失敗も経験に繋げる「試行錯誤キャリ」。弥生 松坂莉奈さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:ミクニシオリ
撮影:三浦晃一
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
「自分らしさって、なんですか?」
私たちは、ことあるごとにそんな質問をされます。進学、就職、転職、婚活……あらゆるシーンで自分を言語化するうちに「私はこういう人間だ」と、自分をはめこむ枠を作ってしまっていませんか?
自分がどういう人間なのか、自己理解することは大切。だけど、枠組みやカテゴリーに当てはめすぎると、挑戦やキャリアの幅を狭めてしまいます。どうしたら、もっと柔軟にのびのびと「自分らしさ」を追求し、キャリアに繋げることができるのでしょう。
弥生株式会社の開発本部でPMとして働く松坂莉奈さんは、与えられた環境の中でも自分をカテゴライズしすぎず、新しい挑戦をし続けてきた人です。挑戦を恐れずにキャリアチェンジしてきたからこそ、失敗や挫折を繰り返し続けているとも語ってくれました。
向いているか、向いていないかも分からない仕事に挑戦してみるのは、勇気がいることかもしれません。そして、仕事で失敗をすることにも、恐怖を感じる人も多いでしょう。だけど、松坂さんは仕事を通じて「ミスから学ぶ意義」を見出し、自分らしさを見つけるための経験を培っています。
ITもエンジニアも興味は無かった。経験して初めて「興味関心」が定まった
大学では生命科学を専攻していて、元々はIT業界にもエンジニア職にも興味がありませんでした。化粧品や食品など、生命科学を専攻する人が多いメーカー研究職を中心に就活を進めていましたが、いまいちピンとくる企業に出会えない中で、1枚のハガキが届いたんです。
それは、就活生向けの企業説明会の案内状でした。なんとなくその説明会に参加し、中小企業を支える弥生の理念を聞き、興味を持ったのがきっかけです。
大学でもプログラミング授業があったのですが、当時は苦手意識すら感じていました。ただ、元々ものづくりに興味があったことや、研修がチーム作業だったこともあり、みんなでひとつのモノを作る楽しさを感じることができました。
根本的には同じことを詳しく学び直しただけだと思うのですが、環境や自身の姿勢が変わると、興味のアンテナも変わるからおもしろいですよね。
その時は上司との面談で「将来的に何をやりたい?」と聞かれ、PMに興味があると話したら、まずはエンジニアをやっていたチームのサブPMを4年目のときに任せていただき、5年目からは違うチームのPMをやらせていただくことになりました。
やりたいと思ったことに実現可能性や挑戦する意義があれば、すぐにチャレンジさせてくれるのは、弥生に入社して良かったと感じるメリットのひとつですね。
毎日の反省を受け入れる方法
エンジニアの時も、PMが何をしているのかはふんわりとしか見えてこなくて、興味があったからやらせてもらったのですが、想像するよりも大変でした。案件によって関わる人も要件も変わるので、やり方に正解が無いんです。
プログラミングには型があるので、試行錯誤しながらも正解に向かってコードをはめていくだけだったけど、PMはむしろ型にははまらず、その時々に応じて最適解を導き出していく必要があります。日々「本当にこれでいいのか」と自問自答をくり返しています。
私の仕事はまず、要件に対して計画書を作って、その計画通りに達成できるよう進めていくこと。けれど、仕事って計画どおりに進むことの方が少なくないですか?
ミスはあっても、チームで話し合って解決することの方がほとんどなので、うまくリカバリーできた時の喜びが、やりがいに繋がっています。人とのコミュニケーションも多いですし、みんなで乗り切っていくうちに、トラブルがあっても「まあなんとかなるだろ」と余裕を持てるようになってきました。
ミスは成長のきっかけ。PM流「自分らしさ」の見つけ方
人と比べたことがないので分かりませんが、いわゆるコミュ強ではないと思います。ただ、エンジニアの時には毎日分からないことがあって、誰かに聞かないと先に進まなかったし、聞かない方がミスに繋がりやすいことに気づきました。
入社してからは「一人で頑張らない」ことができるようになったと思います。一人で決めて、間違った判断で進む方が良くないので、報連相をくり返す中で、コミュニケーションに対するハードルが下がった実感はあります。
たとえば、現在は自分も相談を受けることもありますが、昔より伝え方を選べるようになりました。「相手も知っているだろう」と思っていたら、理解してもらえず説明時間が倍になることもありました。今も先輩・後輩に関わらず、相手の状況に合わせて伝え方を考えます。
それに、仕事では反省点が多いと言いましたが、一度失敗したことはくり返さないようにしようと決めています。改善・解決を意識することで、成長にスピード感を感じています。
私は、自分の中に判断軸を作っていくことが大切かなと思っています。正解が分からないからといって、ずっと考えていると仕事にストレスを感じてしまうので、初めてぶち当たる壁も、時に自分の答えを信じてみるのも大切だと思います。
悩みすぎて困った時も、まず周りの上司や先輩に相談します。すると、実は「答えが分かっているのにやりたくないだけ」だったり、「不安なだけ」だったりすることに気づくんですよね。自分で挑戦していくうちに、これからもっと自分で解決できることが増えたり、自分ならではのやり方が見つかったりするようになっていくと思います。
※この記事は2023年09月16日に公開されたものです