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髪は自然乾燥でも大丈夫? 髪が傷みづらい自然乾燥の方法

齊藤あき(美容師・毛髪診断士・美養研究家)

朝日絵美瑠

ドライヤーが面倒な時、髪は自然乾燥でも綺麗に保てる? 髪が傷みにくい自然乾燥の方法や、髪に優しい乾かし方を毛髪診断士の齊藤あきさんが解説します。

お風呂上がりにドライヤーで髪を乾かすのは、誰でも面倒に感じるもの。それに、ドライヤーの熱で髪が傷まないか不安を覚えることもありますよね。自然乾燥なら、手間もかからず乾かせるので、できれば自然乾燥を取り入れたいと思っている方も多いはず。そこで、毛髪診断士の齊藤あきさんに、髪を自然乾燥させるメリットやデメリット、髪に優しい乾かし方などについて聞きました。

髪は自然乾燥でも大丈夫?

自然乾燥といえば、ドライヤーで乾かすのと比べて、とにかくラクなイメージがありますよね。疲れていると、ドライヤーで乾かさずにそのまま寝てしまう、なんて人も意外と多いかもしれません。でも、髪にとって自然乾燥は本当に大丈夫なのでしょうか。まずは、髪を自然乾燥させるメリットとデメリットについて理解しましょう。

髪を自然乾燥させるメリット

自然乾燥のメリットといえば、時間や手間をかけずに髪を乾かせること。誰もが一番に思いつくのは、そんな手軽さの面かもしれません。もちろんメリットはそれだけではありません。髪は、熱や摩擦に弱いという特徴があります。そのため、自然乾燥なら、ドライヤーによる熱や、乾かす際の摩擦を受けずに済むことができます。乾かしすぎは頭皮の乾燥にもつながるため、自然乾燥は、ドライヤーによるさまざまなダメージから髪や頭皮を守るメリットがあると言えるでしょう。

髪を自然乾燥させるデメリット

自然乾燥のメリットについて知ると、「それなら、自然乾燥の方がラクだから、もうドライヤーを使わなくてもいいかも」と思うかもしれません。しかし、反対に自然乾燥にはデメリットも多いんです。主なデメリットは以下の3つ。

キューティクルが開いたままになり、パサつきやすい

髪の見た目の美しさは、キューティクルで決まります。キューティクルとは、髪の表面にうろこ状に重なっているもの。髪の内部にある水分やたんぱく質が流れないよう、保護しているんです。しかし、髪が濡れるとこのキューティクルは開く性質があります。そのため、自然乾燥で濡れたまま放置していると、キューティクルが開きっぱなしになってしまい、髪が乾くとともに内部の水分も蒸散。その結果、髪がパサつき、カラーリングをしている髪なら色も抜けやすくなってしまうんです。

湿った頭皮は雑菌が繁殖しやすい

また、自然乾燥で頭皮が湿った状態を続けると、雑菌が繁殖しやすくなります。髪の毛は、ひとりあたり約10万本生えていて、頭皮に密集しています。そのため、自然乾燥では、髪の根元が乾きづらく、雑菌が繁殖しやすい状態になってしまうんです。そうすると、せっかく髪を洗っても、ベタつきやすくなり、ニオイやかゆみの原因に。特に、後頭部や襟足は乾きづらいので、そのまま寝るのはオススメできません。

頭皮の温度が下がって、冷えの原因に

さらに、自然乾燥で髪全体を濡れたまま放置すると、頭皮の表面温度が下がります。温度が下がると、血流が悪くなるので、髪に栄養も届きづらくなるんです。特に夏場などは、冷房の効いた部屋で濡れたままの状態でいると、さらに頭皮の温度が下がりやすいので注意が必要です。

このように、自然乾燥によるデメリットはとても多く、ラクだからという理由だけで気軽に取り入れるのは危険と言えるでしょう。

自然乾燥でも効果的に乾かす方法は?

自然乾燥のデメリットを知っても、手軽な自然乾燥はやっぱり魅力的ですよね。ドライヤーによる髪へのダメージも気になるという人のために、自然乾燥でも髪が傷みづらい方法をご紹介します。

髪が傷みづらい自然乾燥のポイント

どうしてもドライヤーを使うのがイヤだという方には、以下の4つのポイントをおさえて自然乾燥のデメリットを防ぎましょう。

洗髪後はすぐにタオルを髪に巻く

洗髪後は、お風呂場ですぐに乾いたタオルを髪に巻いておくのがオススメです。先にできるだけ水分を吸い取っておけば、お風呂上がりのタオルドライでさらに髪や頭皮の水分をふき取りやすくなります。吸水力の高いマイクロファイバーのヘアキャップなどを使用するのも効果的です。

吸水力の高いタオルで頭皮をしっかりふき取る

お風呂上がりには、先に髪に巻いておいたタオルとは別の乾いたタオルで、しっかりと水分をふき取りましょう。その際は、頭皮の水分をふき取ることを意識してください。特に後頭部は髪が密集しているため、頭皮が乾きづらいのでご注意を。使用するタオルも、できるだけ肌ざわりが良く、吸水力が高いものを選ぶといいでしょう。

洗い流さないヘアトリートメントで髪を保護する

しっかりとタオルドライした後は、洗い流さないヘアトリートメント(アウトバストリートメント)を毛先から髪全体に塗布します。濡れたままの髪はキューティクルが開いているので、表面を保護することが大切。ヘアトリートメントには、オイルやミルク、クリームなど色々なタイプがありますが、特にオイルタイプはコーティング力が高いのでオススメです。

目の粗いコームで髪をとかしておく

洗いっぱなしの自然乾燥は、髪にクセがつきやすくなるため、翌朝のセットが大変です。タオルドライをしてトリートメントを塗ったら、目の粗いコームで毛先からとかしておきましょう。このひと手間で、翌朝のセットがだいぶラクになりますよ。

髪に最も優しい乾かし方は?

手軽な自然乾燥も魅力的ですが、髪のことを第一に考えるなら、やっぱりドライヤーは欠かせません。ドライヤーの熱や摩擦によるダメージを防ぎながら、きちんと髪を乾かす方法をぜひ覚えておきましょう。

ドライヤーを使った正しい乾かし方

せっかくドライヤーを使うなら、髪に優しく仕上げるポイントをおさえて、ツヤツヤの美しい髪を目指したいですよね。時間に余裕があるときや、髪のダメージが気になるときは、以下の手順を参考にしてみてください。

しっかりタオルドライし、ヘアトリートメントを塗る

まずはドライヤーの前に、しっかりとタオルドライし、洗い流さないヘアトリートメントを塗っておきましょう。ヘアトリートメントには、ドライヤーの熱や摩擦から髪を守る効果があります。

まずは根元を中心にドライヤーをかける

ドライヤーをかけるときは、髪の根元からが鉄則です。髪をかき分けながら、内側に風を送り込むように乾かしましょう。髪が密集している後頭部は特に念入りに。使用するドライヤーは、風量の多い早く乾かせるタイプがオススメです。

ドライヤーは髪から離して揺らすように

根元が乾いたら、髪全体を乾かします。ドライヤーは髪から10cm以上離し、ドライヤーを揺らすようにして乾かすのがポイントです。1カ所に集中的にドライヤーの熱が当たると、髪のダメージにつながるのでご注意を。さらに、髪にクセがつきやすいという方は、少し髪を引っ張るようにして乾かすとクセがつきづらくなるので、ぜひ試してみてください。

仕上げは冷風で

髪全体の8〜9割が乾いたら、ドライヤーを冷風に切り替えてください。冷風で乾かすと、キューティクルが引き締まり、髪全体にツヤが出ます。暑い夏場なら、温風と冷風を交互に繰り返して乾かすのもいいでしょう。

時間をかけずに髪を乾かすには?

髪をいたわりながら乾かすには、それなりの手間と時間が必要です。しかし、「忙しくてヘアケアに時間をかける余裕がない!」という方もいるでしょう。そんな方のために、最低限おさえておいてほしいポイントをまとめました。

時間のないときに最低限おさえておくべきポイント

時間に余裕のないときには、以下の4つのポイントをおさえて、できるだけ髪がダメージを受けないよう気をつけましょう。

髪が濡れたままの状態で昼間に外出するのは避けて

髪が濡れたままの状態で昼間に外出するのは危険です。髪のキューティクルが開いているところに紫外線を受けると、髪の内部までダメージを受けてしまうからです。また頭皮も、洗髪後は皮脂分泌が少なくデリケートになっていますから、紫外線の影響を受けやすい状態と言えるでしょう。ですから、朝起きてシャンプーをして、そのまま自然乾燥で外出するのはできるだけ避けてください。

根元だけはドライヤーで手早く乾かす

時間がないときでも、根元だけはドライヤーで手早く乾かしましょう。根元は雑菌が繁殖しやすい場所なので、ニオイやベタつきを防いで清潔に保つためにも、いつでも根元だけは乾かすことを心がけてください。また、髪がうねるなどのクセも、根元を乾かしておけば予防できます。

ヘアトリートメントを塗る

時間がなくて髪全体を乾かせないときでも、洗い流さないヘアトリートメントを濡っておけばひとまず安心です。髪の水分が奪われるのを防ぎ、潤いを与えて保護してくれます。ぜひ、お風呂上がりの習慣にしてください。

冷房の風に髪が直接当たらないよう注意

髪が濡れた状態で冷房の風に当たると、髪内部の水分が蒸発して乾燥が進み、パサつきがひどくなります。枝毛や切れ毛の原因にもなりかねません。また、頭皮が急激に冷えることにより血流が悪くなるのも、髪や頭皮に悪影響です。ですから、時間がなくて自然乾燥に頼る場合は、冷房の風には当たらないよう注意してください。

生活スタイルや髪の状態に合わせて効果的に自然乾燥を取り入れよう

ドライヤーで髪を乾かすのが面倒という人にとっては、自然乾燥はとても便利ですね。自然乾燥のデメリットをしっかりと理解し、それを防ぐ方法で自然乾燥を取り入れるのがコツです。余裕がないときは自然乾燥で、髪が傷んでいるときはドライヤーを使って、と自分の生活や髪の状態に合わせて乾かし方を変えてみるのもいいかもしれません。髪が傷みづらい自然乾燥の方法をマスターして、上手にヘアケアを楽しんでください。

(文:齊藤あき、構成:朝日絵美瑠)

※画像はイメージです

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