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「ありがたい限りです」の意味は? 使い方や言い換え表現を紹介【例文付き】

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「ありがたい限りです」は、ビジネスシーンだけでなく日常生活でもよく用いられる表現です。しかし、上司など目上の相手にそのまま使用しても問題ないのでしょうか。今回は、「ありがたい限りです」の意味や使い方、言い換え表現について解説します。

「ありがたい限りです」は、ビジネスシーンから日常生活まで幅広く使える表現です。単に「ありがとうございます」と述べるよりも、さらに深い感謝を伝えることができます。

しかし、この表現はそのまま目上の相手に使用しても問題ないのでしょうか?

今回は、「ありがたい限りです」はどんな場面で用いるのが良いのか、正しい使い方を解説します。また、このフレーズの言い換え表現についても見ていきましょう。

「ありがたい限りです」の意味

「ありがたい限りです」の「ありがたい」には、辞書によれば次のような意味があります。

ありがたい【有り難い】

(1)存在が稀である。なかなかありそうもない。珍しい。

(2)生きるのがむずかしい。

(3)なしがたい。むずかしい。

(4)(世にも珍しいほど)すぐれている。立派である。

(5)またとなく尊い。もったいない。恐れ多い。

(6)(人の親切や行為などに対し)感謝したい気持である。身にしみてうれしい。

(7)本当に恵まれていて、うれしい。

(出典:『広辞苑 第七版』岩波書店)

今回用いる「ありがたい」の主な意味は、6つ目の「感謝したい気持である。身にしみてうれしい」に該当すると考えられます。

ただし、その他の「稀である」「恐れ多い」「本当に恵まれていて、うれしい」も的外れとは言い切れません。これらは感謝の原点にある気持ちとして捉えることができるでしょう。

また、「限り」は数量・空間・時間・物事などさまざまな限界や範囲を示す言葉ですが、「ありがたい限りです」の「限り」には、次のような意味があります。

かぎり【限り】

1.ある物事に関し、その動作・作用・影響が及び得る境。
(2)数量・程度の極限。

(出典:『広辞苑 第七版』岩波書店)

以上のことから、「ありがたい限りです」は、身にしみるほどの感謝がこれ以上ないほどに極まっている時の気持ちを表現する言葉です。

「ありがとうございます」よりも、さらに深くお礼を述べたい場面で使うことができるでしょう。

「ありがたい限りです」は目上の人に使っても大丈夫? 使用時のポイント

「ありがたい限りです」は、目上の人に対しても使用可能です。

ビジネスシーンやかしこまった場面などで、より丁寧な敬語表現にしたい時は、「ありがたい限りでございます」と述べるのがおすすめ。

逆に、日常生活で使うにはやや硬い印象があるため、友人や後輩などに対しては「ありがたい限りだよ」といった言い回しにすると良いでしょう。

「ありがたい限りです」を使った例文

「ありがたい限りです」は、ビジネスシーンから日常生活までさまざまな場面で用いることができます。以下で例文を見ていきましょう。

例文1

歓送迎会などで、迎えてくれる(送ってくれる)相手に対して感謝の気持ちを述べる時に使うことができます。

「こんなに盛大に見送っていただけるとは、ありがたい限りです

例文2

名誉ある受賞式や周年記念の式典などでスピーチをする時にも使用可能です。フォーマルな印象にしたい場合は、「です」を「ございます」に換えると良いでしょう。

「日頃私を支えてくださる周囲の方々あっての受賞であり、本当にありがたい限りでございます

例文3

就職や転職、異動などでお世話になった目上の相手にお礼を述べたい時に使うのもおすすめです。

「おかげさまで第1志望の会社から内定をいただきました。先輩には親身になってアドバイスいただき、ありがたい限りです

例文4

尊敬している人から褒められたり、最上級の褒め言葉をもらったりした時に用いるのも良いでしょう。

「もったいないお言葉を頂戴し、スタッフ一同ありがたい限りです

例文5

部下やスタッフが成長してくれたことに対する感謝を伝えたい時など、目上の相手以外にも使えます。

「皆さんがここまで成長してくれて、指導係としても本当にありがたい限りです

例文6

新規の取引先から注文があった時などに、お礼の言葉として使用するのも良いでしょう。

「このたびは、弊社にご発注のご配慮を賜り、ありがたい限りでございます

例文7

直接相手に感謝を伝える場面だけとは限りません。その場にいない第三者に対してありがたいと思う気持ちを、目の前の人と共有したい場合にも使えます。

「私も本当に尊敬している方です。〇〇さんが上司で、ありがたい限りですよね」

「ありがたい限りです」の言い換え表現

ここからは、「ありがたい限りです」と同じように、深いお礼の気持ちを伝えたい時の言い換え表現を紹介します。

(1)大変感謝しています

言葉の通り、「非常に感謝している」という意味です。より丁寧に言いたい時は「大変感謝しております」を使うと良いでしょう。

(2)感謝に堪えません

「感謝の気持ちを抑えることができない」という意味です。おのずとありがたいという思いが湧き上がってくる様子を表しています。

(3)お礼の申し上げようもありません

受けた配慮に対してお礼の言いようがないことから、感謝の気持ちがいかに深いかを表現するフレーズです。

「お礼を言う方法が見つからないほど、ありがたいと思っている」という意味で使うことができます。

(4)感謝してもしきれません

言葉や行動だけでは十分な恩返しができないという謙虚さを表現できるフレーズです。

「いくら感謝してもそれで終わりということがないほどにありがたいと思っている」という意味合いがあります。

(5)感謝しきりです

「感謝しきりです」は、「重ね重ね感謝している」ということ。

ここでの「しきり」は漢字で「頻り」と書き、「しばしば」という意味。「〇〇しきり」という形で使われ、その前の言葉を強調する働きがあります。

(6)深く感謝するばかりです

ただひたすらに深く感謝している気持ちを表すフレーズです。

「ありがたい限りです」は相手に対して深い感謝を伝える言葉

ビジネスシーンや日常生活などさまざまな場面で、思いを伝えるコミュニケーション。中でも、誰かに感謝ができる出来事があるというのは、本当に恵まれた幸せなことだと思います。

「ありがたい限りです」を誰に伝えるかと問われたら、お世話になった恩師、指導してくれた先輩、共に日々を過ごしてくれた友人、支えてくれる家族など、大切な人の顔が誰しも浮かぶのではないでしょうか。

「あの時もっと感謝を伝えておけば良かった」と悔いることのないように、タイミングを逃さず、気持ちをしっかり伝えたいものですね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

※この記事は2023年11月16日に公開されたものです

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師) (ライティングコーチ・文章術講師)

コピーライターとして長年「ことば」に関わってきた経験値を元にまとめた「ほどよい敬語」(https://ameblo.jp/comkeigo/)が好評。過剰さや不適切さを排し、明快に説く内容は「違和感の理由がわかりスッキリした」と質問サイトなどでたびたび引用される。

自治体・団体・医療機関向けSNS活用、文章術研修の講師でもある。

著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(青春出版社)『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(日本経済新聞出版社)『ソーシャルメディアで伝わる文章術』(秀和システム)など。公益社団法人日本広報協会アドバイザー。

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