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お酢の健康効果とおすすめの摂り方

園部裕美

ファナティック

お酢は調味料として知られていますが、水で薄めて飲むドリンクタイプなども販売されているので、健康のために食事に取り入れている女性もいるかもしれません。お酢を摂ることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。お酢の栄養成分や効果的な摂取方法などについて、管理栄養士の園部裕美さんに取材しました。

<目次>

 

お酢の種類と栄養成分

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そもそもお酢とはどんな食品で、種類によってどんな違いがあるのでしょうか。お酢の種類や栄養成分について、園部さんに詳しく解説していただきました。

お酢とは

園部:「お酢」は、米や果実などの糖質を含む食材をアルコール発酵させ、さらに酢酸発酵させた液体のことです。お酢は、基本的に糖質を含む食材であれば何からでも作ることができ、穀物酢、米酢、米黒酢、りんご酢など、原料の数だけたくさんあって、それぞれに味や香りも異なります。JAS(日本農林規格)では、お酢のことを「食酢(しょくす)」と言い、酸度が4~5%程度になるように調整されています。

お酢の種類

園部:お酢は作り方によって、3種類に分けられます。

合成酢

エタノールから化学合成によって作られるもの。酢酸に砂糖、酸味料、調味料(アミノ酸等)、食塩などを加えて人工的に作られた液体調味料です。

醸造酢

穀物や果物などの原料をアルコール発酵させ、さらに酢酸醗酵させて作ったもの。

加工酢・合わせ酢など

JASでは規定はありませんが、酢を基本としてほかの調味料などを合わせたものです。

・すし酢
・甘酢
・二杯酢、三杯酢
・土佐酢(かつお節や昆布のだし、しょうゆやみりんなどを合わせて煮立たせたもの)
・吉野酢(三杯酢や土佐酢にさらにくず粉を加えてとろみをつけた酢)
・白酢(酢に豆腐や白すりゴマを加えた酢)
・梅酢(梅干しをつけたときにできる酢)
・生姜酢
・タバスコなど

醸造酢に少しでも合成酢が混ざっていたら、醸造酢と表示することはできません。合成酢は、調味料や漬物など作るための業務用として使われています。また、「ポン酢」は醸造酢ではなく、かんきつ類の果汁によって作られた酸味のある調味料の総称とされています。醸造酢は、原料によってさらに以下の3つに分けられます。

<醸造酢の種類>

穀物酢

米、酒粕、麦、トウモロコシ、豆、サトウキビなどの穀物から、1種類または2種類以上の原料を使用したお酢のこと。米が40g以上入ると米酢となるため、「穀物酢」と表示されるものは、それ以外の原料の割合が多くなっています。アルコール発酵させる代わりに醸造用アルコールを添加し、コストが下げられていることが多く、安価で手に入ります。シャープな酸味が特徴です。

・米酢……穀物酢のうち、米の使用量が穀物酢1Lにつき40g以上のもの
・米黒酢……米、または米に小麦もしくは大麦を加えて作られ、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上であるもの。かつ、発酵および熟成によって褐色(黒褐色)に着色したもの
・大麦黒酢……原材料として大麦のみを使用し、大麦の量が穀物酢1Lにつき180g以上であるもの。かつ、発酵および熟成によって褐色(黒褐色)に着色したもの

果実酢

りんご酢、ぶどう酢、そのほかの果実酢(バルサミコ酢、柿酢など)。醸造酢1Lにつき果実の搾汁として300g以上であるもの。

その他の醸造酢

穀物酢、果実酢のいずれでもない醸造酢(トマトやバラなど)。

お酢の栄養成分

園部:酢の主成分は酸味のもとである酢酸やクエン酸、グルコン酸、りんご酸、酒石酸などの有機酸です。酢は種類によって含まれる成分が異なりますが、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどが含まれています。

お酢の健康効果とダイエット効果

お酢は原料によってさまざまな種類があるようですが、お酢を飲むことによって身体にどんな効果があるのでしょうか。また、ダイエット効果は期待できるのかについて、園部さんに聞いてみました。

お酢の健康効果

園部:お酢には酢酸やクエン酸、アミノ酸などの有機酸が豊富に含まれていて、以下のような健康効果が期待できます。

・高めの血圧を下げる働き
・高めの血中総コレステロール値を下げる働き
・食後の急激な血糖値の上昇を穏やかにする働き
・疲労回復効果
・防腐、殺菌効果(食中毒予防)
・胃液の分泌を促進し、食欲増進効果、消化不良防止
・カルシウム、ビタミンCの吸収率をアップする効果
・調味料としての減塩効果

お酢のダイエット効果

園部:お酢は血糖値の急激な上昇を穏やかにしてくれるため、ダイエットに効果的です(血糖値の急上昇は大量のインスリン分泌を招き、体脂肪蓄積につながるため)。また、お酢の殺菌作用で腸内環境のバランスが整い、便秘予防にも効果があります。

お酢の効果的な摂取方法と注意点

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お酢には健康効果やダイエット効果がありましたが、具体的にどんな方法で普段の食生活に取り入れればよいのでしょうか。お酢の効果的な摂取方法について解説します。

調味料としての活用方法

園部:お酢はほかの調味料と組み合わせて「合わせ酢」にして使うと料理の幅が広がります。

二杯酢(酢:しょうゆ=大さじ3:大さじ2)

酢じょうゆとも言われており、砂糖を使用しないため、甘味が必要ない料理(脂っこい料理や酢の物)の調味料として使います。

三杯酢(酢:しょうゆ:みりん=1:1:1)

酢の物やところてんのタレなどに使われているのが三杯酢です。南蛮漬けや炒め物など、みりんや砂糖を使った甘味のある料理に使用できます。

甘酢(酢:砂糖:昆布だし=3:2:4+塩少々)

野菜や魚など、甘酢漬けの素として使います。

土佐酢(酢:しょうゆ:砂糖=4:2:1+かつお節)

三杯酢にかつお節を加えて煮たあと、かつお節を漉して使います。三杯酢よりもお酢の味や癖が弱く、出汁のうま味が加わるため、魚や焼き野菜、ゆで野菜などに合います。

お酢は脂っこさを和らげる効果があるため、豚汁やチャーハン、炒め物や中華料理などの仕上げにひとふりするとよいでしょう。また、お酢には肉や魚を柔らかくしたり、魚のくさみを取る効果もあるので、骨つき肉をお酢と一緒に煮込んだり、魚を酢につけてから煮魚にするのもおすすめです。さらに、お酢は野菜の色を鮮やかにしたり、変色を防いでくれる効果もあります。

お酢は加熱しても栄養成分は変わりませんが、酸味が弱まってしまうので、お酢のさっぱり感を味わいたい場合は、加熱の最後に加えるほうがよいでしょう。

ドリンクタイプのお酢の飲み方

園部:毎日、大さじ1~2杯(15~30ml)の少量を目安に、ラベルにある希釈倍率以上に薄めて飲んでください。砂糖や糖類が含まれているドリンクタイプのお酢は、多く飲みすぎないように注意しましょう。また、ときどき大量に飲むよりも、毎日少量ずつ飲んだほうが、血圧降下の作用があるという臨床試験結果が出ています。

お酢を飲むときは一気に飲みましょう。少しずつ飲んで強い酸が歯に長時間触れていると、歯のエナメル質を溶かしてしまう可能性があります。飲むタイミングとしては、空腹時はなるべく避け、食事中、または食後に飲むのがおすすめです。飲んだあと(直後でなく30分以上あとに)は口をゆすいだり、歯を磨くようにしてください。

お酢を摂るときの注意点

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園部:ドリンクタイプの場合、原液を飲むことは避け、必ず希釈して飲みましょう。酸が強いため、胃に負担がかかったり、歯を溶かしてしまう可能性があります。胃腸が弱い人は様子を見ながら飲んでください。調味料として使う場合も、念のため摂りすぎには注意したほうがよいでしょう。

まとめ

お酢には、うれしい健康効果やダイエット効果があり、調味料との合わせ方によってさまざまな料理に活用できます。お酢の酸味が苦手という人もいるかもしれませんが、加熱することによって酸味を飛ばすことができるので、うまく食生活に取り入れてみてくださいね。

(監修:園部裕美、文:ファナティック)

※画像はイメージです

 

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