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意外とできていない人が多い? 「お見舞い」の正式マナー

松本繁美(マナーアドバイザー)

親戚や友人が入院すると、慰めてあげたい、早くよくなるように応援してあげたいなど、お見舞いで、自分のまごころを示したいのは誰もが思うこと。しかし、入院したからと、心配してすぐにお見舞いに行くのはまちがいのもと。そこで今回は、お見舞い時のマナーについて、マナー講師の松本繁美さんに伺いました。

入院した友人をお見舞いするタイミングや時間

お見舞いに適したタイミングや時間

お見舞いのタイミングは、回復期に向かいはじめたころがベストだといえます。入院直後はもちろんのこと、手術の前後なども避けるべきです。症状が安定したころを見計らうのが基本です。

訪ねるのにふさわしい時間帯は午後。午前中は検査や回診など、メニューがいっぱいです。また、夜の面会を許されている場合もありますが、よほど親しい関係でなければ避けたほうがよいでしょう。可能であれば、直接本人にベストな時間を聞き出してから、お見舞いに行くのが無難です。

お見舞いは遠慮して! 訪ねないほうがいいタイミングやケース

面会が制限されている場合

「面会謝絶」になっている場合や、「ICU」に入っている場合など、面会が制限されているときは、当然相手もかなり調子が悪い状態です。お見舞いに駆けつけたい気持ちもわかりますが、相手の体調を第一に考えて、控えるべきでしょう。どうしてもお見舞いしたい場合は、ご家族にお見舞い品を添えて手紙やカードなどで気持ちを伝えましょう。

短期入院(4泊5日ほどまで)の場合

治療や、経過観察など、患者のスケジュールが立て込んでいることも多く、お見舞いに行くかどうかは迷いどころです。しかし、入院を耳にすれば心配で、お見舞いしたくなるのは当然の気持ちですよね。入院している本人も心細く、さみしくて、お見舞いを待ち望んでいるかもしれません。こんな場合は、本人や家族の了解を得て、お見舞いに行ましょう。

本人や家族にお見舞いしていいのか、都合を聞くのが一番いいですが、それが難しい場合入院している病棟のナースステーションなどに問い合わせるのもひとつの手です。病院の代表電話にかけると、担当箇所に回ります。そちらで確認してから行くとよいでしょう。食べ物の制限なども教えてくれると思います。 個人情報の保護が厳しい昨今ですが、差しさわりのない程度にお見舞いのアドバイスをしてくれます。

手術直後・入院直後

手術直後・入院直後は、相手の容体が安定していません。そのため、お見舞いは控えるべきです。

なにを持っていく? お見舞品の選び方

お花を贈る場合のマナー

鉢植えのものは避ける

鉢植えは「根づく」という意味合いでタブーです。病気が根づいて、長期入院や持病になってしまうことを連想させるためです。またシクラメン(49のごろ合わせから不吉とされている)の鉢植えは、絶対にありえないお見舞いなので、要注意です。

匂いの強い花

花の種類によっては、匂いが強くたちこめます。そうでなくとも病人は敏感になっているため、匂いにはとくに注意してください。なにを選んだらいいかわからない場合は花屋さんに相談して、お見舞い用の花を上手に選んでもらいましょう。

首から落ちる花はタブー

椿や百合の花など、首からポトリと落ちたり、うなだれたりしてしまう花は「不吉」とされ、お見舞いにはふさわしくありません。

病室に飾るスペースがあるかを確認

個室のように飾るスペースがあればよいけれど、何人かと同室(大部屋)などの場合、ベッドに近い位置に小さな棚かカウンターがあるだけといった場合も多いはず。実際には、花を置くスペースがない場合がほとんどです。お見舞いに花を持って行く際には、先に病院にたしかめてから、考えましょう。

花束(切り花)でなくアレンジがよい

花瓶の用意がないのがほとんど。花束でなく、アレンジを贈るのがスマートかもしれません。

お菓子や食べ物を贈る場合のマナー

まずは「食事制限」の有無を確認します。食べてはいけないものがある可能性や、病人食以外摂取禁止かもしれません。直接本人に訪ねるか、家族の方に聞き、確認しましょう。

お見舞いの定番「フルーツ」

お見舞といえば、フルーツのかご盛りなどをイメージする人もいると思います。しかし、フルーツの摂取を制限している病人もいます。また、フルーツを丸ごともらっても、カットしたり、むいたりしてくれる付き添いがいるのかも問題です。保存のため冷蔵庫も必要になるため、意外と考えものなのがフルーツ。病人が食べられるよう、果物店やデパートによってはカット・フルーツを置いているお店もあるので、そういうものがお見舞いには適していると思います。

お見舞いにきた人や付き添いの人、家族等に食べてもらう前提の食べ物

本人が食べられなくても、とりまく皆さんに食べてもらうことを前提に贈るのであれば、お菓子などはふさわしいかもしれません。しかしながら、病人を前に、本人抜きでお菓子を食べるのも考えもの。そのため相手の事情がわからなければ、避けたほうが無難です。

お金を贈る場合のマナー

お見舞金の相場はこのようになっています。
・三親等以内親族……5,000円~10,000円
・知人・友人……3,000円~5,000円
・仕事関係……3,000円(複数で出す場合の上限)
・ご近所……3,000円~5,000円

あくまで目安なので、額については気持ち程度でもいいですが、相場の金額であっても、4,6,9(死・無・苦を連想させる)がつく金額はNGです。また金庫などがない場合は、1万円などの大きいお金を渡してしまうと、盗難などに気を配らなければならず、相手の負担になってしまうことを考慮しておきましょう。もしどうしても、相手に1万円を超える見舞金を贈りたい場合は、お見舞いにきた親族の方に預かってもらうなどして、相手の負担になることはできるだけ避けましょう。

お見舞い金を渡すときに注意すること

お見舞金について これらの場合は注意が必要です。

相手が目上の人の場合

相手が会社の上司などの場合は現金を避けたほうが賢明です。お見舞いに限らず、ほかのお祝いのときも目上の人に現金を贈るのは避けるべきとされています。

のし袋がふさわしくない

出産などの縁起のいい際は「蝶結び」、病気やケガなどで入院の場合は一度で縁を切るという意味合いで「結び切り」の水引にしましょう。まちがって贈ると、大変失礼なことになります。じゅうぶんに気をつけたいところです。

お見舞い金を渡すタイミング

入院した人の役に立ちたい、力になりたいという気持ちをあらわすお見舞い金ですが、現金であるため渡すタイミングも重要です。品物と異なり、帰り際に渡すのがよいタイミングだと言えます。お見舞いにきて、すぐに差し出されると受け取りにくいうえに、押しつけがましいと感じる場合もあると思います。

入院した病室を訪ねる際のマナー

お見舞い時の服装

1.黒ずくめ

全身、黒では葬儀(死)を連想させ、不吉な服装となります。避けるべき服装です。

2.派手すぎる服装

人目を引くような華やかすぎる服装も病院には相応しくありません。目のやり場に困るような短すぎるスカートや、肌の露出が多い服も避けるべきです。

3.ヒールの靴、サンダルなど

病人は神経がとぎすまされているので、音にも気をつけたいもの。ヒールの靴はマナー違反ではありませんが、コツコツと足音が立ちやすく、廊下などに鳴りひびく場合があるので要注意。足音が立たない自信があれば履いてもいいと思います。また素足でサンダルを履くことも感心しません。病人に対してというより、何かと菌の多い病院をサンダルなど素足で歩くのは危険でもあります。

病室でのマナー

1.小さい子どもの同行

小学校低学年以下の子どもは抵抗力も弱いため、風邪などを引きやすいため、風邪などのウイルスを病室に運んでしまうことがあります。術後で免疫機能などが弱っている人は、この風邪のウイルスひとつでも重大な結果をもたらすこともあるため、細心の注意が必要です。

2.香水や体臭などの、におい

病人は鼻も敏感になっているため、香水(トワレであっても)なども要注意。好みでない匂いならなおさら、気分が悪くなるでしょう。香水より気をつけたほうがいいのは、汗臭い匂いや不潔な匂い。自分自身の匂いチェックを済ませてから、お見舞いに行きましょう。

3.暗い表情は厳禁

病人を励ますための行くのがお見舞い。そのため暗い表情は絶対に避け、明るい笑顔で接してください。

4.大声で話さない。

個室であっても、病院スタッフが頻繁に出入りしています。廊下もスタッフだけでなく、入院患者も通ります。大きな声で話すのはよくありません。大部屋であればなおさらです。

5.お見舞いの人数

会社の部署全体で行くケースもあるかもしれませんが、せいぜい3~4人までにとどめましょう。大人数でのお見舞いは、不適切です。

お見舞いの気持ちを押しつけないこと

当の病人(けが人)が、お見舞い自体を喜ぶかどうかは疑問です。病気や怪我で
変化した自分を見せたくないかもしれません。一方、長期入院で退屈をしていて、お見舞いにきてほしいと感じている場合もあるため、本人サイドの気持ちは計り知れないものです。まずは相手の立場に立って、タイミングよく、お見舞いの意を表してみてはどうでしょうか。

(松本繁美)

※画像はイメージです

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