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2022年12月05日 14:29 更新

【医師監修】妊娠中のヘアカラーやパーマはOK?胎児への影響とポイント3つ

妊娠中もヘアカラーやパーマでおしゃれはしたいものの、赤ちゃんへの影響が心配になりますよね。元々カラー剤でかぶれやすかったり、においで気分が悪くなったりする人は、なおさら敬遠してしまうのではないでしょうか。気を付けるべきポイントをまとめました。

妊娠中のヘアカラーやパーマ、胎児への影響は?

妊娠中にヘアカラーやパーマをしたい女性のイメージ
Lazy dummy

妊娠中のヘアカラーやパーマによって、おなかの赤ちゃん(胎児)は何か影響を受けるのでしょうか。

胎児への悪影響の心配はしなくて大丈夫そう

カラー剤やパーマ液が胎児に与える影響については、くわしく調べた調査があまりないので、実はよくわかっていません。ただ、頭皮に傷などがなければそこから吸収される化学物質の量は少ないので胎盤まで届く量はさらに少なくなり、基本的には赤ちゃんに害を及ぼすことはないだろうと考える専門家が多いようです。

「妊娠中に3〜4回ならば問題ない」
「妊娠中のヘアケア用品の安全性」と題したカナダの報告では、妊婦さんが自分でパーマ液を使用する場合、妊娠中に3、4回使用する分には問題ないとしています。また、同じ報告では、妊娠中の美容師が職業的にこうした製品を使用した場合でも、胎児に異常を引き起こす証拠はないとしています。ただし、妊娠中の美容師には手袋をして肌の露出を最小限に抑えること、十分な換気のうえで使用することなどを勧めています[*3]。

「心配な人は産後にしたほうがいいかも」
アメリカの大手総合病院・メイヨークリニックは、「妊娠中にヘアカラーをして大丈夫ですか?」という質問に対して、「理論的には皮膚から吸収するカラー剤やヘアスタイリング製品は限られているので、それらの化学物質が胎児に害を及ぼすとは考えられていない。ただ、妊娠中のヘアカラーの使用に関する研究は限られていて、安全と断言できるほどの証拠がないことを踏まえ、心配な人は、ヘアカラーやパーマ、トリートメントは産後にしたほうがよいかもしれない」としています[*4]。

「妊娠4ヶ月ごろまで待つ女性も多い」
一方、イギリスの国民保険サービス(NHS)では「妊娠中または授乳中に染毛剤を使用しても安全ですか?」という問いに対して、「たしかにヘアカラーに含まれる化学物質が害を引き起こす可能性はあるようだが、これは通常、女性が髪を染めるときに使用する量に比べて非常に高い濃度で使用した場合のことで、普通にヘアカラーやパーマをする分には妊娠中であっても安全だ」としています。ただ、「化学物質が赤ちゃんに影響を与える可能性が低くなることを期待して、多くの女性は妊娠12週くらいまではヘアカラーするのを待つ」とも記載しています[*5]。

上記から考えると、やはり妊娠中のヘアカラーやパーマが胎児に与える悪影響はそこまで心配しなくて大丈夫そうですが、こうした製品に含まれる化学物質が体に取り込まれるのをできるだけ避ける努力はしたほうがよさそうです。

妊娠中のお肌はヘアカラーに向かない?

美容室にいっている妊婦
Lazy dummy

胎児への大きな影響の心配はなさそうですが、妊婦さん自身の地肌などへの影響はどうなのでしょうか。妊娠中の肌の変化から考えてみましょう。

肌が敏感になるのでヘアカラーなどは要注意

一方、肌はというと、こちらも妊娠によって体中の血液の量が増えたり、エストロゲンや同じく女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えることで影響を受けます。これらの変化により皮脂の分泌が増え、妊娠中は肌のハリやツヤが良くなるともいわれています。

しかし、いいことばかりではありません。エストロゲンには日光に対する肌の過敏性を増加させ、プロゲステロンにはメラノサイトを刺激する働きがあるのではないかともいわれているのです。

それにより発赤や炎症などの肌トラブルが起こりやすくなったり、メラニンの分泌が促されてシミやそばかす、色素沈着が生じやすくなったりすることも。また、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人は妊娠してから肌の状態が悪化することがあったり、通常は肌トラブルの少ない人が妊娠中は湿疹やにきびに悩まされるようになるケースもあります。

つまり妊娠中の肌はハリツヤが良くなることもあれば、敏感で不安定な状態になることもよくあるのです。こうしたことから、妊娠中はスキンケア、ヘアカラー、パーマなど、肌に触れるものに注意が必要といわれることもあります。

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妊婦は髪の毛が太く、多くなる傾向にある

なお、一般的に妊娠すると髪が伸びる期間(成長期)は通常より長くなるといわれています。これにより頭髪が少し太くなることに気付く人もいるでしょう。また、顔や手足、背中の体毛が濃くなる人もいます。それには妊娠中のホルモン分泌の変化が関係しています。

妊娠中は女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加することで、毛髪の成長期が通常よりも長くなります。つまり、成長を終えて抜けるはずだった毛が抜けずに残りやすくなるということです。その結果、妊娠中は一本一本の髪が太くなり、またなかなか抜け落ちないので毛量も多くなる傾向にあるのです。
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妊娠15週ごろ、こうした変化に気付く人が多いとも言われます[*1]。ただし、この増毛効果は妊娠期間限定のもの。出産とほぼ同時に女性ホルモンの分泌量はいったん激減するので、それに伴い妊娠中、抜けずに残っていた毛髪が産後に一気に抜けていきます。人によっては一時的な薄毛の状態になることもあるでしょう。個人差がありますが、その状態が産後数ヶ月~1年以上続くこともあります。ほとんどの場合は、3〜6ヶ月以内に元に戻ります[*2]。
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妊娠中のヘアカラーやパーマで気を付けたい3つのポイント

美容室でのヘアカットのイメージ

以上を踏まえた上で、妊娠中にヘアカラーやパーマを行う際、気を付けたほうがよいポイントをいくつかご紹介します。

1. かぶれに注意する

最初にもお伝えした通り、妊娠中の肌は敏感で不安定な状態です。妊娠前は問題なかったものでも、突然かぶれを起こす可能性は否定できません。

ヘアケア用品にかぶれた状態になると、頭皮や髪の生え際、顔、首筋などの肌に、かゆみ、腫れ、発赤(赤み)、湿疹などの症状が現れます。そうした症状があれば、すぐに美容師さんに伝えましょう

2. においで気分が悪くなる可能性

妊娠中は、においにも敏感になっています。カラー剤に含まれる成分以外に、発するにおいで気分が悪くなる可能性もあります。

美容院でカラーリングをしてもらう際には、妊娠中であることを担当の美容師さんに伝え、できるだけ換気してもらうとともに、気分が悪くなったら休憩したいことも伝えておきましょう。

3. 長時間、同じ体勢をとることは避ける

化学成分やにおいもさることながら、じつは長時間同じ体勢を続けることで体調に影響が現れる妊婦さんも少なくありません。

この点についても、サロンでカラーリングをする際は美容師さんに妊娠中であることを伝え、放置時間中は時折立ち上がるなどの工夫をすることが大切です。

まとめ

ヘアカラーリングのイメージ画像
Lazy dummy

妊娠中のヘアカラーもパーマも、胎児への影響はあまり心配しなくても大丈夫そうということがおわかりいただけたでしょうか。ただ、かぶれやにおいで気分が悪くなるなど、妊婦さん自身への影響は多少あるかもしれません。個々の体調と相談しながら、できる範囲で妊娠中もおしゃれを楽しめるといいですね。

(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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