【第7話】4人に奇跡のような共通点が発覚。運命の歯車を動かした“謎の女”の存在
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、フジテレビ木曜ドラマ『いちばんすきな花』を毎週考察&展開予想するコラムです。“男女の間に友情は成立するのか?”をテーマに、違う人生を歩んできた4人の男女が紡ぎ出す“友情”と“恋愛”を描く同作。それぞれの価値観を持つ4人が考える“本当に大切なもの”とは――。
※このコラムは『いちばんすきな花』7話までのネタバレを含んでいます。
新たな4人の共通点、美鳥ちゃんの存在
「二人組が苦手」という共通点と、突然の出会いから急激に仲良くなった、ゆくえ(多部未華子)、椿(松下洸平)、夜々(今田美桜)、紅葉(松尾楓珠)の4人。ここにきてまた一つ、奇跡のような共通点が見つかりました。
それぞれが違う時、違う場所で交流を持ち、心と記憶に深く刻まれている、美鳥ちゃんという一人の女性の存在です。そして、椿の家の前の家主が、まさにこの美鳥ちゃんでした。
第一話で、ゆくえが椿の家に寄った帰りに美鳥ちゃんに電話をかけ、「お家この近くだったよね? えっ? 北海道戻ったの?」と家に寄ろうとしていましたが、その家が椿の家だったのですね。
そして、「東京に戻ってきて塾をやるから一緒にどうか」とゆくえに声をかけていたようですが、それが椿の家を買い戻したい、という話につながっていたわけです。
それぞれからみた美鳥ちゃんという人間
椿にとっての美鳥ちゃんは「もう一度会いかった中学の同級生」。その頃の志木さん(美鳥)はとても荒れていて、学校に来ると誰かしら殴っていたほど。彼女が椿のことをどう思っているかは分からないけれど、椿にとっては記憶に残る友達でした。
ゆくえにとっての美鳥ちゃんは「高校の頃の憧れの塾の先生」。そして唯一、今でも美鳥ちゃんの連絡先を知る関係でもあります。
紅葉がずっと探していた、椿の家の前の家主がまさにこの美鳥ちゃんであり、小花先生。紅葉にとっての小花先生は、「高校時代の先生で、ずっとイライラしていて、みんなに嫌われていた。でも唯一、紅葉の本当の苦しみに気づいてくれた人」。
夜々から見たみどちゃん(美鳥)は、「大好きな従姉妹のお姉ちゃん」。親と折り合いが悪いなど、いろいろあったようだけど、ぽわーっとした柔らかい人で、少しだけ一緒に住んでいたこともあるようです。
こう並べると、まるで同じ人とは思えないような、印象の違いに驚きますが、人間ってある人にとっては悪人でも、ある人によっては善人だったり、たくさんの面を持ち合わせていて、人によってどの面が見えるかで印象ってガラッと変わるものです。
それを極端に表すような面白いほどの多面性を持った美鳥ちゃん。果たして実際はどんな人なのでしょうか。
チグハグに見えて、実は一貫性のある美鳥ちゃんの人間性
いろんな話をつぎはぎのように合わせると、美鳥ちゃんの粗暴な面にはきちんと理由があるように思います。
夜々の話によると、「親との折り合いが悪かった」美鳥ちゃん。椿のいう「中学の頃、あまり学校には来ず、来たと思えば暴れていた」というのは、この家庭環境の悪さによって起こっていたもので、理不尽に暴れるヤバい女、というわけではなさそうです。
また、紅葉の知る美鳥ちゃんは、「ずっとイライラしていた」ということですが、紅葉と会っていた頃は「小花」姓で結婚をしていたようです。今はもう離婚しているようですので、このイライラは、結婚生活に何か大きな問題を抱えていて、気持ちが乱れていたのかもしれません。
ゆくえの記憶の中の美鳥ちゃんは「憧れを抱くほど、素晴らしい人」。塾の先生をやっていた頃が一番自分らしくいられて、やりがいを感じていたから、今もう一度塾を始めたい、と考えたのでしょうか。
椿が実家から引っ張り出した家の絵も気になります。あの家は大人になって購入したもので、実家は北海道のようです。いろいろ事情があった人と夜々が言っていたように、中学の頃は何か理由があって東京の桜新町に住んでいたのでしょうか。
親と折り合いが悪かったのであれば、「家」というものに思うところや理想がありそうですし、何かそういった気持ちが込められた絵、なのかもしれません。
美鳥ちゃんが帰ってくることで、美鳥ちゃんが部活の顧問、4人が生徒、のように、あの家が引き続き部室として存続できたら最高なのですが。
頭では分かっているのに気持ちが追いつかないあるある
カラオケで偶然にも再会した、ゆくえと元親友・赤田(仲野太賀)。
やっぱりこの2人には歴史がある分、仲の良さは別格です。選ぶ飲み物は二人とも同じメロンソーダ。お互いをよく知るからこその会話の噛み合い方や小気味いいテンポ、心の許し方。見ていてとても気持ちがいい分、やっぱりこの友情が無くなってしまうのはとても悲しい。
赤田はいいやつだからこそ、偶然ゆくえと会った事を奥さんに報告します。そこで分かったのは、奥さんは二人の間にきちんと友情が成立しているのを理解していたこと。
そして、「だからこそ嫌」だと。男女の友情が存在することは理解しているし、ゆくえの存在が赤田に必要なのは分かっている。でも友人だからこそ、赤田に与えられるものがある。
そこに嫉妬してしまうから、頭で理解していても、どうしても受け入れられないと。人のことになると達観できるのに、いざ自分のこととなるとどうしても受け入れられないって分かりみが深すぎて……。
とはいえ、自分が全部与えたいと思うのは愛だけど、やっぱりどんなに愛するパートナーであろうと、やっぱり友人にしか補えないものってあるわけです。これが男友達なら赤田の奥さんも許していたのでしょう。ゆくえも言っていましたけど、やっぱり性別ってめんどくさいのかもしれません。
焦った夜々の大暴投
椿にひっそりと心を寄せる夜々。タイミングを見極めようと思っていたのに、椿の家をどうにか守りたい、という焦りから突然大胆な提案をし過ぎてしまいます。
「私が純恋さん(臼田あさ美)の代わりになるってありますか?」
いろいろあった元婚約者の名前を具体的に出すって、生々しさがあって、ただ告白するよりもかなりギョッとさせてしまいそうです。
この家に椿のパートナーとして住む、という5段階くらいすっとばした突然の提案。斜め上からの暴投フレーズに、椿は困り果て、「3人みんな同じように好き」と一蹴されてしまいます。
出会ってからまだ間もないし、これから少しずつ距離を詰められるチャンスはあるはずなのに、捨て身の提案をしにいった夜々ですが、それだけあの家の存在が大切だったのでしょう。ここから挽回はあるのでしょうか。
美鳥ちゃんの存在が4人をどう動かしていくのか
椿と美鳥ちゃんの中学時代の関係の詳細は次回明かされるのでしょうか。
二人の関係は、「ゆくえの塾の教え子の不登校女子と、それを気にかける男子」のような感じだったのかもしれません。元々おしゃべりだった椿は、中学に入って周りに合わせるようになったようですが、毎日は学校に来ない美鳥ちゃんだからこそ、素の自分を出して話せる相手だった、などもあるかもしれませんね。
突然の美鳥ちゃんの存在が、この4人の関係をどのように動かしていくのか、楽しみです。
(やまとなでし子)
※この記事は2023年11月30日に公開されたものです