お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

一人暮らしの生活費っていくらかかるの? 社会人の平均は?

川部紀子(ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士)

森嶋千春

何かとお金が必要なのが社会人の一人暮らし。一体どのくらいのお金がかかるのでしょうか。毎月の生活費の内訳や、必要なお金、節約についてファイナルシャルプランナーの川部紀子さんに聞きました。

一人暮らし社会人に必要な生活費の目安

たとえば、東京での女性の一人暮らし。家賃や光熱費、食費など、毎月どんなことにいくらくらいのお金がかかるのかを把握し、自分の支出の目安にしてみましょう。

一人暮らしの社会人、平均の生活費は?

東京で仕事をしている一人暮らしの女性の生活費は、平均約21万円~23万円と考えられます。平均価格に幅があるのは、東京の中でも住む場所によって平均家賃が異なるからです。都内のある2駅のデータでは、A駅の一人暮らし用平均家賃は6万7863円、B駅では8万6922円というように大きく差があります。

一人暮らし生活費の内訳

一番大きなウェイトを占める家賃以外の生活費は、総務省家計調査(2017年 単身・勤労者・関東)によると、食費4万3206円、光熱・水道1万464円、家具・家事用品4646円、被服及び履物6739円、保健・医療8080円、交通・通信1万8314円、教養娯楽2万989円、他3万2318円。家賃以外の生活費の合計はおよそ14万4000円となっています(1000円未満四捨五入)。

自分の支出と比べてみていかがですか? 平均より多いもの少ないもの、さまざまあるかと思います。他の人の支出と比べてみることで、自分の金銭感覚を見直してみるのも大切ですよ。

社会人の平均収入と貯金

平均的な支出がわかったところで、続いては東京で暮らす一人暮らしの女性の収入や貯蓄に関して平均がどのくらいなのか見ていきましょう。

社会人の平均収入

国税庁の調査(平成28年分民間給与実態統計調査結果)によると、30~34歳の女性の平均年収(額面)は315万円、25~29歳は309万円となっています。 単純に12で割ると25万円ほどですが、年収にはボーナスも含まれているので、実際の月収はもっと少なくなります。 上述の一人暮らしの生活費、ギリギリもしくは足りないといったところですね。ただこちらのデータは全国平均ですので、関東のみで平均を出す場合は、もう少し高いと思われます。

社会人の平均貯金額

30代の平均貯蓄額は592万円

金融広報中央委員会「知るぽると」の調査『金融資産の有無と金融資産保有額(2017年)』より、年収300~500万円未満の方の平均貯蓄額は、20代平均205万円、30代平均592万円となっています。平均の金額を見ると予想よりやや高いと感じる方も多いかもしれません。しかし、中にはとても大きな額を貯蓄している方もいるので、平均ではいわゆる“普通”がどのくらいか、ということが分かりにくくなる傾向があります。

約3割が貯蓄ゼロ

上記の平均の他に「中央値」という考え方があります。金額順に並べた場合の真ん中の人という意味ですのでこちらは自分の立ち位置が分かりやすいですね。同じく年収300~500万円未満の方の貯蓄額では、20代の中央値が50万円、30代の中央値が200万円です。ただし、約3割が貯蓄ゼロというのが現実。中央値で自分の立ち位置を知ることで、今後の目標も立てやすくなりそうですね。

一人暮らしの節約・貯蓄方法

収入や貯蓄額の平均や中央値を踏まえ、日々どんなことを意識し気をつければ、上手な節約や余裕ある貯蓄につながるのでしょうか。節約と貯蓄の方法をまとめました。

生活費を節約する方法

自動的にかかる支出を見直す

・家賃は収入に合っているか
・月々の生命保険はシンプルなものか、または、そもそもその生命保険は必要なのか
・スマートフォン料金の見直し
・放置している会費などはないか(ジム、習い事、Web関連の利用料など)
・クレジットカードの分割払い、リボ払いで解決できるものはないか

意識的に減らせる「女子的支出」

ぜいたく過ぎる食生活や過剰な交際費、何となく立ち寄るコンビニやカフェでの支出、スマホでたまたま見つけたカワイイ商品、ふらっと入ったショップで見つけた服・靴・バッグ、ていねいな暮らしができそうな雑貨などなど……。これら「女子的支出」に対して楽しく好きなようにお金を使っていたらキリがありません。お金が貯まるどころか、クレジットカードや銀行カードローンといった借金に足を突っ込んでしまうことになる可能性も。それではワクワクしたはずの支出が憎らしいものになってしまいます。そんな悲しいことはありませんよね。お金を使う前に、本当に必要か一度落ち着いて考えてみましょう。

ただ、筆者は誰もが節約をすべきだとは思っていません。お金は「使う」場面でもっとも輝けるもの。収支や貯蓄に問題がない方は、節約や貯蓄に縛られ過ぎずにもっと自由にのびのびとお金を使っていいと考えています。それが自分の喜びだけでなく、世の中のお金の循環をよくすることにもつながるのです。

一人暮らしで貯金する方法

会社の制度を使って月々の積み立て

貯めることが苦手だと感じる方におすすめの方法です。余ったら貯蓄に回そう、給料の口座に少し貯まってきたらまとめて別なものに移そう、という考え方では甘すぎます。まずは、毎月の給与から天引きでできる会社の制度のフル活用を検討しましょう。職場に一般財形、積立貯蓄があればすぐに申し込みをしてください。

老後資金の準備には企業型確定拠出年金

老後の準備も重要です。原則60歳まで引き出せない企業型確定拠出年金(企業型DC) に加入しているかどうか、自分のお金もプラスして積み立てられるかを確認し、自分が対象であれば申し込みましょう。

職場の制度がない人はiDeCoも検討

職場の制度がなければ、給料の振込口座から自動で積み立てられる定期預金、老後用にはiDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめです。

貯蓄は、金額は少なくても一刻も早く始めることが重要。気が付いたら1年、また1年と、どんどん時が経ってしまいますよ。

自分の収入と支出をきちんと把握しよう

毎月、自分のお金を何にどれくらい使っているかわかっていますか? 自分の収入がいくらあって、どんなことにどれだけ使っているかということを可視化し、整理していくことが節約や貯蓄への第一歩。まずは自分の支出の内訳を理解し、無駄を省きスリム化することで、自分への投資や貯蓄といった有意義なお金の使い方を身につけていきましょう。

(文:川部紀子、構成:森嶋千春)

※画像はイメージです

SHARE