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「老後まで待たなくても良い」高円寺から富山県朝日町へ。アラサーで地方移住した女性が田舎暮らしで見つけたもの

#ここで生きていく

瑞姫

30歳、まだまだ若いです。でも、20代の頃とは考えるべきことが変わってくるのも事実。30歳は人生の節目のひとつ。これから豊かな人生を歩んでいけるように「30歳からの『わたし』のつくり方」を一緒に考えていく本特集。今回は東京から縁もゆかりもない場所へ移住した女性にお話を伺いました。

がむしゃらに頑張っていた20代。でも、なんだか10代の頃に憧れていた自分と、今本当になりたい自分は違うのかも……。ふと立ち止まって、「このままここで生きて良いのかな?」と考えることがある人も多いかもしれません。

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海辺の町で猫と心穏やかに暮らすなつめさんもその一人。コロナ禍で自分にとっての幸せとは何かを考えたという彼女は、「自然豊かな環境で心穏やかに暮らしたい」という答えに辿り着き、実際に東京の高円寺から富山の朝日町へと移り住んで新たな生活をスタートさせました。

“日本海側の海辺の町に住みたい”“視界を遮るものが何も無い、広々としたところに住みたい”という漠然とした理想は、やがて現実へ。アラサーから新しい居場所と環境で生きるために、必要な最初の一歩は何なのでしょう?

老後まで田舎移住を待たなくても良い

――なつめさんが東京から地方への移住を考え始めたきっかけは何なのでしょう。

2020年のコロナ禍くらいから、周りで二拠点生活や多拠点生活をする人が増えたんです。Webディレクターをしている友人も移住してフルリモートで仕事していたりして、そういう人たちの暮らしをSNSで見ていると、すごく豊かで良いなと思って。

将来的に老後はのんびり田舎で暮らしたいな、とは元々考えていたんですが、周りの友人たちを見て“老後まで田舎移住を待たなくても良いんだ”と思ったのが、移住を考え出したきっかけですね。

――元々、田舎での暮らしに憧れはあったんですね。

生まれも育ちも東京で、社会人になってからは阿佐ヶ谷、高円寺に4年くらい住みつつも、土日や長期休みの間は一人で奥多摩の方へ行ってキャンプしたり、埼玉の山に登ったりしていたんです。

東京の高円寺でワンルームに高い家賃を払って、土日に自然を求めに行く生活に違和感があって……。それなら自然豊かな環境に住みたいと思ったことも移住を決めたきっかけですね。

――田舎暮らしに富山の朝日町を選んだ理由を教えてください。

まず、田舎で暮らしたいなって思った時に、太平洋側ではなく、日本海側の海辺の街に住みたいなという理想が漠然とあって。新潟と石川は観光で行ったことがあったけれど、今住んでいる富山は行ったことが無かったので、一度友人と行ってみようってなったんです。

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それで行ってみたらすごく自然豊かな街で、人も優しくて、過ごしやすそうだなって思って……。その時はもう仕事も辞めていたので“富山でもう人生をイチからやり直そう”と決めました。

――それほどの魅力があったんですね。そこから実際に引っ越すまではどれくらいの期間だったのでしょうか。

実際に移住したいと思ってからは、東京の『ふるさと回帰支援センター』という地方移住を支援している場所へ相談しに行ったんですが、その3カ月後にはもう富山に移住していました。

『地域おこし協力隊』として働かないかというお声がかかって、それを機に移住しました。

――3カ月! 思い立ってすぐ引越したんですね。なぜそんなに早く決断できたのでしょう。

移住窓口で紹介されて一回朝日町へ来た時に「今この家空いてるから住めるよ」と今住んでる家を紹介されたんですが、この物件にもう一目惚れしてしまったんです。ここに住めるなら仕事は何でも良いやって思っていたら、運良く仕事も決まったので、来れる段階ですぐ来ちゃいました。

――すごい! お家のどのようなところに一目惚れしたのか気になります。

家の北側と西側が全面畑で何も無いんですが、視界を遮るものが何も無い広々としたところに住みたいという憧れがあったのと、その反対側が立山連峰という3,000m級の高い山々が連なってる場所なんですが、その景色が冬本当に圧巻で……! その景色に一目惚れしたというのが一番にあります。「ここにしよう」と直感で決めましたね。

移住して変わること、変わらないこと

――実際に移住することへの不安は無かったのでしょうか。

もし合わなかったら帰って来れば良いかなと思っていました。最初は淡路島などの島への移住も考えたんですが、何かつらいことがあったとき、すぐ東京に帰って来られないなと思ったんです。富山だと東京までは夜行バスで平日の安い便だと3,000円で帰って来られる。東京からそこまで離れてないところを選んだというのはありますね。

――家族や友達がいない環境へ行くことへの不安などもありませんでしたか?

友達がいない環境に行くことは別に全く不安じゃなかったんですが、ご近所さんによそ者扱いされて受け入れられなかったらどうしよう……みたいなところは、若干不安ではありました。

でも、一回朝日町に行った時に、今住んでる家の近くの農家さんとかともちょっとお話ししたりしたんですよね。その時に、何となく話した人みんな良い感じの人だったなっていう印象があったので、「もし何かあっても、この人たちに頼れば何とかなるかもしれない」という安心感があって移住できたっていうのはあります。

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――移住前後の生活で一番変わったことは何ですか?

時間の流れ方がゆっくりになったことですかね。朝のんびり畑をいじっている時間とか、仕事終わりに海を眺めている時間とか……。そういう心地良いなって思える空間が身近に増えたというのは良い点かなって思います。

あとは、お酒の量がすごく減りました。高円寺に住んでいた頃は暗い気持ちを紛らわすようにお酒を飲むこともあったんですが、そういうことは全くしなくなりました。家でもあまり飲まなくなりましたね。

――東京にいると、情報に左右されることも多いと思うんですが、そういった部分は移住されてから変わったりしましたか?

車移動になって電車広告を見る機会が無くなったので、脱毛しろとか、痩せろとか、“こうしなきゃいけないんだ”と思わせられるような、広告から与えられる影響を受けなくなったので、人生に焦らなくなった気がします。

今でも漠然とちょっと不安だなって思ったりすることはあるので、移住すれば全部解消される、みたいなことは全く無いんですけど、前よりは楽になったんじゃないかなという気はします。

――移住してから気づいたギャップはありますか?

いつも買っていた服のブランドが富山に無かったり、本屋はあるけど、雑誌とか雑貨が多くて有名な文庫本以外あまり置いていなかったりすることですかね。自分が好きだった本屋さんみたいなのが無いのはちょっと寂しいなって思うんですが、本は東京に行った時にたくさん買って帰るようにしています。

求めていた心穏やかな暮らし

――移住してから新しくできた趣味みたいなものがあれば教えてほしいです。

こんなことできるんだって思って自分でもびっくりしたのが、魚突き。元々泳ぐのは好きだったんですけど、素潜りとかは全然経験したことが無くて。でも、こっちに来て誘われてやってみたらめちゃくちゃおもしろくてハマりました。

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あとは、こっちならではの遊びというと山菜採りやホタルイカすくい。四季によって遊びが変わるというのはあります。自然のダイナミックさが関東とはまた違うんですよね。これは本当に移住して良かったなって思います。

――ちなみに、さっきおっしゃっていた畑も移住してから始められたことでしょうか。

そうですね。プチトマトとかシシトウは育てたことがあったんですが、今は畑で冬野菜のキャベツ、白菜、アスパラ、ブロッコリーを育てていて、夏はトマト、ナス、きゅうり、ピーマンを育てていました。シソとかパクチーもありますし、渋柿とイチジクの木もあります。家庭菜園はめちゃくちゃ充実していますね。

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――すごい……! 田舎暮らしって感じがします。

豊かだなと思います(笑)。野菜を自分で育てて、食べて、ご近所さんと採れたものを物々交換して、みたいなのは、本当に何かゲームの『どうぶつの森』の生活をしているみたいだなと思います。土をいじってる時間とか、ベッドから窓の外を眺めて「星がきれいだな」と思いながら眠りにつくのも幸せだな〜と思います。

――ずばり、移住して良かったと思いますか?

良かったです。ただ、合う合わないは絶対あると思うので、今の東京での暮らしが楽しい人に無理に地方移住を進める気は全く無いんですが、元々自然遊びが好きな人や、自分で何かを作るDIYや畑が好きな人は、やっぱり東京にいた時の暮らしよりも楽しんでいる印象は自分に限らず、周りの移住者を見ていてもありますね。なので、移住したいなと思ってる人は一度本気で考えてみても良いと思います。

――最後に、移住を考えている人に向けてアドバイスをお願いします。

お試し移住みたいな制度を結構どこの自治体もやっていたりするので、そういうのを使って気になるところには実際に一度足を運んでみるのが良いと思います。インターネット上の情報だけでは伝わらない、肌で感じる空気感というのは絶対あるので、気になってる土地に一回行ってみるのは大事ですね。

あとは、田舎に行けば全てが解決して楽しい! ってなるわけではないし、人生について悩むことは相変わらずあったりしますが、環境を変えて良くなったことはたしかにあるし、移住しても何とかなります。人生って何とかなるもんだなと思いながら、今生きています。

(取材・文:瑞姫、編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2023年10月14日に公開されたものです

瑞姫

フリーランスの取材・インタビューライター、コラムニスト。主にエンタメ、トレンド、グルメ、ビジネスカテゴリで活動中。

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