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食物繊維のダイエット効果と摂取方法を管理栄養士が解説!

豊永彩子

ファナティック

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食物繊維という言葉を知っていますか? 食物繊維には、便通をよくしたりダイエット効果があると言われていますが、実際に私たちの身体の中でどんな働きをしてくれるのでしょうか。食物繊維の効果や摂取方法などについて、管理栄養士の豊永彩子さんに教えていただきました。

<目次>

 

食物繊維の種類と効果

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食物繊維を摂取することで、便通の改善やお腹の調子がよくなったという意見がありましたが、そもそも食物繊維とはどんなもので、どのような効果があるのでしょうか。管理栄養士の豊永さんに解説していただきました。

食物繊維とは

豊永:日本では「人の消化酵素では消化されない、食物中の難消化性成分の総称」と定義されています。食物繊維は摂取してもほとんどエネルギー源にはならず、消化・吸収されずに排出されるという特徴があります。現在では、食物繊維は五大栄養素に次ぐ第六の栄養素としても注目されています。

食物繊維の種類

豊永:食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に分類されます。

水溶性食物繊維

・ペクチン
・グルコマンナン
・アルギン酸
・イヌリン
・アルギン酸ナトリウムなど

不溶性食物繊維

・セルロース
・ヘミセルロース
・キチン
・リグニンなど

最近では、食物繊維が強化された健康食品なども増えてきていますが、それらの製品には、とうもろこしのデンプンを原料として作った、水溶性食物繊維である「難消化性デキストリン」が使用されていることが多いです。

食物繊維の体内での働き

豊永:「水溶性」と「不溶性」のそれぞれの働きについて解説します。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になる性質があるため、便を柔らかくして排泄を促したり、栄養素(特に糖質)の吸収を緩やかにしてくれます。また、腸内で「善玉菌」のエサとなって、善玉菌を増やす効果も期待できます。腸内には、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」が存在しますが、日和見菌は善玉菌にも悪玉菌にも変化するため、なるべく善玉菌を増やしてバランスを保つことが重要です。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は水に溶けない性質があるため、水分を吸収して膨らむことで腸管を刺激し、大腸のぜん動運動を促すことで排便をアシストしてくれます。また、便のカサを増やして排泄しやすくしてくれる効果も期待できます。

食物繊維の効果

豊永:食物繊維はエネルギー源にはなりませんが、身体に有益な影響を与える生理機能が注目され、多くの研究結果(効果)が報告されています。

血糖値の急上昇を抑える

糖尿病患者を対象とした「食物繊維摂取量の増加と血糖値の改善」に着目した複数の研究では、血糖値の改善が確認されています。これは、食物繊維の働きの一つである「糖質の吸収を穏やかにして、血糖値の急上昇を抑制してくれる」という働きが該当します。

食べすぎの予防

食物繊維を豊富に含む野菜や穀類(特に玄米や雑穀米)は、噛み応えのある食材が多いため、咀嚼回数が自然と増加します。それによって唾液や消化酵素の分泌が促進され、食べすぎの予防や、消化器への負担を軽減し、消化メカニズムをスムーズにしてくれます。

食物繊維にはこのような効果がありますが、具体的に「毎日○g摂ると不調が改善される」という数値が明らかになっているわけではありません。そのため、あくまで「健康に対するメリットが期待できる」という認識で、日常生活に取り入れてみてください。

食物繊維のダイエット効果

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食物繊維は、便秘解消や食べすぎの予防などに効果的だということがわかりました。それでは、ダイエットとしてはどのような効果が得られるのでしょうか。豊永さんに教えていただきました。

豊永:食物繊維が豊富に含まれている食材は、豆、穀類、野菜、きのこ、海藻などです。これらの食品は比較的カロリーが低く、カサがあり、ビタミンやミネラルなどが豊富に含まれています。これらの食材を積極的に摂り入れることで、自然と満足感が得られるようになり、食べすぎを予防することでダイエット効果が期待できるでしょう。

ちなみに、「ダイエット」という言葉への認識は人それぞれかと思いますが、「痩せすぎず、太りすぎず、心身ともに健康的な状態」と定義し、女性であればメリハリのあるボディラインを維持する適度な筋肉が必要だと言えます。肉や魚といった、身体やホルモンなどのベースとなるたんぱく質に「食物繊維をプラスする」と認識することで、自然と不足している栄養素が補えるようになるでしょう。

食物繊維の摂取量と多く含まれる食材

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食物繊維の効果を得るためには、具体的にどれくらいの量を1日に摂取すればいいのでしょうか。食物繊維を多く含む食材や、効果的な摂取方法について詳しく解説します。

食物繊維の目標量

豊永:食物繊維の1日の目標量は以下です。(※)

・成人(18~69歳)男性:20g/日以上
・成人(18~69歳)女性:18g/日以上

この目標量は、策定当時の「日本人成人(18歳以上)における食物繊維摂取量の中央値」と「心筋梗塞による死亡率の低下が観察された数値」をもとに算出されています。あえて2つの数値を活用した理由は、「現実的に摂取可能な量であるか」という点が考慮されているようです。

食物繊維が多く含まれる食材

豊永:食物繊維が豊富に含まれる食材は以下です。

水溶性食物繊維

・海藻
・昆布
・納豆
・キウイ
・アボカド
・ライ麦など

不溶性食物繊維

・玄米
・雑穀
・サツマイモ
・大豆
・ブロッコリー
・ごぼう
・ほうれん草
・かぼちゃ
・きのこ類など

これらの食材は、意識して摂り入れないと不足しがちな食材だと言えます。「これなら日常的に取り入れられそう!」という食材を見つけて、積極的に摂り入れてください。

食物繊維の効果的な摂取方法

豊永:食物繊維を効率的に摂るポイントは、主食を食物繊維が豊富なものに切り替えることです。例えば、お米であれば玄米や雑穀米、パンであれば全粒粉パンやライ麦パンなどです。継続的に摂取することが大切なので、自分が無理なく続けられる食材を見つけてみてくださいね。

また、食品には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」のどちらか一方だけしか含まれていない、ということはほとんどありません。食品によって、水溶性と不溶性のバランスが異なっているだけです。しかし、多くの食品は不溶性の含有量が水溶性の含有量を上回っていることを覚えておきましょう。

食物繊維を摂取する場合の注意点

 

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食物繊維が不足している場合や、逆に摂りすぎてしまった場合には、どんな症状が現れるのでしょうか。また、サプリメントで食物繊維を摂取する場合の注意点について豊永さんに聞いてみました。

食物繊維が不足した場合の症状

豊永:食事摂取基準においても、「目標量」の数値のみが設定がされているため、正確に「不足した場合の症状」として挙げられるものはありません。ただし、可能性として考えられる状態としては、腸内環境が乱れやすくなり、便秘リスクが上昇することです。

食物繊維を過剰摂取した場合の症状

豊永:食品から食物繊維を摂取した場合には、過剰となることはほとんど考えられないでしょう。

食物繊維をサプリメントで摂取する場合の注意点

豊永:食物繊維のサプリメントを摂取する目的は、「便秘改善」や「血糖値の急上昇の予防」というものが一般的だと思います。サプリメントは食品と違って過剰摂取してしまう可能性があり、その場合はお腹がゆるくなったり、下痢をしたり、血糖値のコントロールが上手にできずに低血糖となってしまうことがあります。適正量を守り、サプリメントと身体との相性も忘れずに確認してください。

まとめ

食物繊維には便秘解消や血糖値の急上昇を抑える効果などが期待できます。豆類や海藻などの食物繊維が含まれる食材は、日常生活で不足しがちな食材でもあるため、これらを意識的に摂り入れることで、自然と不足しがちな栄養素を補うことができるでしょう。食物繊維に限らず、さまざまな食材を摂り入れることを意識してみてくださいね。

(監修:豊永彩子、文:ファナティック)

※画像はイメージです

(※)厚生労働省
「日本人の食事摂取基準2015年版」

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