「お渡しください」は敬語? ビジネスでの使い方と丁寧な言い換え表現を解説
「お渡しください」は、渡してほしいものがある時に使用する依頼の言葉です。しかし、ビジネスの場で上司や目上の人に使うには丁寧さに欠けるということをご存じでしょうか。今回は、「お渡しください」という言葉の敬語表現について解説していきます。
ビジネスシーンでよく使う「お渡しください」ですが、この言葉は敬語なのでしょうか。上司や目上の人に対して用いるのは失礼にあたるのではないかと、疑問に思ったこともあるかもしれません。
そこで今回は、「お渡しください」の意味や言い換え表現について解説します。ビジネスシーンでよく使われるフレーズだからこそ、正しい使い方を覚えましょう。
「お渡しください」の意味
「お渡しください」の「渡す」には複数の意味がありますが、一般的には「自分から相手へ渡す・与える」という意味合いです。
これを「お渡しください」という「お~ください」の形にすることで、相手を立てながらこちらの依頼を述べる尊敬表現にすることができます。
「お渡しください」は上司や目上の人にも使える敬語?
「お渡しください」は正しい敬語ですが、「〜ください」が命令形であるため、受け取り方次第では、相手が不快に思う場合もあるかもしれません。
そのため、このフレーズはビジネスシーンでの簡単なトークや親しい上司に使える程度と理解しておきましょう。
初対面の相手や取引先などには、より丁寧な言い回しにするのがおすすめです。
「お渡しください」の丁寧な言い換え表現
では、「お渡しください」はどのように言い換えられるのでしょうか。
ビジネスシーンでは、状況や相手によって言葉を使い分けることが大切になるので、この機会に他の言い回しを覚えておきましょう。
(1)「お渡しいただければと存じます」
厳格な人やビジネスマナーに詳しい人に使う時は、「お渡しいただければと存じます」と言い換えるのがおすすめ。
これは「渡してもらえたらと思います」という意味で、自分の希望や要望を丁寧に伝えられる敬語です。
類似表現として、「お渡しいただきたく存じます」というフレーズもあります。
(2)「お渡しくださいますようお願いいたします」
「お渡しください」は、「お渡しくださいますようお願いいたします」と言い換えることも可能です。
「よう」を付けることで、柔らかい表現にすることができます。穏やかな言い回しのため、角が立たない形で依頼したい時に用いると良いでしょう。
目上の人や社外の偉い方など、特に敬いたい相手に対して使うのが適しています。
「お渡しください」の類語
「お渡しください」には、類語がいくつかあります。
これから紹介するのは、どれもかしこまりすぎない敬語表現です。ぜひ言葉選びの参考にしてください。
(1)「渡してください」
比較的距離が近い相手に少しフランクに伝えたい場合は、「渡してください」を使用しても問題ないでしょう。
例えば、新しく自分の部署に配属になった後輩に対しては、「お渡しください」より「渡してください」の方が、親しみを感じたコミュニケーションを取ることができるはず。
しかし、普段あまり関わりのない目上の人や取引先の相手に対しては、失礼になってしまう可能性もあります。そのため、社内の親しい人にのみ使うフレーズだと覚えておきましょう。
(2)「お渡しいただければ幸いです」
できれば渡してほしい程度のお願いであれば、「お渡しいただければ幸いです」がぴったりです。
前段で紹介した「お渡しいただければと存じます」とよく似た形で、「お渡しください」より強制感が薄く、やんわりとした表現で依頼できるでしょう。
「お渡しください」は親しい上司や同僚に使える依頼表現
「お渡しください」は敬語表現のため、親しい間柄の上司や同僚に使用しても特に問題はないといえます。
しかし、初対面の相手や普段あまり関わりがない目上の人に使うと、不快な思いにさせてしまう可能性があると心にとどめておくことが大切です。
そのため、シーンによって適切な表現を使い分けられるよう、「お渡しください」をさらに丁寧にしたフレーズの使い方もマスターしておくのがおすすめですよ。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年11月15日に公開されたものです