【新連載】偶然再会した彼は、私の過去の汚点を知る人物で……
そう言うと、原くんはちょっと驚いたように、
カフェオレのカップから、顔を上げた。
しまった、わたし唐突に変なことを言った、
と恥ずかしくなったけれど、
でも次の瞬間、原くんはニコッと笑った。
「確かに人の根本は、あまり変わらないかもね。
あのさ、実はぼく……中学3年の頃、
東城さんのことが好きだったんだ」
「そうだったんだ……」
「じゃなきゃ、他の人も休んでいる中、
東城さんがいなかったこと、覚えてない」
「そっか。なんか、すごくうれしい」
わたしは原くんの中学当時の恋心に、感謝した。
「で、先週のあの大雪の日、また会えて
『うん、やっぱり好きだ』って思った」
カフェの中は暖かく、わたしはこの人に、
中学の時からずっと守られていたような、
そんな不思議な感覚を感じていた。
「あ……ありがとう」
「よかったらまた来週、食事でもどう?」
原くんの誘いに、わたしは笑顔で元気にうなずいた。
(終わり)
※この記事は2014年03月06日に公開されたものです