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「お尋ねください」は正しい敬語? 目上の相手への使い方や言い換え表現を解説

大部美知子

「お尋ねください」は正しい尊敬語ですが、上から目線のような印象もあるため、上司には使いにくい……という方もいるのではないでしょうか。今回は、目上の相手への「お尋ねください」の使い方や言い換え表現について、ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに教えてもらいました。

ビジネスシーンで使う「お尋ねください」という表現について、目上の相手への使い方が気になることはありませんか?

今回は、「お尋ねください」の正しい使い方と他の言い換えについてご説明します。

「お尋ねください」の意味は? 敬語として正しい?

まずは、「お尋ねください」という言葉の意味から見ていきましょう。

「お尋ねください」の意味

「お尋ねください」は「お+尋ね+ください」に分けることができます。

「お」は尊敬の敬意を表す接頭辞、「尋ねる」は「分からないことを明らかにするため相手に聞く」という意味、「ください」はそれ自体に意味を持たない補助動詞です。

たずねる【尋ねる】
(「訊ねる」とも書く)わからないことを明らかにするため相手に聞く。
問う。質問する。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「下さい」を漢字表記すると「欲しい、頂戴」という意味の本動詞になりますので、ひらがな表記にするようにしましょう。

「お尋ねください」は正しい尊敬語

「お尋ねください」は敬語として正しい表現ですので、上司や目上の方にも使うことができます。

逆によく使われる間違ったものとして、「お伺いください」や「お尋ねしてください」などがあります。

これらがNGな理由は、「伺う」「お尋ねする」はそれぞれ「聞く」「質問する」の自分側の動作を示す謙譲語表現なので、相手に使うのは不適切でしょう。

ちなみに、この間違えやすい敬語に関しては、日本の敬語の基準を示している文化庁の文化審議会答申『敬語の指針』にも「お尋ねください」が正解として紹介されています。

「お尋ねください」は上司や目上の相手に使って大丈夫? より丁寧な表現とは

「お尋ねください」は、敬語上の問題がなくても「私に聞きなさい」と上から目線のように受け取られる可能性があるため、使いにくいという印象を抱く方もいるかもしれません。

また、この言葉を使う時は、自分の方が詳しいという前提があるので、相手と状況に合わせた使い方の配慮が必要です。

もし「お尋ねください」では気持ちが伝わりにくいと感じる場合には、下記のような表現にすると使いやすくなります。

(1)お尋ねくださいませ

「ください」の語尾に「ませ」を付け加えることで、命令形の印象が柔らかくなります。

(2)お尋ねいただけますか?

語尾を「いただけますか?」のように依頼形にすることで、強制感が弱くなり、相手や状況に関係なく使うことができるでしょう。

また、「いただけますでしょうか?」「いただけませんでしょうか?」とすると、より丁寧な印象になります。

(3)お尋ねくださるようお願いします

「お願いします」と依頼する意思を言葉で明確に伝えているために、ビジネスメールでも気軽に使いやすいフレーズです。

(4)お尋ねいただければ幸いです

より改まった表現ですので、目上の方や取引先の相手にも使うことができます。

さらに格式を高めたい場合は、「幸いです」を「幸甚に存じます」にすると良いでしょう。

「お尋ねください」を使った例文

「お尋ねください」はどのように使えば良いか、具体的な使い方を紹介します。

(1)何かご不明な点がございましたらお尋ねください

「分からないことがあったら、何でも質問してください」という意味を表すフレーズです。相手に何かを説明したり、提案資料を送ったりした時に添えると良いでしょう。

(2)お手数をおかけしますが、時間外のご質問はメールでお尋ねください

「お尋ねください」にこちら側の要望を加える場合でも、「お手数ですが」「恐れ入りますが」「ご面倒をおかけしますが」などのクッション言葉を使うと、相手への気遣いが伝わります。

「お尋ねください」の言い換え表現

「お尋ねください」を別の言葉に言い換える場合の表現について見ていきましょう。

(1)お申し付けください

何なりと、ご遠慮なくお申し付けください

「お申し付けください」は、接頭辞の「お」に「言い付ける」の謙譲表現「申し付ける」と補助動詞である「ください」を組み合わせたフレーズです。

謙譲語を使用することで、自分が相手の要求を受け付けるという意思を表すことができます。

(2)お聞きください

お分かりにならない点は、お気軽にお聞きください

「お聞きください」は「お尋ねください」と同じ「聞いてください」の尊敬語表現です。

聞くは、尋ねるより広範囲な対象にも使われるので、質問するという趣旨の場合には「お尋ねください」の方が的確に伝わるでしょう。

(3)お問い合わせください

ご質問があれば、いつでもお問い合せください

「お問い合わせください」も、接頭辞の「お」と補助動詞「ください」がついた尊敬語で、会話よりメールなどの文書で使われることが多い表現です。

口頭でも使えるものとして、「お知らせください」という選択肢もあります。

(4)ご連絡ください

ご不明点がございましたら、ご連絡ください

他と比べて簡潔な表現なので、商品の問い合わせに対する説明の後や資料送付後などの付け足しとして用いると良いでしょう。

(5)ご連絡をくださいますよう、お願いします

途中で不具合が発生した場合には、すぐにご連絡をくださいますよう、お願いします

「お尋ねくださるようお願いします」でも説明しましたが、「ご連絡ください」の最後に「お願いします」を付け加えると、同じように強制感を和らげる効果があります。

これは「お申し付け」「お聞きくだいますよう」などの他の表現でも使うことができます。

言い換え表現も活用して「お尋ねください」を上手に使おう

いかがでしたか? 改めて考えてみると、相手に質問を促す表現にもいろいろありますね。

相手や状況に合わせて適切な言葉を使い分け、円滑なコミュニケーションを取るためのコツとしてぜひご活用ください。

(大部美知子)

※画像はイメージです

※この記事は2023年06月19日に公開されたものです

大部美知子 (ビジネスファシリテーター)

株式会社M‘sコミュニケーション代表取締役。ビジネスファシリテーター。東京女子大学短期大学部卒業後、日本航空株式会社入社。13年勤めた後、JALアカデミー株式会社にて16年、企業向けの接遇指導や、新人からリーダーまで、幅広い層のビジネスコミュニケーション指導に従事する。 2004年12月に独立。企業研修は、「受けるとかならず結果が出る」と定評がある。著書に『気持ちをうまく伝える技術』『ゼロから教えて電話対応』『ゼロから教えて新人教育』『世界で通用する 一流のビジネスマナー』(共にかんき出版)など。

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