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一人称が「僕」の男性心理とは? 恋愛傾向&「俺」「私」との違い

平松隆円(化粧心理学者)

俺、僕、私……男性の一人称はさまざまあります。ずっと「私」を使っていた男性が、ふと「俺」を使ったことにドキッとした、なんてことも……? 編集部のアンケートでは、「女性の前では『僕』を使う」という回答も多く、男性は一人称を意識的に使い分けているよう。そこで化粧心理学者の平松隆円さんに、男性が「俺」や「僕」を使い分ける理由について考察いただきます。

自分のことをなんと呼ぶか(=一人称)は、人によってさまざまです。女性であれば、「私」を使うことが多いでしょうか。なかには「リエは……」なんて自分の名前を使う人もいますが、さすがに職場では封印しているでしょう。

同様に、男性で自分を「ケンジは……」と名前呼びする人はめったにいないでしょうが、「私」はもちろんのこと、「オレ」「僕」「自分」と、女性に比べて男性の一人称はバリエーションが豊富です。その一人称に着目すると、彼が周囲に与えたいイメージや、相手との心の距離感が、なんとなくわかってきます。

男性の一人称=「オレ」「僕」「私」「自分」……それぞれの特徴

マイナビウーマンが社会人男性396人を対象に、「プライベートで使う一人称」についておこなったアンケートによると、一番多かったのは「オレ」(59%)、次いで「僕」(22%)、「私」(6%)、「自分」(6%)という順でした。

一人称 僕

このように「一人称・オレ」派が過半数を超えていたわけですが、この使い方の違いには、どんな理由や特徴があるのでしょうか。日本語学での先行研究(※1)も参考にみていきましょう。
※1 「日本語の一人称代名詞について」(広島大学;日本語・日本文化研修プログラム研修レポート集)、「若者における一人称の使用の様相とその機能的意味」(関西福祉大学;社会福祉学部研究紀要)

「オレ」(59%)=“男らしい”イメージ。「僕」は子どもっぽい!?

一人称 僕

「オレ」を使う男性は、プライベートに限らずどんな場面であっても「オレ」で通すことが多いといいます。さすがに取引先で「オレ」を使うことはないでしょうが、部下や同僚には「オレ」を使っているかもしれません。

理由としては、「オレ」に対して「カッコいい」「男らしい」「若い」「積極的」などのイメージをもっているからなのだとか。あるいは、「男性が使うべき一人称は『オレ』」と当然のように考えていたり、子ども時代からの習慣になっている場合も考えられます。

おもしろいことに「オレ」を使う男性は、「僕」という一人称を、子どもっぽく弱々しい表現と考えているそうです。

「僕」(22%)=“やさしい”イメージ。「オレ」呼びに強い抵抗感!?

いっぽう「僕」を使う男性は、「やさしい」「落ち着いている」「大人っぽい」といったイメージをもっているのだとか。「オレ」には上からモノを言うというイメージがあり、「オレ」を使用することに強い抵抗感があるといいます。

「僕」を使う理由として、「口当たりがいい感じがする」(37歳/クリエイティブ)、「知的な相手には『僕』を使う」(39歳/事務系専門職)といったアンケートのコメントからも、“僕”という一人称に対するセルフイメージが、なんとなくみてとれますね。

「私」「自分」(それぞれ6%)

一人称 僕

「私」を使う男性は、「ていねいで、あたりさわりがない」というイメージをもっているのだとか。たしかに、「私」はあまり男女性を感じない、ジェンダーフリーな一人称です。

また一人称に「自分」を使う男性は、「謙虚」「敬意がある」「公的」「礼儀正しい」などのイメージをもっているといいます。研究によれば、目上や初対面の人に対しては「オレ」の代わりに「自分」を使い、親密さが増してくると「オレ」をつかう傾向にあるのだとか。

男性の多くは相手によって一人称を使い分けている

では男性は、プライベートにおいて、常に同じ一人称を使っているのでしょうか。

アンケートによれば、36%の男性が「相手が同性か異性かで使い分けている」と答えています。それ以外にも、「仕事とプライベートで」「目上かどうかで」「親しさの度合いで」、関係性に応じて使い分けているという結果に。ここでは女性に対しての使い分けに注目してみましょう。

女性に対しての「僕」呼びには、こんな意味が……!?

一人称 僕

アンケートでは、「女性全般に対して『僕』を使う」という回答が多くみられましたが、ひとことで「女性」と言っても、それが親しい間柄かそうではないかで、使われる一人称に違いがあることは十分に予想されます。

では、親しい友人に対しては「オレ」呼びの男性が、あえて「僕」を使う理由には、どんなことが考えられるでしょうか。

それは、先ほどご紹介した研究結果からも明らかです。「僕」を使う男性は、「やさしい」「落ち着いている」「大人っぽい」といったイメージを「僕」という一人称にもっている。つまり、そういう男性に見られたくて「僕」を使うわけです。

実際に「女性に子どもっぽく見られないために『オレ』は使わない」(30歳/技術職)という回答がありました。さらに「同性には『俺』、異性には『僕』」(34歳/建設・土木)、「つき合う前は『僕』と呼ぶことが多い」(33歳/医療・福祉)というコメントからも、上からモノを言うというイメージの「オレ」ではなく、あえて「僕」と呼ぶ理由がみてとれます。

女性から嫌われたくない、好かれたいという男心が「一人称・僕」に影響を与えているんでしょうね。

話すときの一人称で、彼があなたをどうとらえているかがわかるかも……!?

一人称 僕
このように、一人称の使い方によって、自分と相手の関係性を、その人自身がどうとらえているかが明確になります。誰に対しても常に同じ一人称を使用している男性は、ある意味で態度や行動に一貫性があるといえますが、現実ではそんな人は少なく、自分と相手との関係性で一人称を使い分けることがほとんどです。

職場の男性が、他の人と話すとき、そしてあなたと話すときで、どう一人称を使い分けているかを観察すると、その男性があなたのことをどう考えているかを発見することができるかもしれませんよ。

(平松隆円)
※画像はイメージです。

※マイナビウーマン調べ
調査日時:2019年5月23日~5月25日
調査人数:396人(22~39歳の働く未婚男性)

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