むくみを解消したい女性必見! サプリメントの効果と注意点
むくみに悩んでいて、サプリメントに興味はあるけれど、どう取り入れていいかわからない……。そんなむくみを解消したい女性必見! 今回は、むくみに効果的なサプリの成分、また注意すべき副作用などについて管理栄養士の園部裕美先生に教えてもらいました。
むくみに効果的な成分とサプリメントの選び方とは?
ドラッグストアや通販サイトでは、むくみ対策のサプリメントをいろいろ見かけます。けれど、どんなサプリを選べばよいのでしょうか。むくみに効果的な成分や、サプリメントを選ぶ基準について教えていただきました。
むくみの原因と効果的な成分
園部:むくみは人によって原因がさまざまなので、まずはご自身のむくみの原因を解明することが重要です。その上で、どのような栄養素やサプリメントがよいのか考えていきましょう。むくみの原因と効果的な成分として、以下の項目が考えられます。
(1)塩分のとりすぎ→カリウム
(2)重力によるむくみ(血流の滞り)→たんぱく質、鉄分、シトルリン
(3)たんぱく質(アミノ酸)不足→たんぱく質
(4)鉄分の不足→鉄分、ビタミンC(鉄の吸収力をアップさせる)
(5)アルコールの過剰摂取→亜鉛、ビタミンB群、マグネシウム、グルタチオン
(6)体の冷え→鉄、たんぱく質
(7)アレルギーなどの炎症反応→DHA、EPAなどオメガ3系脂肪酸、ビタミンC
(8)何らかの病気によるむくみ
上記の原因による、むくみに効果的な成分について詳しく紹介します。
カリウム
余分な塩分排出と、利尿作用の効果があります。食物だと野菜、果物、豆類をはじめ、肉や魚など食材全般に含まれています。水に溶ける性質があり、カリウムを多く含む食品を煮出したお茶やスープなどでも摂取できます。
たんぱく質(アミノ酸)
血液中に含まれるタンパク質「アルブミン」は、体内の水分調整に重要な働きをします。アルブミンが減少すると血液中に水分を保持できなくなり、血管の外に水分がにじみ出て滞留してしまい、むくんだ状態になります。
鉄分
鉄分が不足して貧血の状態になると、体内の血液量や末端への血流量が減少してしまい、むくみにつながります。また、冷えの原因にもなります。
シトルリン(アミノ酸の一種)
シトルリンは、日本でスイカから発見されたアミノ酸です。体内で「アルギニン」に変換され、NO(一酸化窒素)を産出します。このNOには、血管の筋肉を柔らかくして拡張させ、血流を促進する働きがあることが解明されてきています(※1)。むくみに対して、明確なエビデンスはまだありませんが、この働き(血流促進)が冷えなどを改善し、むくみ防止につながる可能性はあるでしょう。
(※1)林登志雄 著 『シトルリンの代謝と薬効』
ビタミンC
鉄の吸収を助ける働きがあり、鉄分不足のむくみには、鉄分とビタミンCを組み合わせてとると有効です。
亜鉛、ビタミンB群、マグネシウム
アルコールや糖質、脂質、たんぱく質の代謝のために必要な栄養素です。アルコールを過剰摂取した場合、これらの栄養素が使われます。そのため、不足すると代謝が落ち、むくみの要因となってしまうことも考えられます。
オメガ3系脂肪酸
アレルギーなどの炎症反応でむくみが出てしまう場合、炎症を抑える働きのあるDHAやEPAと呼ばれるオメガ3系脂肪酸が有効です。
継続できるサプリメントの選び方
飲みやすいもの
園部: ビタミンB群やビタミンCなど、市販の水溶性のサプリメントは、体の中にとどまる時間が数時間なため、1日2〜3回、小分けにしてとることが理想的です。ただし、最近は長時間効果が持続するタイムリリース加工をしているものもあるので、小分けにとるのが難しい場合はそうした飲みやすいものを利用するのもよいでしょう。サプリメントを飲むタイミングは栄養素によって変わりますが、マルチビタミン・ミネラルのようなさまざまな栄養素が一緒に入っているサプリメントは、食後に飲むことをオススメします。飲み方としては、常温の水で飲むのが基本です。栄養素の効果を弱めてしまう場合もあるため、お茶やコーヒーなどで摂取せず、水で飲むことをオススメします。
無理のない価格
園部:サプリメントを継続するために、1カ月にかけられる価格を設定しましょう。いいサプリメントであれば、将来の健康のための投資にもなりますので、ある程度お金をかけても損はないと思います。ただ、サプリメントは食事の代わりにはなりません。まずは基礎となるたんぱく質や良質の脂質、エネルギー、食物繊維などをできるだけ食事から摂取して、その補助としてサプリメントを利用しましょう。サプリメントはある程度継続して飲むことが大切ですので、まずは1カ月続けてみて、体調の変化を観察してみるとよいでしょう。
サプリメントを選ぶ基準
園部:市販のものから選ぶ指針として、「第三類医薬品」や「医薬部外品」や「国から認定を受けているサプリメント」の表示を確認する人が多いようです。ただし、それらの表示があっても成分として何が入っているのか、合成素材、天然素材など原料として何を使っているか、添加物など必要のないものはどれくらい入っているかなど、チェックしてみることが大切です。サプリメントには「天然素材」と「合成素材」の二種類があります。ただ、天然素材の中でも、天然素材からビタミンを合成的に作るものもあります。簡単にいうと、以下3点に分けられるので、選ぶときの参考にしてください。効果は個人差があるため一概には言えませんが、それらの表示があるからといって効果的だとか安心とは言いきれないので、ご自身でしっかりと確認することをオススメします。
完全な天然のサプリメント
天然の食物素材のみで作ったサプリメント。値段が高く、作っているメーカーが少ないため、手に入りにくいです。
化学合成したサプリメント
栄養素を化学合成したサプリメント。値段が安いものが多く、どこでも手軽に買うことができます。
天然素材を利用し、化学合成したサプリメント
天然の食物素材を使用して、ビタミンを化学合成したサプリメント。
園部:「天然素材」と「合成素材」のサプリメントをとったときの作用の違いは、ビタミン単体でみたときは変わらないものもありますが、天然素材はたんぱく質などに囲まれており、構造上、体内への吸収がよいとされています。特に、ビタミンEやミネラル(鉄、マグネシウムなど)などは天然由来のほうが吸収がよいことがわかっています。天然素材のものであっても、安価なものは、残留農薬などの心配もありますので、信頼できるメーカーから選ぶこと、素材の産地がきちんと掲載してあるもの(HPなどで確認)を選ぶとよいでしょう。まとめると、以下のようになります。
・吸収率は一般的に 「合成 < 天然」で、天然のほうが高吸収率とされる。
・体にマイナスに働く可能性がある成分を含んでいるのは、化学合成のことが多い。
・合成のものは身体に必要のない化合物が含まれる可能性が高く、本来必要で摂取したい成分と拮抗(きっこう)してしまう可能性がある。
・素材にこだわっている天然素材のサプリメントは高価なものが多く、大量生産が難しいため手に入りにくい。
・天然素材でも、農薬が混ざってしまっているような安価な素材もあるので注意が必要
園部:「天然素材」と「化学素材」のサプリメントの見分け方ですが、パッケージの裏に書いてある原材料を確認してみましょう。食品の名称(例:ローズヒップ、米ぬか、酵母、レモン、アセロラなど)が書いてあれば天然成分を使用しています。栄養素の名称(例:ビタミンC、ビタミンB1など)が書いてあれば合成成分です。
また、パッケージに表示されている有効成分(添加物を除く栄養素)の含有量もチェックしましょう。サプリメントの重量に対して有効成分が少ない場合、カプセルや錠剤を固めるための成分が多く含まれており、本来とらなくてもいい添加物をとってしまうことがあります。この添加物の量は、下記のように計算することができます。1粒の重さー有効成分の量=添加物の量 (ちなみに、1g = 1000mg 、1mg = 1000µg)です。さらに、食べやすい(味が甘くておいしいなど)タイプのサプリメントの場合、糖分が多く使われているものもあります。成分値の炭水化物(糖質)量も合わせて確認してみましょう。
サプリメント服用の注意点
サプリメントを選ぶ基準は、いろいろあることがわかりました。では、サプリメントを服用する際、何に気をつければよいのか伺いました。
体に合ったサプリメント選びが大切
園部:なんらかの薬を服用している場合は、医師に相談してからサプリメントを飲むようにしましょう。栄養素によっては摂取しすぎると体に悪影響を及ぼすことや、空腹時に大量に飲むと胃や胸がムカムカしてしまうことも考えられるので、サプリメントを飲むタイミングと量は専門家に相談するか、規定の用法・用量を守って摂取しましょう。
また、副作用に関しては、個人差もありますが、「合成素材」のサプリメントでの発生が多く見られます。副作用が出たらいったん服用を中断して、素材を見直したり、一度量を減らして徐々に増やしていったり、医師へ相談するなど注意して服用しましょう。病気の治療中の方は、医師や専門家への相談なしにサプリメントを摂取するのは控えましょう。
妊娠中の方は、過剰摂取により胎児への影響が出るものがあるため、妊娠したら今使っているサプリメントを見直し、もし使うのであれば妊婦用のサプリメントにするのがよいでしょう。特にビタミンAは先天異常にもつながるため、摂取に注意が必要です。
まとめ
むくみの原因と、オススメのサプリや選び方がわかりました。毎日忙しくても、サプリは手軽に続けられる頼もしい味方ですが、選ぶ際は注意が必要です。また、サプリだけに頼らず食事でしっかり栄養をとり適度な運動も習慣化して、つらいむくみとサヨナラしましょう。
(文:園部裕美、構成:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.17)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください