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戻りたいと思う前に! 転職で後悔しない方法

工藤倫子(キャリアカウンセラー)

おぜきめぐみ

誰もが一度は考えたことがある「転職」。大きな決断だからこそ、絶対に失敗は避けたいものですよね。後悔しない転職をするためには何が必要なのでしょうか。キャリアカウンセラーの工藤倫子さんに、転職を後悔する人の特徴、主な理由について教えていただきました。

転職経験者の割合とその理由

実際に転職をしたことのある人がどのくらいいるのか、またどのような理由で転職を決めたのか、20~30代女性のデータをご紹介します。

女性の転職経験者は約1割

【20~30代女性の転職者割合】
20~24歳:12.1%
25~29歳:14.7%
30~34歳:11.0%
35~39歳:8.8%
(いずれもパートタイム労働者を除く)

データ出典元:厚生労働省「平成28年度雇用動向調査結果」年齢階級別転職入職率

25~29歳の割合が一番高く、30代になるにつれて減少傾向にありますが、各年代とも約10人に1人の割合で離職していることがわかります。
女性の場合、「30歳をすぎると転職しづらくなるのではないか」という意識もあり、転職するなら20代のうちに、と考えている人も少なくないと思います。

女性の主な転職理由とは?

雇用期間が終了した

平成24年度~28年度の5年間の20~30代女性の転職理由を雇用動向調査結果(厚生労働省)で見てみると、すべての年で上位に「定年・契約期間の満了」が入っています。これは「雇用期間の定め」がある働き方をしている女性がとても多いことを物語っています。

労働条件や人間関係が悪い

雇用期間以外の転職理由として多いのは、労働条件や人間関係。多少順位は入れ替わるものの、5年間共通して「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「給料等収入が少なかった」という3つが転職の理由になっています。

責任あるポジションにつくことが少ない

興味深いのは、女性と男性の転職理由の比較です。平成28年度の同年代男性の退職理由の上位3つのうち、2つは女性と同じ「労働時間、休日等の労働時間が悪かった」「給料等収入が少なかった」なのですが、次に来るのが「会社の将来が不安だった」となります。女性の場合、この項目はどの年齢層でもあまり重視されていません。これは先に述べたように、女性は「雇用期間の定め」がある働き方をしている方の割合が高いため、責任のあるポジションにつくことが少なく、会社の全体像を見渡せることができる位置にあまりいないことも影響していると思われます。

データ出典元:厚生労働省「平成24年度~28年度雇用動向調査結果」

転職を後悔する人の特徴と要因

転職という大きな決断をしたにもかかわらず、あとあとそれが後悔になってしまうのは避けたいもの。ではどのような人が転職を後悔してしまうのでしょうか。後悔につながる転職理由とその要因もあわせてご紹介します。今転職を考えている方は、自分にあてはまるかどうか、照らし合わせてみてくださいね。

転職を後悔する人の特徴

しっかりと現実と将来を見つめ“自己分析”をしない人は、転職を後悔してしまうことになる可能性があります。

実は、先ほど紹介した転職理由とは逆のパターンでの転職も少なくないのです。たとえば、「今の労働条件や給料に不満はないが、もっと自分の能力を発揮できるところに行きたい」、「人間関係はよいが、ぬるま湯に浸っているようで成長を感じられない」「若いうちにもっと別の世界を見て視野を広げたい」など、“ポジティブ”で“向上心がある”転職です。

一見これはとても素晴らしい理由のように感じますが、ここに落とし穴があります。この理由、実はネガティブな理由と根本は同じである場合も多いのです。つまり「隣の芝生が青く見える」「自己分析ができていない」「環境のせいにしている」というわけですね。このように一見ネガティブな理由に見えることもポジティブな理由に見えることも、根底は同じことがあるのです。だからこそ後悔しないように自己分析が必要となります。

転職を後悔する主な理由と、後悔の要因

人間関係、職場環境がよくない→環境のせいにしているかも

まずひとつ目の「人間関係、職場環境がよくない」という方の場合、どこに行っても同じことが起こる可能性があります。セクハラ、パワハラなどを我慢してまで今の職場にとどまる必要はありませんが、職場の人間関係で悩む多くの方は「職場以外」の人間関係が希薄だということがあります。毎日が家と会社の往復だけでは人間関係に煮詰まるのも当然かもしれません。会社以外の趣味やコミュニティを持つことで解消されることもあるので、複数の「場」「環境」に身を置くことをお勧めします。

もっと自分に合う仕事を見つけたい→自己分析ができていない可能性あり

「もっと自分に合う仕事を見つけたい」という方の場合ですが、「自分に合う・合わない」ということを短期間で判断するのは難しいでしょう。もし「今の仕事が合わなくて、苦痛でたまらない」のであれば、今すぐ転職をお勧めします。しかし、ただなんとなく「もっと自分に合う仕事ないかなぁ」と思っている程度であれば、まだまだ今の仕事で出来ることがあるのにやっていないことが多い場合も。

今の仕事を「もう完全にやりきった!」と思えるまでとことんやってみてください。自分のスキルを磨いてから次を考えても遅くはありません。「もっと自分に合う仕事」を探すのではなく、「この強みで転職したい」と言えるようにしましょう。

転職できるうちにしておきたい→長期スパンで考えていますか?

「転職できるうちにしておきたい」という方は、「35歳すぎると転職できなくなる」「結婚、出産の前に転職しておきたい」「周りが転職していくから」など、社会通念や周囲に流されていたり、長期スパンで人生を考えていなかったりする場合が多いのです。これは先程の男女の転職理由の差にもあるように、男性は「会社の将来が不安」という視点があるのに対して、どちらかというと女性は「会社」より「自分の将来」を見ている方が多いと思います。しかしその背景には先に書いたような理由から、その年齢になると焦ってしまい、結果長期スパンで人生を見ることができなくなっていることが考えられます。年齢や社会通念などにとらわれず、自分の価値観をしっかりと見極めることが大切ですね。

後悔しない転職をするためには?

よくある転職理由が、実は後悔のもとになっていることが多いのが現実。そうならないために、どのような点に注意すべきなのでしょうか。満足のいく仕事現場に自分の身を置くには、まわりの環境や常識にしばられない「自立した考え」が重要になります。

転職を後悔しないためのポイント

若いうちに「よりよい環境を求めて」転職することはもちろん悪いことではありません。しかし、「今いる場所で」最大限にやれることをやり、知識・スキル・強みを身につけて、「私はこのスキルを活かしてこういう風に働きたい!」ということがしっかり言えるようになってから転職をしたほうがうまくいきます。もし仕事でそれが叶わないのであれば、資格を取ったり、ボランティアをしてみたりと、会社の外でも知識やスキルを身につけられる場所はあるはずです。すべてを会社に求めるのではなく、視野を広く持つようにしましょう!

転職を後悔したら前職に戻るのはアリ?

会社によっては、「結婚、出産」を理由に退職した女性に対して復職できる制度があったり、円満退社であった場合は戻ったりできることもありますが、それは稀なケースです。一旦退職した場合、現実的に元の職場に戻れる可能性はかなり低いと思っておいたほうがいいでしょう。

転職を後悔しないために事前にしっかりと分析しよう

決して短くはない時間を過ごす会社だからこそ、自分にぴったりな職場を見つけたいもの。しかし必ずしも転職が成功するとは限りません。一度会社に不満を感じてしまうとなかなか冷静な判断をすることは難しくなりますので、焦って後悔することのないよう、今一度自分の気持ちや将来について冷静に分析する時間を持つことが大切です。

(文:工藤倫子、構成:おぜきめぐみ)

※画像はイメージです

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