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「並びに」の使い方は? 「及び」との使い分けや意味の違い・類語(例文)

にほんご倶楽部

プレゼンなどのビジネスシーンのほか、結婚式でも耳にすることがある「並びに」という言葉ですが、その意味や使い方のルールを理解していますか? 今回は意味や使い方のほか、似た語句である「及び」との使い分け、類語・言い換え表現についても解説します。

「並びに」は「AとB」という複数の事柄を紹介するときの接続詞です。よく似たニュアンスの言葉も多く、正しく使えているのか分からないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

ビジネスフレーズとして「並びに」を使うにあたって、押さえておきたい意味や使い方のほか、使うときの注意点や類語も解説します。

「並びに」の意味とは?

「並びに」の意味は、前後の2つの事柄をつなぐ接続詞です。

ならびに【並びに】
(接続)二つ以上の事柄を対等の関係で並べあげることを表す。改まったニュアンスを伴う。および。また。
(三省堂『大辞林 第四版』)

上記の通り「2つ以上の事柄を対等の関係で並べる際」に使える言葉なので、例えば結婚式などの改まった場面では「新郎新婦並びにご両家、ご親族の皆さま」といった使い方をします。

「並びに」の使い方(例文付き)

「並びに」は「と(AND)」と同じ意味を持っています。

例えば、「新郎新婦とご両家、ご親族の皆さま」と表現するよりも、「新郎新婦並びにご両家、ご親族の皆さま」とした方が丁寧な印象になります。

また、「並びに」はビジネスフレーズとしてよく使われている言葉です。特にビジネスメールや書類作成、プレゼンやスピーチなどのかしこまった言葉遣いが好まれるシーンで役立ちます。

例文

・保護者並びに生徒の皆さんは、ご着席ください。

・先日終了したプロジェクト並びに新しくスタートするプロジェクトでも皆さまのお力添えをお願いしたいです。

・氏名並びに電話番号をご記入いただいたうえでお申込みください。

「並びに」を使う場合の注意点

「並びに」をビジネスメールなどで使うにあたって、気をつけたい文章作成上のルールがあります。

ビジネスでは正しい日本語や敬語表現が求められます。それゆえ、きちんと使い方を理解したうえで、相手に失礼のないよう「並びに」を取り入れていきましょう。

ここでは「並びに」を使うときの注意点を紹介します。

同じ文章で2回以上使わない

「並びに」は1つの文章に対して、2回以上使わないようにしましょう。例えば3つのものを紹介したいときは、「A並びにB並びにC」とは表現できません。

3つ以上のものを紹介したいときはシンプルに「AとBとC」と表現するか「A、B並びにC」といった文章にしましょう。

「OR」ではなく「AND」として使う

「並びに」は、基本的に2つ以上の物事を「AND」として表現したいときに使います。つまり「AかBのどちらか」ではなく、「AとBのどちらも」という同じグループにまとめる役割を持つ言葉です。

そのため、「A並びにBのどちらか1つを選んでください」といった「OR」としての表現は誤用となります。どちらかを選んでほしい場面では、「並びに」ではなく、「AまたはB」といった言葉を使いましょう。

「並びに」と「及び」の違いは? 使い分けのポイント

ここでは、「並びに」と混同しがちな「及び」の意味と両者の使い分けのポイントを紹介します。

「及び」は同ジャンル、「並びに」は別ジャンルの語句を併記できる

「並びに」と「及び」は、どちらも、「AとB」の「AND」表現ではありますが、「及び」を使う際に並列できるのは、同じレベルやジャンル、種類であることが前提です。

例えば、「いちご・ぶどう・にんじん」という3キーワードを用いて「AとBとC」という構成の文章を作りたい場合、「いちご」と「ぶどう」は同じ果物というグループに分類されるため、「及び」でつなぎます。しかし「にんじん」は野菜という別グループなので、「及び」ではつなげません。

一方、「並びに」は異なるレベルやジャンル、種類をつなぐことができます。

そのため、「いちご・ぶどう・にんじん」を並列で挙げたい場合は、「及び」と「並びに」を組み合わせて「いちご及びぶどう並びににんじん」とつなぎます。

つまり「並びに」はグループが異なるものをつなぐときに使い、「及び」はそもそも同じグループに属しているもの同士を「AND」としてつなぐ言葉です。

法令用語では小さな段階は「及び」、大きな段階は「並びに」

また、法令用語としては、小さな段階をつなぐ場合は「及び」、より大きな段階をつなぐ場合は「並びに」を使うというように、2つの言葉の違いが明確に定義されています。

さらに、「並びに」の方が「及び」より口語的だという特徴もあるため、併せて覚えておきましょう。

公用文では「及び」がなければ「並びに」は使えない

文化庁の定めた公用文作成のルールでは、「及び」を用いていない文では「並びに」は使えないとされています。

しかし、ビジネスシーンではそこまで厳密なルールを守って使わなくとも、相手にきちんと意味が伝われば問題ないとされています。

公用文では「及び」を使っていない文中に「並びに」が登場してはいけない、ということは知識として覚えておくといいでしょう。

「並びに」の類語・言い換え表現

最後に、「並びに」と似た類語・言い換え表現を紹介します。

「かつ」

「かつ」には、「2つのことが同時または前後して行われる」という意味があります。

「並びに」と同様に、2つの物や事柄をセットで紹介するときに使うことができます。

「加えて」

「加えて」には、「すでにあるものにさらに足し合わせる」という意味があります。

「○○は~だ。加えて、~でもある」というふうに、前の内容に対し、大きく強調せずに事柄を付け加える場合などに用います。

「その上」

「その上」は、「前の事柄にさらに次の事柄が付け加わる」ことを表す接続詞です。

「○○は~だ。その上、~でもある」というふうに、前の内容に対し、強調して付け加える場合などに用います。

「並びに」は2つの事柄を同列で説明するときに使うフレーズ

「並びに」は、「AとB」を丁寧にした言い方です。2つの物や事柄をセットで紹介するときに使いますが、3つ以上を説明するときは繰り返し「並びに」を使うと長い文章になってしまいます。

3つ以上のものを紹介するときは読点や、「と」を使うなど別の表現を取り入れていきましょう。ビジネスでは定番のフレーズのため、意味を理解したうえで活用していくことをおすすめします。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年05月15日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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