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「この度は」の意味や使い方とは? 「このたび」との違いや言い換え表現も解説

にほんご倶楽部

「この度は」は、「今回は」「今度は」という意味を持ち、それらをより丁寧に表現した言葉です。しかし「このたびは」と平仮名で表記するケースもあり、その違いが分からない人も多いのでは? 今回は「この度は」の使い方や類語を解説します。

「この度は」は「今度は」「今回は」という意味を表す丁寧な言葉です。

日常生活で使うことは少ないものの、ビジネスシーンをはじめ、あらたまった場面ではよく使われます。

この記事では、「この度は」の意味や使い方、類語・言い換え表現などについて解説します。また、「このたびは」と平仮名で表記する場合との違いについても取り上げています。

「この度は」の正しい意味や使い方に不安がある人は、ぜひ参考にしてください。

「この度は」の意味とは?

「この度は」は「このたびは」と読み、「今度は」「今回は」を丁寧にした言葉です。

「この度は」のもとになっている「この度」という言葉を辞書で引いてみると、以下のように記載されています。

このたび【此の度】
今度。今回。
(三省堂『大辞林 第四版』)

「この度は」は、現在進行している物事や少し前に起こったこと、近々起こることなどを指して使われます。似た意味である「今度は、今回は」よりも改まった響きになるので、ビジネスシーンではよく用いられる表現です。

また、「この」を漢字表記して「此度(此の度)」と書くこともありますが、古めかしい印象を与えるため、現代では「この」と平仮名で表記する方が一般的です。

「この度は」と「このたびは」の違いは?

漢字か平仮名かの違いがあるだけで、「この度は」も「このたびは」も意味は同じです。

しかし「どちらの表記が正しいのか?」と悩むこともあるでしょう。

ビジネスシーンでは、「この度は」と「度」を漢字表記することが多いですが、文化庁が発表した資料によると、形式名詞は平仮名で書き表すことが推奨されています。

形式名詞とは、例えば「大切な事」「もしもの時」「今の所」など、本来の「事」「時」「所」から離れた使い方をする名詞のことです。

「この度は」の「度」は単体で使うことがない形式名詞です。そのため、文化庁の指針に従うと、「こと」や「とき」などの場合と同じく「このたびは」と平仮名表記するのが正しいといえます。

ビジネスシーンでは「この度は」が好まれる

上記のように、国の定める正しい表記は「このたびは」ですが、実際の使用シーンでは「この度は」と漢字混じりにすることが多いです。特に、ビジネスシーンでは「この度は」の方が好まれて使用されます。

ビジネス文書で「このたびは」と表記すると、平仮名ばかりが並ぶために、印象が軽くなってしまうことが主な原因でしょう。そのため、公用文でない限りは、ビジネスシーンでは「この度は」と漢字表記する方が無難だといえます。

「この度は」の使い方(例文付き)

「この度は」は「今度は、今回は」という意味で文の初めに使うことが多い表現です。

「は」という助詞が伴われていることもあり、「この度は御社が」などと主語を添えると意味が紛らわしくなります。そのため、「この度は」を使った文では、主語が省略されることが多いです。

以下の例文で、具体的な使い方を確認していきましょう。

例文

この度は、お忙しいところご参加いただき、誠にありがとうございます。

この度は大変ご迷惑をおかけいたしました。

この度は弊社の求人にご応募いただき、ありがとうございました。

この度は、ご結婚おめでとうございます。

「この度は」の類語・言い換え表現

最後に、「この度は」と似た意味を持つ類語・言い換え表現について確認していきます。

それぞれ表す意味は似ていますが、ニュアンスが少しずつ異なっています。状況によっては「この度は」の使用が適切でないこともあるので、それぞれの違いを把握し、適切なものを使い分けるようにしましょう。

「今度は」

「この度は」は「今度は」を丁寧にした表現なので、当然それぞれ本来は同じ意味です。しかし、実際の意味やニュアンスは少々違いがあるので注意しましょう。

「今度は」と言うと、現在のことではなく、未来のことを表すのが一般的です。その一方、「この度は」は現在進行していることが中心で、あまり先のことは表すことができません。

そのため、例えば「今度はいつ行きましょうか」は自然で正しい表現ですが、「この度はいつ行きましょうか」は不自然な表現になります。

また、「今度は」は少しカジュアルな印象の言葉なので、ビジネスで目上の人を相手にするシーンでは、文脈によって失礼な印象になる可能性もあります。そのため、未来の予定について目上の人と話す際は「次回は」とする方が適切でしょう。

「今回は」

前述の「今度は」と同じく、「今回は」も本来「この度は」と同じ意味の言葉ですが、実際の意味やニュアンスは少々異なっています。

「今回は」は「前回」や「次回」が存在することが前提になっている表現です。そのため、初めて行われたことに対して「今回は」と言うのは少し不自然になります。

その一方、「この度は」は今回が初めての場合でも、次回の予定がない場合でも使うことが可能です。

そのため、例えば「今回はこのような企画を行います」などと言えば、前回の企画、次回の企画との比較が頭に浮かびます。それに対して「この度はこのような企画を行います」と言えば、今回限りの企画だとしても違和感はありません。

「このほどは」

「この度は」とほとんど同じ意味、同じニュアンスで使える表現として「このほどは」が挙げられます。漢字で書くと「この程は」となりますが、「程」は形式名詞なので、「ほど」と平仮名で表記する方が自然です。

「このほどは」は「この度は」と同じく、主にビジネスシーンで使われる丁寧な表現です。そのため、「このほどは、良い写真がたくさん撮れました」などと、日常生活で用いるとちぐはぐな印象になる可能性があるので注意しましょう。

「今般は」

「今般は」は、「この度は」をよりフォーマルにした言葉です。「今般」は「こんぱん」と読みます。ビジネス文書や改まった場面でのあいさつ文などには、非常に適切な表現だといえます。

ただし、「今般は」は主に書き言葉で使われる言葉(文語)なので、会話で用いると少々不自然に響きます。そのため、ビジネスで口に出して言う場合は「この度は」「このほどは」を使い、改まった文書では「今般は」にするなど、場面に応じて使い分けていきましょう。

「この度は」はビジネスでも使える丁寧な表現

「この度は」は、「今度は、今回は」の印象を丁寧にした表現で、ビジネスシーンでも頻繁に使われます。

文化庁の公用文作成の指針では「このたびは」と平仮名表記するのが正しいとされていますが、長年続くビジネスの慣例では「この度は」と漢字混じりで表記する方が好まれています。

似た意味の類語・言い換え表現もありますが、それぞれに表すニュアンスが異なるので、場面に応じて適切な言葉を使い分けていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年05月11日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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