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「むしろ」の正しい使い方と注意点。意味や言い換え表現も紹介【例文つき】

にほんご倶楽部

「むしろ」は、「どちらかと言えば」という意味があり、二者択一の際に自分の意思を伝えることができる言葉です。今回は、ビジネスシーンでの正しい使い方や言い換え表現、例文を紹介します。

ビジネスシーンだけでなく、日常会話でもよく耳にする「むしろ」という言葉。「どんな意味を持つのか」「使い方は合っているのか」など深く考えず、口癖のように使っている人も多いかもしれません。

今回は「むしろ」の意味や使い方を解説していきます。正しくマスターして、ビジネスシーンで正しく使用できるようにしましょう。

「むしろ」の意味

「むしろ」には、以下のような意味があります。

むしろ【寧ろ】

[副]二つを比べて、あれよりもこれを選ぶ、また、これのほうがよりよいという気持ちを表す。どちらかといえば。「休日は遊びに行くより―家で寝ていたい」

出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

「むしろ」は、何かしらの選択肢があり、それらを比べた上で「こちらの方が望ましい」ということを伝える時に使う言葉といえるでしょう。

「むしろ」の敬語表現はある?

「むしろ」は副詞にあたるため、敬語表現は存在しません。しかし、敬語と共に用いれば、目上の人に対して使用しても問題ないでしょう。

また、「むしろ」は相手をたてる時にも使うことができます。例えば、上司に謝られた時に、「むしろ自分の方が悪かったです」といった形で使用すれば、謙虚さが伝わり相手との関係もうまくいきやすくなるかもしれません。

「むしろ」の使い方と例文

ここからは、例文と共に「むしろ」の使い方を見ていきましょう。

(1)比較する時に使う場合

ビジネスシーンでは、ある選択肢の中からどちらが良いのか選ぶ場面は多くあると思います。

そんな時に「どちらを選んでも良いけれど」「どちらかと言えば」と、より良い方を伝える時に使えるのが「むしろ」です。

この言葉と一緒に「なぜそうなのか」という理由を付けると、自分の意思が伝わりやすくなるので、コミュニケーションが円滑に進むでしょう。

例文

「自分よりも、むしろ後輩の方がしっかりしています」

「明日は大事なプレゼンなので、遅くまで仕事するよりもむしろ早く帰ってゆっくり休んでください」

(2)何かの「反対」を意味する時に使う場合

「むしろ」は「反対に」という意味でも使用可能です。

また、前述した「上司をたてる場面」もこちらにあたります。相手からの謝罪やお礼の言葉に対して使うことで、謙遜したニュアンスになるでしょう。

ビジネスコミュニケーションを円滑に進める上で役立つフレーズなので、使い方を覚えておくのがおすすめです。

例文

「いいえ、感謝を申し上げるのはむしろ私の方です」

「先輩ではなく、むしろ私が悪かったです。申し訳ございません」

(3)文頭で使う場合

「むしろ」は接続詞ではないため、基本的に文頭に付けて前文と後文をつなぐという働きはありません。しかし、文頭で使用している場面を見聞きしたことがある人も多いでしょう。

この使い方は、日常会話で用いるのが一般的です。親しい間柄で、話の内容を省略しても問題ない相手との会話で使うようにしましょう。

例文

むしろ、前回の提案の方が優れていた気がします」

むしろ、今日の営業は行かなくて正解だった」

「むしろ」を使う時の注意点

次に「むしろ」を使う上での注意点を紹介します。

(1)自信がないイメージを与える可能性がある

「むしろ」はビジネスシーンで使用しても問題のない言葉ですが、プレゼンや会議などで自分の意見を述べる時には注意が必要です。

例えば、思い入れのあるプロジェクトや自身の考えを発表する際に、「どちらかと言えば……」という意味のある「むしろ」を使ってしまっては、自信がないようなマイナスイメージを周囲に与えてしまう可能性があります。

口癖になっている人もいるかもしれませんが、「自信を持って伝えたい」「他に選択肢はないんだ」という強い意思がある時は「むしろ」を封印しましょう

(2)使用するのは基本的に口語

基本的に使うシーンを選ばない「むしろ」ですが、会話内で用いることが一般的なので、ビジネスメールでの使用は避けた方が無難です。

メールで「どちらかと言えば」という意思を伝える場合には、近しい言い換え表現を使うようにしましょう。

「むしろ」の言い換え表現

では、「むしろ」にはどのような類似表現があるのでしょうか。

ここでは言い換えられるフレーズを3つ紹介します。

(1)「どちらかと言うと」

「どちらかと言うと」は「むしろ」と意味がほぼ変わりません。

しかし、メール等の文章では「どちらかと言うと」を使う方がベター。とはいえ、敬語表現ではないので、目上の相手に使用する場合は前後の文を敬語にして、失礼がないようにしましょう。

(2)「いっそのこと」

「いっそのこと」には「思い切って」の意味があり、選択肢の中から「それまでと違う方向に進む」ことを示します。

また、「会社に遅刻するくらいなら、いっそのこと休んだ方がマシだ」というように、投げやりで極端なニュアンスを表す言葉でもあります。

使い方によってはネガティブな印象を持たれるフレーズなので使うシーンは選ぶようにしましょう。

(3)「強いて言うなら」

こちらは同等の選択肢の中から、どうしても選ばないといけない状況の時「無理して選ぶとするならば」といった意味合いで使います。

目上の相手に使用する場合は、「強いて申し上げるとするならば……」のような丁寧な表現に変換すると良いでしょう。

「むしろ」は二者択一の際に自分の意思を伝えられる言葉

「むしろ」は同等の選択肢からあえてどちらかを選ぶ際に、自分の意見や気持ちを述べられる言葉です。ビジネスシーンだけでなく日常でも使えるほど汎用性が高いのも特徴でしょう。

そのため、「日常会話の雰囲気」で使ってしまうと、ビジネスでは失礼に値することも。便利な言葉である分、しっかりと意味や使い方をマスターして、正しく使っていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年09月19日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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