ないので、引き取った後の引っ越しを考えると、困難が立ち塞がる可能性も……。
(3)自分の年齢
20代中盤以降だと結婚や出産も視野に入れ出す人が多く、その時期に彼氏と別れたとすれば、「次の相手を見つけられるか」などの恐さもはらむ。それで焦って精神的に不安定になるなんてことも無きにしもあらず。
(4)0から新たな愛を作ることが億劫
新しい関係性を0から作る気力や体力はすさまじいものだ。それについて考えると二の足を踏んでしまう。
また、新たな関係を築いたとして、その後、お互いの価値観をすり合わせるのも大変体力がいることだ。
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別れを切り出す前に考えるといいこと
まずは別れる勇気が持てない理由をどうにかしないことには、先に進めない。では、第一段階として、別れを告げる前に何をしておくべきなのだろうか。
(1)お金の工面をしておく
新しい生活を送るにはお金が必ず必要になってくる。もし同棲をしていた場合、解消して一人暮らしをするなら、家賃や生活費が途端に倍になってくる。
自分のことを守れるのは自分しかいないということを考えて、準備をしておくことが必要だ。
(2)ペットをどうするかを決めておく
先述した通り、ペットの有無は住環境やどっちが引き取るかなど、子どもの親権争いのようにこじれる可能性がある。
別れを切り出す前、もしくは切り出すタイミングではっきりさせた方が良い。
(3)絶対にヨリを戻さない意志を固める
それなりの理由があって別れを決意したのだから最後までブレずに断ち切ることが重要だ。もしかして、次こそは何かが変わるかも……と信じてヨリを戻したとしても、結局は変わらないことの方が多いのだから。
(4)友人や家族などに別れることを言っておく
外堀を埋めることも大事なポイントだといえる。
人間というものは弱い生き物だ。誰であろうと意志がブレたりするものだ。だからその意志がブレないように外堀を埋めてしまうことで甘えを無くす必要がある。
別れる勇気を出すための心の準備
別れを告げる前の物理的な準備ができたら、次は心の準備。彼氏に別れを告げる勇気を出すために、私たちは気持ちをどう整理すればいいのだろうか。
(1)何が大事かを見つめ直す
愛情ではなく惰性でその人と付き合い続けるより、自分にとって何が大事かを見つめ直すことが重要だ。
人生は思ったよりも短いので、限られた時間を無駄にしないという意志を持つことが別れを切り出すきっかけになり得るかもしれない。
(2)恋愛観について再考する
本来は尽くしてほしいタイプなのに尽くしてしまう……など、今付き合っているパートナーとの関係性にボタンの掛け違いがあれば精神的に磨耗していくのは当たり前。
世間や周囲の意見はどうであれ、自分にとっての健全な恋愛とは何なのかを考え直せば、おのずと大切なことが見えてくるはずだ。
(3)負のサイクルを断ち切る
不幸になる状況に身を置いていると、さらなる不幸を招く。いわゆる負のサイクルだ。
相手との関係を終わらせたいとグルグルと考えているうちは、ネガティブに寄っている現状のはず。別れを切り出した瞬間はつらいだろうが、思い切ってその関係を断ち切ることが、負のサイクルを断つことにつながると考えるのだ。
(4)一瞬でも別れたいと思ったら別れのサインだと知る
はっきり言って、一瞬でも別れたいと思ったのなら、気持ちは別れに向いている。愛情表現を素直に、明確に抱けていれば、多少の痴話げんかなどはあっても、別れを考えもしない。
一瞬でも「別れ」が脳内に浮かんだとしたら、ぐちぐち悩むよりさっぱりと髪を切るみたいに別れた方が吉。いや、大吉。
別れて良かったと思うこと
冒頭で話した通り、私はパートナーと別れて良かったと思っている人間だ。では、どんなことが「良かったこと」なのか。いくつか挙げてみる。
(1)重荷が消えた
相手の経済状況や生活、将来に対する心配が無くなり、自分のことだけに感情や気持ちを向けられるので心が軽やかになる。二人の間に生じていた「責任感」からの解放ともいえるだろう。
(2)頭の中の容量が増えた
ストレージ容量の空きが増えるかのように、これまで相手がいたことでできなかった物事に没頭でき、新しい何かをインプットすることができるようになる。
先述した「責任感」に似た思い込みは、自分のキャパシティを狭くする要因の一つでもあったのだ。
(3)ありとあらゆる「好き」を思い出せる
パートナーがいると、多少なりとも相手の好みに合わせ、自分の中に本来あった「好き」にふたをしてしまったり、もしくは迎合することで「好き」を見失っていたりもした。
だけれど、別れることによってふたや迷いが消え、感情や感覚が広がっていくという大きなメリットもあった。
(4)友達とのコミュニケーション時間が増えた
パートナーがいると、パートナーファーストになりがち。別れることでその時間を他の人間関係に充てることができ、自分は恋愛をしていなくとも恵まれていると再実感した。
自分は独りじゃない。そう思えること、思わせてくれる人たちへ感謝する他ない。
(5)魅力的な人たちを再確認できた
私は特に付き合っていると、世界の中心がパートナーや恋愛になりがちだ。
当たり前だけど、周りには他に面白く魅力的な人がいるし、全ての人を恋愛の枠の中だけで接するのは少し惜しいとも感じるようになった。
自分と相手の幸せを一番に考えて
ギスギスし、依存や執着で関係性を続けるよりも、きっぱりと別れを選択することが愛情の一環とも思えてならない。
何かを得るには何かを失わなければならない。等価交換の摂理……と言いたいところだが、別れはお互いに得るものしかないと、私は思う。
相手の幸せを考える、思いやることが実は自分を幸せに導く方法の一つなのかもしれない。
(マドカ・ジャスミン)
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