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結婚詐欺に注意! 詐欺師の手口と狙われやすい女性の特徴とは?

刈谷龍太(弁護士)

今年も寒い冬がやってきました。寒くなってくると,人肌が恋しくなってきますよね。クリスマスが近づいていることもあり,素敵な出会いを求める女性も多いかと思います。しかし、悲しいことに、そんな幸せな恋愛や結婚を夢見る女性を騙す詐欺、「結婚詐欺」も昔から少なくありません。今回は、結婚詐欺に遭わないために知っておきたい「詐欺の手口」や「狙われやすい女性の特徴」などをご紹介いたします。さらに、結婚詐欺被害に遭わないようにするためにはどうするべきかについて、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞いてみました。

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結婚詐欺の手口とは

結婚詐欺師が狙うのは、ズバリ「結婚をしたいと考えている女性」です。そのような女性と出会う一番手っ取り早い方法は、婚活パーティやマッチングアプリなどの出会い系サイトです。結婚詐欺師は、出会いを求める一般男性を装っているため、ファーストコンタクトでいきなりお金の話をすることはまれで、まずは、交際にもっていくために心の距離を詰めていきます。
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また、結婚詐欺師は、当然ですが本名を名乗ったり、自らの本当の身分を明かすことはありません。婚活パーティや出会い系サイトで登録している職業、年収、名前は虚偽であることがほとんどです。偽る職業で多いのは、コンサルタント業、会社経営者などで、女性に対して経済的な信用を与えます。これには、お金の管理に長けているというイメージを与える戦略もあるでしょう。

女性は徐々に、しっかりとした仕事についていて信用できる、優しいなどいったイメージを持ち始め、詐欺師も結婚に対する意欲が強いことをちらつかせ、遊びでなく本気であるようにみせかけ、交際に発展させます。当然、交際に発展するまでに、詐欺師は相手の女性が結婚を切望しているかどうか、男性との交際の経験値をそれとなく確認し、自分がコントロールしやすいかどうかを見極めています。それと同時に、女性の経済力、すなわち女性の仕事やそれから想像される年収、お金の使い方(派手か地味か)、そこから考えられる預金額、実家の両親の仕事、実家の資産額まで計算している場合もあるのです。これらについて詐欺師が女性に質問する時は、あくまで日常会話の中などでさりげなく確認するため、女性側が見抜くのは困難であると言えるでしょう。

詐欺師が実際にお金を女性からとるパターンとしては、不動産投資を勧める方法があります。「節税ができる」とか、「二人の将来のために資産を増やした方がいい」などと上手く丸め込まれてしまうのです。コンサルタントや金融系の仕事をしていると名乗っていると、言葉にも説得力があり、言われるがままに契約してしまいがちです。不動産の契約をしてしばらくすると連絡が取れなくなってしまい、購入した不動産の価格も相場よりも高かったことに気付くことになったりするのです。また、会社の経営に失敗した、社員がお金を横領して早急に金銭を用意しないと不渡りを出さないといけなくなる、友人に騙されて借金が出来てしまい困っているなどと暗に泣きつく方法も多いです。詐欺師は「このような状況だと結婚が出来ない」「申し訳ない」などと言って「この金銭トラブルさえ解決できたら結婚できる」と女性に思い込ませるのです。こういったケースでは、詐欺師が「お金を工面してほしい」などと言う前に、女性の方から金銭を援助してしまうケースも多いですね。

結婚詐欺に遭いやすい女性の特徴とは

これまでお話ししたとおり、狙われやすい女性は、「結婚願望が強い」、「収入がしっかりした仕事をしている」、「金遣いが派手ではない」方と言えます。
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結婚願望が強い方は、結婚が目の前に迫ってくると、冷静な判断ができなくなってしまう傾向にあります。また、収入がしっかりあると投資用不動産の住宅ローンを組みやすいですし、仕事が忙しくてなかなか恋愛している時間がないという女性も、結婚に焦るという形でひとつ目の特徴のところにもつながってきます。金遣いが派手でない方は、しっかりと貯蓄をしている方が多いので頭金を入れて住宅ローンを組みやすい、また、詐欺師が困っている時にその貯蓄を切り崩して支援してくれるのが期待できるからです。

結婚詐欺師に狙われないためには、結婚願望が強いということを全面に出さない方がよいでしょう。また、安易に預貯金の額や収入も伝えるべきではありません。伝えるなら、交際してすぐではなく、ある程度年月が進んでからがオススメです。

世の中には交際を開始して直ぐに結婚し、円満な結婚生活を送ってらっしゃる方がたくさんいるので、交際して直ぐに結婚するのが悪いというわけではありません。しかし、結婚詐欺トラブルに巻き込まれるリスクを回避するという点でいえば、交際期間は長いほうが安全だと言えるでしょう。

結婚詐欺に遭わないようにするためにはどうするべきか

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「結婚詐欺」という法律用語は存在せず、あくまでも俗称にすぎません。結婚詐欺にあたるとして刑事責任の有無が問題になる場合、「詐欺罪」(刑法第246条)が成立するかどうかを検討することになります。そして、「詐欺罪」が成立するためには、金品等を交付することが必要となります(もっとも、詐欺未遂罪が成立する可能性はあります)。つまり、結婚詐欺を理由として刑事責任を問うためには、金品等を交付したことが必要になります。民事責任を問う場合についても、慰謝料請求を行う場合を除き、金品等を交付したことが必要になります。実際にも、結婚詐欺を行おうとする者は、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚をほのめかしながら金品等の交付を要求してきます。ですので、交際中の男性が何らかの理由をつけて金品等の交付を要求してきた場合、注意が必要です。もし、そのような話をされた場合、交際相手の話を鵜呑みにするのではなく、第三者の意見を聞いたり、証拠を確認したりすることによって、詐欺被害を防止できる可能性が高まります。

たとえば、交際相手が、「将来の蓄えのために、不動産投資をしよう」などと言って不動産投資の話を持ちかけてきた場合、交際相手が紹介してきた不動産販売業者が勧める不動産について、他の不動産業者にも見てもらい、値上がりの可能性が乏しいとか、相場より高いなどといった意見をもらえば、怪しいと気づくかもしれません。また、交際相手から、「知人に頼まれて借金をしたが騙されてしまった。お金を貸してほしい」などと言われた場合、借用書や振込明細書などの証拠を自分で確認することが必要でしょう。交際相手を信じていないようで罪悪感を覚えるかもしれませんが、そのような罪悪感に付け込むのが詐欺師ですので、ここは心を強く持ちましょう。

「結婚詐欺の手口と狙われやすい女性の特徴」まとめ

これまでの自分の人生に自信をもって、自分を大切にして欲しいと思います。愛する男性を信じる気持ちは素敵ですが、それだけがすべてではありません。あなたが騙されて悲しい思いをすることで、同じように悲しむ家族や友達の姿を思い浮かべてみて下さい。少しでもおかしいと感じたなら、彼を疑ってみる勇気も必要かもしれませんね。

(文:刈谷龍太/グラディアトル法律事務所)

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