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【新連載】彼に振られたあの日から、もう何もかもが面倒で……

何より、ほんの小さなことでも、
気持ちを伝え合える相手がいることは、
とても気持ちの安らぐことだと感じた。

いつもひとりで引きこもっていた小さな家の中も
「おはよう」とか「おやすみ」とか、
やりとりをする相手がいるだけで、
ひとりぼっちじゃない気がした。

ううん……今までだって、
そういうやり取りをする女友だちは何人かいた。
塚本さんは、やはり特別なのかもしれないと思う。

だから塚本さんが
「めずらしいメニューのあるお店があるんですが」
とドイツ料理のお店に誘ってくれた時は、
ためらわずにふたりで会うことにした。

「これは……たしかに不思議な味ですね!」
ドイツの料理はソーセージとザワークラウトしか、
知らなかったけれど、
見慣れないハーブで煮込んだビーフや、
食べ慣れない味の野菜のタルトは、
不可思議な味だけれど、とてもおいしかった。

そしてその翌週、塚本さんはさらに誘ってきた。

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