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タクシーの上座と下座って? 知っておくべきビジネスマナー

三上ナナエ(マナー講師)

はらきよか

仕事をしているとタクシーを利用する機会が多くなります。その際に気になるのがタクシーの上座下座。乗車する人数が増えると混乱することもありますよね。タクシー待ちの列ができてしまうと気持ちが焦ってうっかりミスも。思いのほか忘れてしまいがちなタクシーの上座下座、タクシー利用時のビジネスマナーについて、マナー講師の三上ナナエさんにレクチャーしてもらいました。これを読めば社会人としてのマナースキルが向上すること間違いなしですよ。

そもそも上座と下座ってなに?

もともと上座、下座という考えは神聖な落ち着いた場所で客人をもてなすという思いが起源だと言われています。神聖な場所とは掛け軸がかかっている一段高い床の間があたります。一段高い側で、気分よく過ごしてほしい気持ちを表現するために上座をすすめるのです。

ビジネスシーンでも上座、下座を考えなければならないシーンがたくさんあります。入り口付近は出入りが多く、バタバタしてしまうことがあるので下座になります。対する上座は、落ち着いた場所でお過ごしいただきたいという気持ちを形にしたものです。

応接室、会議室以外でも懇親会やお祝いの場など、また部屋だけではなく乗り物にも上座、下座があります。お客様や上司と車に乗ることを想定し、基本のマナーを知っておくことで応対がスムーズになります。

気になるタクシーの上座と下座

続いて、タクシーの上座と下座について解説いただきます。

2人でタクシーに乗る際の上座と下座

上司は後部座席、部下の立場であれば助手席に座り、行き先を伝えたり支払いをします。

3人でタクシーに乗る際の上座と下座

上座の順に
①運転席の後ろ、後部座席
②助手席の後ろ、後部座席
③助手席
となるように座りましょう。

4人でタクシーに乗る際の上座と下座

上座の順に
①運転席の後ろ、後部座席
②助手席の後ろ、後部座席
③後部の中央座席
④助手席
となります。

上座をすすめても断られた。そんな時どうする?

気遣いで断る方がいます。ですからもう一度だけ「いえいえ、どうぞお乗りください」とおすすめします。それでもお断りされる場合は無理にすすめず。お言葉に甘えましょう。

その際は無言で乗り込まず、「恐れ入ります、先に失礼いたします。」と声をかけてから乗るようにしてくださいね。

タクシー乗り降りの際に注意すべきマナーとは

タクシーの上座と下座がわかったところで、乗り降りの際のマナーについても教えていただきました。

タクシーを呼ぶタイミング

天候、道路事情など勘案し、時間がかかることが予想されるときは早めに手配する必要があります。しかし、迎車の待ち時間が料金に含まれることがありますので早すぎないように、タクシーを呼んでいいか確認してから手配します。お帰りになると思って早めに呼んだら、話が別件であったりし、だいぶタクシーを待たせるなんてこともあるからです。待ち時間が料金に含まれなくとも、タクシー会社にも迷惑がかかります。

外でタクシーに乗る場合、乗り場以外で流しのタクシーを止めるときは交差点など他の車の妨げにならないような場所を選びましょう。

臨機応変な対応とは

上座に乗るのが相手にとって負担になる場合があります。例えば、荷物が多かったり、腰が痛かったり、タイトスカートであったりなど。様子を見て判断する必要があります。

その際、黙って上座に座るとマナーを知らないと思われますので、確認することが大切。「手前の方が乗り降りしやすいでしょうか」とひと声かけるといいでしょう。

また行き先が複数箇所で先に降りる人がいる場合、降りる順番を考え乗る場所をコーディネートしましょう。

目的地を伝えるとき

正確な住所を伝えれば大抵問題ないですが、カーナビがない場合も想定し、念のためプリントアウトした地図も用意しましょう。

また、会社名だけ伝えても広大な敷地の中にたくさんの建物がある場合は入り口を間ちがえるとかなり歩くことになるなんてこともあります。事前に行く先の部門、部署へはどのように行くのがいいのか調べておきましょう。

急いでいるとき

「急いでください」、と運転手の方に伝えても、到着時間は変わりませんし、困らせてしまいます。「〇〇まではどのくらいかかるでしょうか」とおおよそ時間を確認し、遅れることが予想された時点で先方にお詫びの連絡を早めに入れることが大切です。

車内での会話

沈黙なまま時間を過ごすのも失礼にあたります。やむをえず携帯を触る場合は「1件連絡を入れさせていただきます」などひと言断りを。無言で携帯をずっと触っているということはないようにします。話題はニュースや天気などいくつか用意しておきましょう。会社の機密に関わる話はもちろんNGです。

支払い

到着間際に支払い金額を予想し、お金を用意します。1万円札だけしかない、ということがないよう、あらかじめ両替するなど準備を忘れないようにします。

ICカードでの支払いはスムーズですが、クレジットカードは通信に時間がかかることがあるので避けましょう。経費清算にはもちろん、万が一の忘れ物の問い合わせのためにも領収書は必ずもらいます。

支払いはサッと終え、お客様や上司を待たせないことが大切です。素早く降りたら、ドアを押さえておく、雨の日は濡れないように傘をさしておくなどエスコートしましょう。

大事なのは、配慮が伝わり、余計な時間で待たせることがないようにすること。
あわあわしないよう、様々なパターンを事前に想定しておくと、できる人だ! と印象もアップします。

番外編:運転する人が取引先の方や上司の場合

取引先の方や上司が運転する場合は上座下座の順番が変わるので注意が必要です。これは“運転手扱いいたしません”という気持ちを表現するためです。

お客様や上司が運転してくれる(計2人で乗る際)

自分は助手席に乗るようにしましょう。

計3人で乗る際の上座と下座

上座の順に
①助手席
②運転席後ろ後部座席
が正しい順番です。

計4人で乗る際の上座と下座

上座の順に
①助手席
②運転席後ろ後部座席
③助手席の後ろ後部座席
となるように席をすすめましょう。

タクシーの上座下座を把握して完璧な社会人に!

タクシーの上座下座、ビジネスマナーって本当にわからなくなりますよね。お客様や上司によっては席をすすめても断られることもあり、余計に混乱してしまうこと、私もあります。三上さんに教えていただいた中で特に印象深いのは、柔軟に対応する大切さ。タクシーに乗り込む際、相手の状況を考えて、何がベストな対応か見極めることが大事なんですね。そんな柔軟に対応ができるのも、ビジネスマナーの基本があってこそ。三上さんに教えていただいたタクシー利用に関するビジネスマナー。定期的に読み返して、しっかり自分のものにしましょう。

(文:三上ナナエ、構成:はらきよか)

※画像はイメージです

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