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「引け目を感じる」の意味や心理とは? 対処法を解説

高見綾(心理カウンセラー)

自分と他人を比べ、「引け目」を感じて落ち込んでしまう。そんな経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか? 今回は、そんな「引け目を感じる」という言葉の意味とそのときの心理、対処法について、心理カウンセラーが解説します。

自分と他人を比べて落ち込んでしまうことってありませんか? 自分の方が劣っているような気がすると、自信がなくなってしまいますよね。

ではなぜ、そういった引け目を感じてしまうのでしょうか。その心理を詳しく解説します。

また、ネガティブな気持ちを立て直していく方法についても紹介します。

1_導入

「引け目」の意味

2_引け目の意味

「引け目」には、

1.自分が他人より劣っていると感じること

2.自分で意識している弱み・欠点

3.目立たないように、自分の言動などを抑えること

4.穀類・液体などを他の容器に移すとき量目が減ること

などの意味があります(出典:小学館『デジタル大辞泉』)。

この記事では、「自分が他人より劣っていると感じること」と定義して解説をしていきます。

現代はSNSの発達で、他人の仕事や暮らしぶりが情報として入ってきやすくなっています。

収入、仕事、恋愛、家族など、あらゆることが比較対象となります。「あの人はいいなぁ。それに比べて私は……」と、うらやましさや悔しさなどが入り混じった気持ちを抱いたことのある人も多いのではないでしょうか。

なぜ引け目を感じるのか?

ここでは、なぜ「引け目」を感じてしまうのか、その心理について紹介していきます。

卑屈になっている

3_卑屈になっている

「どうせ自分なんて」と卑屈になっていると引け目を感じやすくなります。

例えば、彼氏が欲しいけど今はいないという場合、恋愛がうまくいっている人を見たときに、引け目を感じる人もいれば、何も感じない人もいます。

「いいなぁ。私も彼氏欲しいな」と思っているだけなら引け目を感じないでしょう。でも、「どうせ私は選んでもらえない」「彼氏のいない私は価値がないのではないか」など、悪い自己イメージを持っていると、引け目に感じやすくなります。

卑屈になっている時、何か1つでもうまくいかないことがあると、ネガティブな発想に拍車が掛かり、自信が失われてしまいます。

自分の理想像を相手が持っているから

4_理想像

相手には「ある」のに、自分には「ない」と感じることが、引け目につながります。

例えば、「友達がたくさんいる人気者」が自分の理想像だとします。相手はまさに理想像そのまんまで、いつもたくさんの人に囲まれているとします。それに比べて自分は、輪の中にうまく入れずいつも人間関係で悩みを抱えているとしたら、相手に対して引け目を感じてしまうでしょう。

欲しいのに、自分には手に入らないかもしれないと思うことが苦しみになります。

手が届きそうで届かないから

5_手が届きそうで届かない

身近な存在に対してはあれこれ比べて引け目を感じますが、例えば、パリコレのモデルに対して、「私はあの人よりスタイルが良くない」といって劣等感を抱く人はほとんどいませんよね。

なぜかというと、パリコレのモデルは別格だと思っているので、自分とは比較対象にならないからです。でも身近にいる人たちは、手が届く存在です。手が届きそうなのに届かない。だから余計に比べてしまうのです。

理想と現実のギャップが大きい

6_理想と現実のギャップ

思い描いている理想が高い人は、現実とのギャップが大きくなることで引け目を感じやすくなります。理想が高い人は向上心があり、より良い自分でありたいと思っています。

そういった自分の成長のために理想を描くことはいいことなのですが、現実が理想から程遠く感じられると、自分自身がひどくダメなように思えて傷ついてしまうことも。

また、今の自分ではダメだと思っている人は、自己否定が強い分だけ完璧を求めて理想が高くなる傾向もあります。

引け目を感じた時の対処法

どんな人であっても、得意なこともあれば苦手なこともあるものです。引け目を感じる時はネガティブな気持ちになりますが、自分を見つめ直すチャンスです。

発想を転換して前向きになるための方法を紹介します。

問題と自分を分けて考える

7_問題を分ける

例えば才能豊かな同僚に対して引け目を感じたとします。思うように仕事ができていない自分はダメだなと捉える人が多いですが、本来、問題と自分は別物です。

思うように仕事ができていないという問題があるだけなので、自分自身の価値とは切り離して考えてみましょう。自分から問題を離してみると、客観的に見ることができるようになり、ネガティブな感情に振り回されずに済みます。

そして、改善できることであれば、自分にできることを努力して工夫するといいですね。

頑張ってきた自分を承認する

8_自己承認

引け目を感じると、ついつい自分を責めてしまうものです。しかし責めても傷口が広がるだけ。それよりも傷ついた自分に優しくしたいですね。

理想が高い場合も引け目を感じやすくなりますが、それは向上心のある証拠でもあります。

「私ってすごく向上心があるんだな」「今後、成長の余地があるってことね」と発想を転換し、「今まで私なりに一生懸命頑張ってきたよね」と自分を労ってあげましょう。

社会人になると、ダメ出しされることはあっても、褒められる機会はぐっと減ります。だからこそ、自分で自分を積極的に承認してあげることは心の安定にとても大事なのです。

自分のいいところを伸ばす

9_自分の良いところを伸ばす

引け目を感じている時は、自分のダメな部分と相手の優れた部分を比べていますので、そもそも勝ち目がないですよね。

「私にはいいところがない」と思うかもしれませんが、他の人から見たら、「〇〇さんのここがすごい」「うらやましい」と思われているポイントが何かしらあるはずです。

自分のいいところは、自分にとって当たり前なので案外気付かないものです。周囲の信頼できる人に話してみて、「私のいいところってどこですか?」と聞いてみると、意外な長所に気付けるかもしれません。

引け目を感じた事柄が、自分ではどうしようもないものならば受け入れて、それが気にならなくなるくらい、長所を伸ばしてみようと発想を切り替えましょう。

大切な人のために何ができるかを考える

引け目を感じてネガティブな感情が出てきた時には、「大切な人のために、今の自分ができることは何があるだろう?」と発想を転換させてみるのも良い方法です。

貢献することや与えていくことに意識を向けると、ポジティブな悩みに変換されます。劣っていることに悩んでいるエネルギーを、大切な人のために使いましょう。自分なりにやってみたことが人の役に立ったり喜んでもらえたりすれば、自己肯定感がアップします。

「私にもできることがある!」「私は大切な人の喜びになれる」といった感覚が手に入ると、内側から自信がついてきます。

「引け目」を感じる=チャンス

11_チャンスにする

他人と自分を比べて、ついつい「私なんてダメだなぁ」と自分を責めてしまいがちですが、理想像を持っていることは向上心の表れでもあります。「私って意欲があるんだな」と自分を承認してあげましょう。

「自分にはいいところがない」と思うかもしれませんが、周囲からは「素敵だな」と思われているポイントがきっとあるはずです。これを機に、自分のいいところにも目を向けて長所を伸ばしていきましょう。

(高見綾)

※画像はイメージです

 

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