ジェンダー平等は進まない⁉ マンパワーグループ「2024年 働く世界の展望 女性の仕事の現状と未来」を発表
総合人材サービスのマンパワーグループはこのほど、日本を含む世界42ヶ国・地域の雇用主を対象に、働く女性の現状や、企業・組織における女性活躍推進の調査結果をベースにした労働白書「2024年 働く世界の展望 女性の仕事の現状と未来」を発表しました。
働く女性の状況、企業・組織におけるジェンダーギャップ解消に向けた取り組み
世界的に、半分以上の職種で、ジェンダー平等の取り組みが順調に進んでいるとは言えないことが明らかになりました。
調査に回答した企業の3分の1が、ダイバーシティ、公平性、インクルージョン、帰属意識(DEIB)の取り組みはあるが、目標に対して進捗が遅い、またはほとんど進捗がないと答えています。
ジェンダー平等を推進するために、企業・組織が提供している新しい働き方
現在、仕事のあり方や環境をめぐり、3つの大きな変化が起きています。柔軟性が向上し、大規模なスキルアップとリスキリングが必要とされ、テクノロジーの融合が進んでいます。
このように職場が大きく変化したことを受け、同社は、新しい働き方がジェンダー平等に与える影響を調査しました。
グローバル全体では、37%の雇用主が、多様な人材の確保に最も効果的なのは、柔軟な働き方を導入することであると回答しています。
データによれば、従業員のフィードバックやディスカッションを通じて柔軟な働き方のルールを共同で作り上げるという施策も非常に有効であることがわかりますが、地域や業種によって、取り組みに差があることが明らかになりました。
例えば、中南米では48%が効果的な施策を打ち出しているのに対し、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域では、その割合は36%にとどまっています。
柔軟な働き方をめぐる意見交換の実施については、業種間で特に大きな隔たりが見られました。効果的な施策を実施している割合が最も高い業種は「情報技術(IT)」(44%)で、最も低いのは「エネルギー/公益事業」(32%)でした。
21世紀の労働市場を担う貴重な人材「女性」の活躍を推進するために
ベビーブーム世代が本格的に退職を迎える中、多様な人材を惹きつけ定着させることは、もはや企業にとって特別な取り組みではなく、今後は必須課題となるでしょう。女性は、これからの職場で、ますます重要な役割を果たすようになります。
そのような中で、女性の能力を十分に生かせる雇用主は、さまざまな面で競争優位に立つことができます。
DEIB推進部門に十分なサポートをしましょう
DEIB目標を設定したら、会社の事業運営に落とし込むことが必要です。DEIBに取り組む場合、その中心となる部門に十分なリソースや主要な成果を測る明確な指標(KPI)がないとうまくいきません。個々のチームに対し、適切なツールやリソース、およびDEIB を実現する知識や能力を養う教育が用意されていない場合も同様です。
女性同士のつながりを強化しましょう
マンパワーグループの北米地域プレジデント兼チーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)であるベッキー・フランキウィッチ氏は、「女性従業員に必要なのは、社内の経営幹部クラスの女性が主宰するリソースグループ(同じ背景や特性を持つ従業員の集まり)を通じて、成功を収めた人たちが歩んできた道のりを知ることです。こうしたグループでは、メンバー同士が互いに責任を担い、支え合い、いつでもコミュニケーションが取れます」と述べています。
社内タレントマーケットプレイスを活用しましょう
タレントマーケットプレイスとは、AIを活用し、在籍する従業員のスキル、経験、および希望と、空きのあるフルタイムのポジションやパートタイムのプロジェクト、あるいはメンターとをマッチングさせるオンラインシステムです。このシステムは、社内人材のモビリティを高めるとともに、従業員が仕事面で成長、新たな挑戦をし、会社に一層の付加価値をもたらす機会を創出する上で大きな役割を果たします。
スキルアップとリスキリングに力を入れましょう
スキルアップとは、従業員が現在従事している仕事に役立つスキルを習得することに対し、リスキリングは、これまでとは異なる新たな仕事のためにトレーニングを行うことです。職場には毎年新しいテクノロジーが入ってきますが、社内にテクノロジー・トレーニング・アカデミーを設ければ、すべての従業員(特に女性)が必要に応じてスキルアップするための時間とリソースを確保することが可能となります。
福利厚生に柔軟性を持たせましょう
従業員のオフィス勤務復活に力を入れたり、介護やメンタルヘルスをサポートする福利厚生を縮小したりする企業が増えていますが、柔軟性に欠ける勤務体制や勤務時間が、女性にマイナスに働くことを経営陣は忘れてはなりません。新しい施策の立案や福利厚生の検討にあたっては、アンケート調査を行うなど、従業員を議論に参加させた上で、最適な施策を見つけ出すようにしましょう。
調査概要
調査時期:2024年1月2日〜1月31日
調査機関:自社調査
調査対象:世界42ヶ国・地域の公的機関・民間企業
有効回答数:40,385
調査方法:マンパワーグループWEBアンケートによる調査
(エボル)
※この記事は2024年08月02日に公開されたものです