顔のむくみの解消方法と予防方法
顔がむくんでパンパンになってしまうと、太って見えて恥ずかしいですよね。なぜ顔がむくんでしまうのでしょうか。顔がむくむ原因や解消方法、予防方法などについて皮膚科医の松島桃子先生に教えていただきました。また、顔のむくみがサインとなって現れる病気についても解説します。
<目次>
顔がむくむ理由
そもそも、むくむというのはどんな状態のことで、何が原因で起こるのでしょうか。松島先生に聞いてみました。
むくむとは
松島:私たちの体内は約60%が水分でできています。水分は「細胞内液」と「細胞外液(血液、リンパ液、間質液)」に分類でき、細胞外液に含まれる「間質液」は、細胞へ酸素や栄養素を運んだり、老廃物や二酸化炭素を運び出す役割を担っています。血液中に含まれる水分と間質液の水分の出入りがうまくいかないと、皮膚が膨張したような状態のむくみが生じるのです。
顔がむくむ原因
松島:全身のうち、特にむくみが生じやすい部位が「顔」と「足」です。立ったり座ったりして動いている状態だと、重力で水分が下に行くので顔のむくみは抑えられますが、代わりに足はむくみやすくなります。逆に、夜寝ているときは顔と足がほぼ同じ高さにあるため、顔にも余分な水分が行き渡り、顔にむくみが生じやすくなるのです。
顔のむくみの解消方法
もし顔がむくんでしまったら、どうやって解消すればいいのでしょうか。早くむくみを取るためのマッサージ方法や、顔のむくみが取れるまでの時間について教えてもらいました。
顔のむくみを解消する方法
松島:顔の表情筋は、日常生活で使う部位が限られていることが多いため、放っておくと気づかないうちにむくんでしまうことも。そんなときは以下の方法を試してみてください。
表情を大げさに作る
たくさん笑って、少し大げさに表情を作るだけでも、顔の筋肉が動いて血流がよくなるので、顔のむくみが解消されます。
リンパマッサージをする
朝晩のスキンケアの際にリンパマッサージをして、むくみを軽減させることも有効です。リンパマッサージの方法は「顔のむくみを解消するマッサージ」で解説しています。
ストレッチをする
起床時にストレッチをして全身の血液の循環をよくすることも、顔のむくみ解消に効果的です。
カリウムを摂る
ミネラルの一種であるカリウムは、塩分を体から排出させる役割を担っているため、むくみ解消に有効です。ただし、カリウムの過剰摂取は「高カリウム血症」という病気を招くことにもなるため、腎臓病や糖尿病、妊娠中の方は注意してください。
<カリウムを多く含む食品>
・バナナ
・アボカド
・キウイ
・わかめ
・ほうれん草
・さといも
・さつまいも
顔のむくみを解消するマッサージ
松島:顔のむくみを解消するためには、血液の流れをスムーズにして、溜まっている老廃物を取り除くことが大切です。顔がむくんでしまう場合は、以下のリンパマッサージを試してみてください。
リンパマッサージのやり方
(1)脇の下をもみほぐす(最終的な老廃物の出口となるリンパ節の位置)
(2)鎖骨の上をもみほぐす(重要なリンパ節がある)
(3)耳の後ろのくぼみから、首へかけてよくもみほぐす(老廃物の通り道)
(4)ほうれい線からこめかみにかけて、指ですべらせるように4~5回マッサージする
(5)こめかみから耳の後ろを通り、鎖骨の上まで、皮膚をさするように老廃物を流す
むくみ解消までに必要な時間
松島:朝起きて活動すると、自然と水分が下半身へと移動するので、昼~夕方ごろまでには顔のむくみが解消されるはずです。
顔のむくみを予防する方法
顔がむくんでしまうと、解消まで数時間は必要になります。それでは、そもそもむくまないようにするためにはどうすればいいのでしょうか。むくみを予防する食習慣や生活習慣について教えていただきました。
顔のむくみを予防する食習慣
松島:むくみを予防するために、以下の2つのポイントを意識してみてください。
塩分を摂りすぎない
塩分を過剰摂取すると、身体は塩分濃度を下げるために水分を欲します。すると、喉が渇いて水分をたくさん摂取してしまい、身体に水分が溜まってむくんでしまうのです。
アルコールを過剰摂取しない
アルコールの過剰摂取によって血中のアルコール濃度が高くなると、それを緩和しようとして血中に水分を取り込み、血管が拡張します。すると、最初に「むくむとは」で説明した間質液に水分が漏れ出し、結果むくんでしまうのです。
顔のむくみを予防する生活習慣
松島:適度な運動が大切です。筋肉はポンプの役割を果たして血液の循環を手助けしてくれるため、筋肉量が極端に少ない人や、体を動かさない人は、血液やリンパの流れが滞ってむくみやすくなります。
顔のむくみに隠れる病気のサイン
顔のむくみを予防するには、塩分やアルコールの過剰摂取を控え、適度に運動することが大切だとわかりました。しかし、顔のむくみには病気が関係していることもあるようです。顔のむくみが取れないときに考えられる病気の可能性について、松島先生に教えていただきました。
松島:顔のむくみとして現れる病気には、主に以下の2つが考えられます。
腎臓の病気
腎臓は、老廃物を尿として排泄する働きだけでなく、体内の水分量を調節する役割も担っています。例えば、真夏に水分をとっていないとき、尿量は少なくなりますよね。逆に涼しい場所で水分をたくさん摂取すると、トイレが近くなります。なんらかの原因によって腎臓の機能が低下してしまうと、身体の水分調整機能がうまく働かず、むくみとして現れるのです。
甲状腺の病気
甲状腺とは、体の代謝を促すホルモンを産生する小さな臓器で、喉ぼとけの近くにあります。甲状腺の機能が低下すると、身体の代謝が下がって、全身に倦怠感や疲労感が出てきます。甲状腺機能低下症によって生じる症状は多々ありますが、四肢や顔のむくみは典型的な症状です。
このほかにも、むくみをきたす臓器には肝臓や心臓疾患などもあります。顔のむくみは、日常生活の影響で誰でも起こりうることですが、むくみが慢性的・長期的に続いている場合、または、むくみ以外の症状(体重増加、食欲不振など)を伴う場合は、一度病院を受診してみてください。
まとめ
朝起きたときに顔がむくんでいると、テンションが下がってしまいますよね。むくみは食生活や生活習慣が主な原因です。例えば夜にお酒を飲んだら、水分をしっかりとって酔いをさましてから寝るなど、少しでも翌朝のむくみを軽減するように気をつけてみましょう。また、もし起きた時に顔がむくんでしまっていたら、記事で紹介したリンパマッサージを試してみてくださいね。
(文:松島桃子、構成:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックを行いました(2018.05.14)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください