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婚約破棄は慰謝料請求できる! 「リアルな理由」と「注意点」を弁護士が解説

篠田恵里香

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本来ならば幸せなはずの婚約期間。しかし、女性の中には、さまざまな理由から婚約破棄したいと思っている人もいるようです。また、恋人に婚約破棄されたという女性もいるでしょう。婚約破棄する場合、どんなことに注意しなければならないのでしょうか。弁護士の篠田恵里香さんに解説していただきました。

婚約破棄の条件

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そもそも、「婚約」とはどんな状態のことなのでしょうか。婚約破棄する男女の割合や、婚約破棄が認められる条件などについて、篠田さんに教えていただきました。

婚約って何?

篠田:婚約とは、「結婚しよう」というお互いの合意のうえで成立する「契約」のようなものであり、入籍して夫婦として共同生活を送っていこうという「約束」のことです。この結婚の意思は真意に基づくものでなければならず、酔っ払って思わず「結婚しよう」と言ってしまった場合などには、婚約の成立が認められない場合もあります。

ただし、婚約の成立はお互いの口約束で構わないとされているため、結納や婚約指輪のプレゼントといった行事が実施されていなくても、婚約の成立は認められます。

婚約破棄するのは女性と男性のどちらが多い?

篠田:婚約破棄した男女別の割合などがわかる公式なデータはありませんが、婚約を破綻にした原因は男性側に多いように思います。婚約したにもかかわらず、ほかの女性と浮気したというケースが多いようです。

 

婚約破棄が認められる条件

篠田:婚約は契約とほぼ同義なので、いったん成立した以上は守らなければならないのが原則です。しかし、正当な理由が認められれば、婚約破棄することも許されます。

婚約破棄が認められない場合

篠田:お互いが納得のうえで婚約を解消するのであれば問題ありませんが、正当な理由がないのにも関わらず、一方的に婚約を破棄することは、法的には違法という判断になります。厳密には、婚約の「不当破棄」という評価になり、民法709条の「不法行為」として損害賠償責任を負わなければなりません。婚約破棄された側は、当然精神的に傷つきますので、これを慰謝するための慰謝料を払う必要があります。

もちろん、婚約が成立したからといって、無理にでも結婚しなければならないわけではなく、婚姻届のサインを拒むことはできます。ただし、上記のような賠償責任を負う可能性もあるのです。

婚約破棄から訴訟に発展する場合

篠田:婚約破棄された場合、お互いに話し合って解決できればいいのですが、慰謝料の金額や正当な理由の有無など、お互いの言い分に食い違いがあってまとまらない場合は、裁判で白黒をつけることになります。裁判では、そもそも婚約が成立していたか、正当な理由があるかどうか(婚約の不当破棄に当たるのか)、慰謝料としていくらが妥当かなどについて、判断することになります。

婚約破棄の理由

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先ほど婚約破棄の理由には「浮気」が多いという話が出ましたが、ほかにはどんな理由があるのでしょうか。男女別の理由の違いについて、篠田さんに教えていただきました。

女性の婚約破棄に多い理由

篠田:やはり、圧倒的に多いのは、婚約相手の男性が浮気をしたという理由です。男性からすれば、まだ籍を入れたわけではないので、遊びのつもりだったのかもしれませんが、法的には婚約が成立した以上、ほかの異性と肉体関係を持つことは許されないとされています。したがって女性から婚約破棄することが認められ、婚約を破断に追いやった男性側が慰謝料を支払わなければならないのです。

男性の婚約破棄に多い理由

篠田:男性が婚約破棄する理由は、精神的なものが大きいように思います。例えば、一緒に暮らし始めたら相手の嫌な部分が見えたとか、相手の両親と馬が合わないとか、金銭感覚がずれているなどです。結婚式や住む家などを相談している段階で、女性のわがままな一面が見えたときに、結婚を躊躇する人も少なくないように思います。

婚約破棄するときの注意点

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もし女性が婚約破棄したいと思ったとき、いつまでにどんな方法で婚約を解消すればいいのでしょうか。「期間」「伝え方」「必要なもの」「注意点」について、篠田さんに解説していただきました。

婚約破棄できる期間

篠田:婚約が成立してからどれくらいまで破棄できるかついては、法的な期限はありません。ただ、結納の儀式や結婚式場の予約といった、結婚の段取りが進めば進むほど、婚約の成立が認められやすくなるとともに、解消時の慰謝料や賠償額も高くなります。つまり、金銭的負担や精神的負担を軽減するという意味では、無理だと思ったら早めに婚約破棄したほうが、自分の痛手は少ないと言えるでしょう。

婚約破棄したい気持ちの伝え方

篠田:相手が浮気したときなど、婚約破棄が正当なものと認められる場合は、率直に婚約を解消したいと伝えるべきでしょう。また、慰謝料を請求する場合は、お互いが感情的になってうまく話がまとまらない場合もあるので、弁護士を立てて交渉することが望ましいといえます。

問題は、正当な理由がないにもかかわらず、婚約を破棄したいと申し出る場合です。男性は基本的に女性との別れを引きずりがちなため、いい別れ方をするには、相手に納得してもらえるように誠意をもって気持ちを伝えるべきです。

婚約破棄に必要なもの

篠田:慰謝料などの責任を負わない形で、合法的に婚約を破棄するためには、やはり正当な理由があることを証明することが大切です。例えば相手の浮気が原因なのであれば、なるべく浮気に関する証拠を集めて、相手が言い逃れできないようにしておきましょう。仮に、自分の心変わりなどで正当な理由がないのに、婚約を破棄する場合は、慰謝料の準備が必要になるかもしれません。

婚約破棄するときの注意点

篠田:婚約破棄するか否かは、生涯を共にするパートナーを誰に決めるかという重大決心であり、それは相手にとっても同じことなので、その場の勢いやいっときの感情で決断すべきことではありません。まずは相手とじっくり話し合うことが大事です。

話し合いを重ねても結婚は無理となった場合には、婚約を解消するしかありませんが、その場合でも、後悔やわだかまりが残らないように、お互いの気持ちを伝え合うようにしてください。そのとき、感情的になってしまう場合には、必ず第三者を間に入れて話し合うようにしましょう。

婚約破棄された場合の対処法

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それでは、今度は女性が婚約破棄されてしまった場合の対処法について、篠田さんに教えていただきました。

女性が婚約破棄したくない場合の対処法

篠田:結婚はお互いの意思に基づくものなので、まずはじっくり話し合って男性に婚約破棄を考え直してもらいましょう。男性が婚約破棄を申し出た理由にもよりますが、それが女性側の性格や言動によるものであれば、真摯に自身のことを省みて、自分を成長させる方向で話し合うことも大事です。

いきなり婚約破棄だと言われると、「そんなのひどい!」と憤慨してしまいがちですが、それではむしろ男性の気持ちが離れてしまいます。夫婦になるということは、別々の家庭や環境で育った2人が同じ家庭を作るということ。すれ違いがあるのも当然です。まずはそのすれ違いを少しでも解消できるように、歩み寄ることから始めてみましょう。

婚約破棄を受け入れる代わりに慰謝料がほしい場合

篠田:男性からの婚約破棄を受け入れて慰謝料を請求する場合は、いくら請求すべきか、どんな手続きで請求すべきか、どんな書面を交わすべきかなど、法的な問題が多数絡んできます。仮に話し合いで婚約を解消する場合でも、あとから発生するトラブルを防ぐために合意書は作成しておくべきです。思わぬ問題が発生することもあるので、婚約破棄が起きた際には、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

婚約破棄の理由には、浮気や精神的な問題が多いようです。婚約破棄が起こらないことが一番ですが、もし婚約破棄をしなければならない場合、まずは正当な理由があるかどうかを確認してみましょう。また、慰謝料の請求といった金銭的な問題が絡んでくる場合は、弁護士に相談してみると安心できそうです。

(監修:篠田恵里香)

※画像はイメージです

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