【医師監修】乳腺炎に葛根湯は効果的?授乳中の服用について

【医師監修】乳腺炎に葛根湯は効果的?授乳中の服用について

乳腺炎に漢方薬の葛根湯(かっこんとう)が効く、そんなことを見聞きしたママも少なくないと思います。漢方薬なら、なんとなく体にもやさしそうだし……と思うかもしれませんが、漢方薬も薬の一つ。正しく使用することが大事です。


乳腺炎の治療に葛根湯は効果がある?

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乳腺炎の治療では、頻回に授乳して(赤ちゃんに飲んでもう)乳汁を適切に出すことがまず行われますが、必要に応じて抗菌薬や消炎鎮痛薬とともに、漢方薬である葛根湯が用いられることがあります。

葛根湯というと風邪に効くというイメージがありますが、実は、乳腺炎など炎症性疾患にも健康保険の適用があります。

漢方薬とは?

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ここでちょっと漢方薬についてのおさらいです。

漢方薬とは、複数の生薬(薬効成分のある植物や鉱物など)を配合した薬。以前は生薬を土瓶などで煮詰めた汁を煎じ薬として服用していましたが、今は抽出した成分を粉状にしたエキス剤を、水や白湯と一緒に服用するのが一般的です。

また、漢方薬は漢方薬局やドラッグストアなどでも売られていますが、健康保険の適用になっているものもあります。

葛根湯で期待される効果

そんな漢方薬のひとつである葛根湯は、葛根や桂皮、麻黄、甘草などの生薬から構成される漢方薬。母乳の分泌を促して、うっ滞を改善する作用があります。うっ滞がなくなることによって、腫れや痛みなどの症状が緩和されます。

葛根湯は授乳中に服用しても乳児への影響がほとんどない[*1]とされていますが、乳腺炎が疑われる場合は、まずは医療機関を受診することを優先し、市販の葛根湯の使用はすぐに受診できない時などの応急的な使用と考えるのがいいでしょう。

なお、妊娠中の葛根湯の服用に関しては、「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、治療上の有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること」と添付文書などに書かれています[*2]。

漢方薬の安全性については後述します。

漢方ならば授乳中でも安心?

一般的に「体にやさしく、副作用もない」というイメージがある漢方薬ですが、必ずしもそういうわけではありません。

例えば授乳中の女性では、服用した漢方薬の成分が母乳に移行して、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性も指摘されています。実際、便秘に効果のあるとされる漢方薬をママが服用したことで、赤ちゃんが下痢することもあります。
また、漢方薬が体質的に合わない人もいますし、副作用もあります。

少なくとも授乳している間は、たとえ漢方薬であっても医師の診断を受けて、処方してもらうことが大切です。服用後に体調が悪くなるなどの症状が見られたら、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。

乳腺炎ってどんな病気?

そもそも、乳腺炎とはどんな病気でしょうか。ここからは乳腺炎について簡単に解説していきます。

乳腺炎の種類は大きく2つ

乳腺炎は、授乳中の女性にしばしばみられる代表的な乳房トラブルです。

分泌された母乳の排出が不十分で、乳房の中に母乳が滞ってしまうことがきっかけで起こる「うっ滞性乳腺炎」と、授乳などによって乳頭やその周辺に傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して炎症が起こる「化膿性乳腺炎」とがあります。

うっ滞性乳腺炎があると細菌に感染しやすく、化膿性乳腺炎に進行しやすいので、注意が必要です。

乳腺炎の症状は?

うっ滞性乳腺炎の症状は、腫れやしこり、痛みなど。まれにわきのリンパ節が腫れることもあります。

一方、化膿性乳腺炎ではうっ滞性乳腺炎の症状に加えて、赤みや熱感、わきの下のリンパ節の腫れなどの症状が現れます。炎症が進むと、寒気や高熱(38~39度以上)など、全身症状が見られるようになります。

乳腺炎の治療法は?

乳腺炎の治療は、症状の程度によって異なります。症状が軽ければセルフケアが中心となり、症状が強ければ医師の指示のもとで薬物治療を行っていきます。

乳腺炎でも授乳ができるのか心配するママもいると思いますが、授乳は乳管にうっ滞した母乳を減らしてくれるので、症状が改善することが少なくありません。ですので、授乳はむしろすすめられています。

症状が軽い場合

症状が軽いうっ滞性乳腺炎では、前述したように母乳を出すことが症状の緩和につながるので、授乳や搾乳がすすめられます。授乳は症状がある側で行っても問題ありません。

疲労やストレスも乳腺炎のリスクになるので、休息もできるだけとるようにします。

授乳期は赤ちゃんのことが気がかりで、どうしても無理をしがちです。家族に手伝ってもらえるところはお願いし、できるだけ授乳に専念できる状態にしたいものです。

また、おっぱいの飲ませ方が原因で母乳が溜まり、乳腺炎を発症するケースもあります。とくに初産のママはその傾向があるようです。思い当たる節があるママは、一度、助産師などに相談してみましょう。

症状が重い場合

症状が強いうっ滞性乳腺炎や化膿性乳腺炎では、痛み止め(消炎鎮痛薬)を使うことがあります。赤みや熱感があるときは患部を冷やす冷湿布を行います。

また、化膿性乳腺炎では細菌感染を起こしていることから、セフェム系やペニシリン系の抗菌薬を短期間だけ用いることもあります。

抗菌薬は適切に服用しないと、薬が効かない耐性菌ができてしまうおそれがあります。医師の指示を守って服用することが重要で、症状が治まったからといって自己判断で服用をやめないようにしましょう。

授乳・搾乳に関しては、重症の化膿性乳腺炎で避けた方がいいケースもあります。状況を見た上で最良の治療法を判断しますので、医師や助産師の指示に従いましょう。

まとめ

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乳腺炎の治療は、症状の程度によって異なります。軽度ならセルフケアが中心で、重度なら抗菌薬や解熱鎮痛薬などによる薬物治療が必要になることもあります。
葛根湯は授乳中でも服用できる薬の一つで、乳腺炎には健康保険の適用もあります。ただし葛根湯も薬なので、安易な使用はいけません。乳腺炎が疑われる場合は、まずは、赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらい、一日たっても症状がよくならない場合や症状が重い場合は、授乳指導を行える産婦人科などを受診しましょう。

この記事の監修ドクター
浅野仁覚先生
アルテミスウィメンズホスピタル(東京都東久留米市)院長。福島県立医科大学、同大学院卒業後、社会保険二本松病院、南相馬市立総合病院産婦人科医長、福島県立医科大学附属病院総合周産期センター(母体・胎児部門)助教、東府中病院副院長を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、J-MELSベーシックコースインストラクター

参考文献
[*1]公益社団法人 福岡県薬剤師会HP 薬事情報センター
[*2]ツムラ葛根湯エキス顆粒 添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200013D1123_1_12

(文:山内リカ/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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