ストレスかも? 「会社に行きたくない」と感じたら
会社に行きたくない……どうしても会社に行きたくない。そんな経験はありませんか? もしかすると、今そんな状態になってしまっているという人もいるかもしれません。どうして会社に行きたくないと思ってしまうのか、自分自身で原因がわかることもあれば原因が思いつかないこともあるでしょう。いずれにしても、会社に行きたくないという自分にどう対処するべきなのか悩んでしまうと思います。そこで、会社に行きたくないと感じる原因や対処の仕方について、社会保険労務士の脊尾大雅さんにアドバイスをもらいました。
会社に行きたくない人はたくさんいる
会社に行きたくないと思った経験がある人はいったいどのくらいいるのでしょうか。いくつかの調査の結果を紹介します。また、「サザエさん症候群」といった、会社に行きたくない気持ちによる症状についても説明していきます。あなたはこの症状にあてはまりますか?
会社に行きたくない人たち
マイナビニュースでは全体のおよそ70%
まずはアンケートの結果から考察していきます。マイナビニュース会員の308人に調査を行ったところ、「会社に行きたくない」「働きたくない」と回答したのは、全体の69.4%(約210人)、つまり全体の70%が会社に行きたくないと思った経験があるというのです。(※)
厚生労働省による労働安全衛生調査ではおよそ60%
厚生労働省の調査で労働安全衛生調査というものがありますが、平成28年の結果では「現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる」という労働者の割合は59.5%でした。マイナビニュースとは約10ポイントの差がありますが、いずれも調査した数の半数を超えており、同じような傾向なのかもしれません。
これらの結果を元に、全国にどのくらいの人が「会社に行きたくない」と感じているかを計算してみます。あくまで参考までというデータですが、総務省統計局の労働力調査(2018年7月分)では就業者数が6,660万人なので、「会社に行きたくない」と感じている人は3,962万人~4,622万人くらいいることになるともいえるかもしれません。
会社に行きたくない気持ちによる症状
サザエさん症候群とは
日曜日の夕方に放送されているサザエさん。サザエさんを見ることで、そろそろ日曜日が終わり、もうすぐ月曜日が来てしまうと意識してしまうこともあるでしょう。それにより、月曜日からはじまる仕事について考えてしまい、憂鬱になるなど心身に影響を及ぼすことを指す言葉が「サザエさん症候群」です。厚生労働省の人口動態統計特殊報告によると、月曜日の自殺が男女ともに1位なので、実際にサザエさん症候群というものはあるのだろうと思われます。
出勤困難な状態
肉体的、もしくは精神的に会社に行きたくても行けない状態になる場合もあります。仕事に行かなければいけないのに、ベッドから起き上がることもままならない。仕事に行こうとしたら、いつもひどい腹痛や下痢に悩まされてとてもトイレから出られない。このように、出勤しようと思っても体がいうことをきかない状態なのです。またうつ病と診断される場合でも、このような症状が見られています。
会社に行きたくない原因
では、なぜ会社に行きたくないという思いにいたるのでしょうか。主な原因を4つ説明します。原因がはっきりしない場合の見極め方もあわせて見ていきましょう。心の中にあるストレスの原因を明確にすることで、対処すべき点が見えてきます。
会社に行きたくない原因4つ
人間関係がうまくいっていない
人間関係に悩まされて会社へ行きたくなくなってしまうケースは、決して少なくありません。特定の人間とうまくいかなかったり、複数の人間とギクシャクした関係になってしまったりしているということもあるでしょう。このような人間関係は想像以上のストレスとなって心身に襲いかかります。
職場の雰囲気が合わない
職場の雰囲気そのものがマッチしない。マッチしないからストレスになってしまう。このような理由から会社に行きたくないと思ってしまうこともあります。特定の人間が苦手なのではなく、職場全体の雰囲気がネックとなっているのです。
認めてもらえない
自分なりに一生懸命働いているのに認めてもらえない。認められないことでモチベーションがダウンしてしまい、会社に行きたくないと思ってしまうのです。ベースアップがないこともあるかもしれませんが、認めてくれる言葉のひとつもないと、モチベーションはダウンしてしまいます。
仕事がうまくいっていない
仕事がうまくいかなければ、評価をされることもありません。あるいは、仕事がうまくいかないことで、自分にはこの仕事が合っていないと仕事そのものを苦痛に感じてしまうこともあるでしょう。仕事がうまくいっていないことでも、会社に行きたくないという気持ちになってしまうのです。
原因の見極め方とは
原因を見極めるためには、労働安全衛生法の改正により会社に実施義務ができた「ストレスチェック制度」を活用するのがオススメです(「ストレスチェック制度」で使用する調査票に基づいて作られた、厚生労働省による「5分でできる職場のストレスセルフチェック」では、無料でストレスチェックができます)。
実際に質問項目に回答するときは、メモをとってみましょう。質問に回答するたびに頭に浮かんだこと、考えたこと、思ったことを書いていくのです。そうすることで、現在の自分の心の中がまとまるはず。ストレスチェックの結果と見比べることで、原因がよりはっきりわかるでしょう。自分の心の中にあるものと、置かれている状況にズレがあれば、それはストレスであると判断できます。
会社に行きたくないときの対処法
会社に行きたくないとき、または実際に行けなくなったときにどのように対処すればよいのかを、3つの段階別に説明します。自分の考え方を変えることで解決することもありますし、場合によっては、自分でなんとかしようとするより医師に相談する必要がある段階もありますので、見極めが大切です。
症状:ちょっと思うくらい
ちょっと思うくらいという段階なら、自分の心の中と向き合って解決する場合があります。まず、自分の考えが正しいと思っている部分があるのなら、決して自分が正しいとは限らないと気づくことが大切です。それだけでも人間同士の衝突がなくなってストレスが緩和されます。自分自身が相手の言葉をどのように解釈するかによって、ストレスの度合いも変わってくるでしょう。
また、過去の出来事は変えられませんが、未来の出来事はこれから作ることができます。よって、過去の出来事を肯定的に解釈した上で、経験によって得た教訓を活かすためには今後どういう行動ができるかを考えるのもひとつだと思います。このように「前進」するための行動を考えてみると、会社に行きたくないという気持ちは少し和らぐかもしれません。
症状:毎日思う
会社に行きたくないと毎日思うようになったら、カウンセリングを受けたほうがいいかもしれません。カウンセリングできちんと自分に向き合いましょう。そしてこれからのキャリアをどのように構築していくのかまで、この機会に見つめ直してみてください。
症状:実際に行けなくなる
会社に行きたくないというより、もう行くことができない……、そんな状態になってしまったら、心療内科を受診することも検討してください。心の病気になってしまっている可能性もあります。まずは専門家による適切な治療を受けてから、今後について考えていきましょう。
「会社に行きたくない」が「行けない」になる前に対処しよう
会社に行きたくないという心理には、職場での人間関係ばかりでなく、職場そのものの雰囲気や、仕事がうまくいっていない、仕事ぶりを認めてもらえないといった感情が関係しています。ストレスチェックで原因を見つけたら、自分自身と向き合ってみましょう。会社に行きたくないが行けないという状態になる前に、ストレスフルな現状を改善しなければなりません。もし、すでに会社に行きたくない気持ちが強くなっていたり会社に行けなくなったりしている場合は、必要に応じてカウンセリングなどを受けることをオススメします。自分の心の中を整理することで、将来的に満足できる結果を得られるはずです。
(文:脊尾大雅、構成:藤奈子)
※画像はイメージです
※マイナビニュース調べ
調査時期: 2018年5月30日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性235名 女性73名 計308名
調査方法: インターネットログイン式アンケート