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自己憐憫は「悲劇のヒロイン」気取り? 心理と克服法

小日向るり子

自己憐憫とは「私ってかいわそう」と、つい悲劇のヒロイン気取りになってしまう感情のこと。こんな思考に酔ってしまう人の心理とは? 心理カウンセラーの小日向るり子さんが、自己憐憫の克服方法を解説します。

「自己憐憫(じこれんびん)」という言葉を聞いたことがありますか?

自己憐憫とは「私ってかわいそう」「私ほど不幸な人間はこの世にいない」「自分ばかりこんな目にあって世の中不公平だ」といった“自分自身を憐れむ感情”のこと。

このような感情を抱きやすい女性は「悲劇のヒロイン症候群」といわれたりもします。

今回は、そんな感情を抱く心理状態や、あなたの自己憐憫度、感情との向き合い方を心理カウンセラーの観点から解説していきたいと思います。

悲劇のヒロイン度は? 自己憐憫診断

説明を聞いて「もしかして私のことかも」と思われた人もいるのではないでしょうか。ここからは、自己憐憫度の診断をしてみたいと思います。

自分に当てはまると思うものにチェックを入れていってください。

※どちらかというと当てはまる、という場合もチェックをしてください

・他人から褒められた経験が少ない
・友達が少ない
・親からの愛情が不足していた成育歴だと思う
・親からは過干渉(過保護)な育てられ方をしたと思う
・友達から突然関係を切られたことが何度かある
・「なんで自分ばかり」と思う理不尽なことが多い
・物事に熱中しやすい
・恋人や友達など人に執着するほうだ
・他人の言葉や行動に敏感で傷つきやすい

さて、チェックの数はいくつだったでしょうか?

0~2個のあなた

自己憐憫度は低いです。自己憐憫の感情になっても一過性のものですので気にすることはありません。

3~5個のあなた

状況によって自己憐憫の感情が強く出る傾向にあります。感情が高ぶったときは落ち着き、冷静になるよう心がけましょう。

6個以上のあなた

自己憐憫度は高いです。過度な自己憐憫感情はまわりを疲弊させてしまいます。考え方の癖を修正していきましょう。

参考記事はこちら▼

もっと詳しく診断したい方はこちらをチェック!

悲劇のヒロイン思考になる心理とは?

では、自己憐憫な人はどのような心理状態や考え方の癖があるのでしょうか。

(1)自己中心的

誰でも非常にショックなことや悲しいことがあると自分の感情にとらわれてしまい、他人の感情にまで気持ちがまわらないことはあります。

しかし、多くの人はそれが一過性のものであるのに比べ、自己憐憫が強い人は日ごろから自分中心の思考でまわっている傾向にあります。

(2)他罰的

他罰的とは他者を罰する気持ちが強いということ。

自分に非があっても「でも○○さんがこういうことをしたから自分がこうなってしまったのだ」→「だから自分は悪くない」という思考に行きつき、それが結論となってしまいます。

(3)自己顕示欲が強い

自己顕示欲が満たされるためには注目されなければなりませんが、注目されるということは批判されたり指摘されたりすることも覚悟しなければなりません。

しかし、自己憐憫な人はそれを受け止める勇気がありません。

そのために「かわいそうな私」を演出します。多くの人はかわいそうな人には敵意を向けないからです。

(4)他人の感情に過敏

他人の感情や行動に敏感です。

したがって他人からの言動で傷ついてしまう経験が多く、その結果他人との接触を避けて孤独を募らせていくようになります。そうした状況は自己憐憫感情を強くします。

見直すべき? 自己憐憫が良くない理由

誰でも非常に辛いことがあったり、多くの不幸が重なったりすると「私ほどかわいそうな人はいない」という感情に陥るものです。

したがって「自己憐憫=悪い感情」ではありません。

しかし、自己憐憫感情はすべての事象に応用ができてしまいます。

何においても「そんな私はかわいそう」という結論が成り立つのです。かわいそうな人を慰め、甘やかしてくれる人は多いため、そこはある意味居心地が良く、ここに逃避する癖がついてしまいます。

とはいえ、ネガティブな感情を受け止めるほうは疲弊していくため永遠に癒してはくれません。

つまり自己憐憫感情は依存と隣り合わせ。依存先がなくなったときにひとりで立てる力がなくなっている危険があるのです。

自己憐憫感情の克服方法

すぐに悲劇のヒロイン思考になってしまう自分を直したい。そう思ったとき、どんな習慣や考え方の癖をつけるとよいのでしょうか。

最後に、自己憐憫になってしまう自身との向き合い方のコツを紹介します。

(1)やみくもにネット上で発信しない

つらい体験をしたときに感じたことを吐き出すのは悪いことではありません。

しかし、インターネット上に吐き出すのであれば「同じ体験をした人の参考にしてほしい」などきちんと目的を持って書きましょう。

やみくもに自己憐憫感情を吐き出していくと、最初は優しい言葉をかけてくれる他人も次第に疲弊します。また、弱った感情に付け入ろうとする人に利用される危険もあります。

(2)「感謝」を意識する

1日に1回「ありがとう」の言葉を使うことを意識してください。

これを意識すると感謝することを探すようになるため、自然と他人の気持ちや立場に意識を向けるようになり、意識が自分に集中しすぎることを防いでくれます。

(3)過去は気にしない

自己憐憫の感情は、過去を振り返れば返るほど「思えばあのときも私はかわいそうだった」というように肥大化していきます。

過去を変えることはできません。

過去を振り返って自己分析することは良いことですが、そこに「過去の感情」までを入れ込んでしまわないように注意しましょう。自己憐憫に逃避する癖を修正していこう!

自己憐憫に逃避する癖を修正していこう!

いかがでしたでしょうか。

みなさんは自己憐憫に酔いやすい自分、すぐに悲劇のヒロインになってしまう自分にどこか居心地の悪さを感じているからこそ、このコラムにたどり着いたのではないかと思います。

他人は憐れみをくれますがそれ以上は何もしてくれません。

自分の感情の居心地の悪さを変化させることができるのは自分だけです。対処法を参考に、自己憐憫感情に逃避する癖を少しずつ修正していきましょう。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

 

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