「いづれか」と「いずれか」はどちらが正しい? 意味と使い方
「いづれか」と「いずれか」はどちらの表記が正しいか知っていますか? ビジネスでは、言葉の意味と使い方をしっかり押さえておきたいもの。今回は、それぞれの表記を使う場面などを解説します。
「いずれか一方をお選びください」と、声をかけられたことはないでしょうか。あるいは、「いづれか」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。
一文字違いということもあり、区別せずに感覚で使っている人も多いと推測される「いずれか」と「いづれか」。意味は変わらずとも、適したシーンが異なるのをご存じでしょうか。
この記事では、「いづれか」「いずれか」の意味を始め、使い方や例文・注意点を紹介します。どちらが日本語として正しいのか知りたい人も、ぜひチェックください。
「いづれか」「いずれか」の意味とは?
混同されがちな「いづれか」と「いずれか」ですが、これらの違いは現代仮名遣いか歴史的仮名遣いかということ。意味に大差はありません。
正しい意味を、もう一度おさらいしていきましょう。
いずれ‐か〔いづれ‐〕【▽何れか】
1 (打消しの述語で応じ、反語の意で結ぶことが多い)多くある中で、どれが…か。どちらが…か。
「生きとし生けるもの、—歌を詠まざりける」〈古今・仮名序〉
2 どれもこれも。どちらも。
「—愚かなるはひとりもなし」〈浮・織留・三〉出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
「いずれか(いづれか)」は、複数の中のどれか、もしくはどちらか一方を指すことに加え、どちらも・どれもといった複数を指す意味合いも持っています。
上記の辞書には載っていませんが、文章の最後に組み合わせる疑問符としての意味もあります。例えば「正しいのはいずれか」とあった場合、「正しいのはどれか?」のニュアンスになります。
「いづれか」と「いずれか」正しいのはどちら?
現代では「いずれか」が主流ですが、実際のところ「いづれか」と「いずれか」ではどちらが正しいとされているのか解説していきます。
《いずれか》と《いづれか》どちらが正しいか
現代日本語としては「いずれか」表記が正しい。「いづれか」は旧仮名遣い(歴史的仮名遣い)である。「いづれか」も(旧仮名遣いの表記にしては)現代でもよく用いられている。とはいえ、正式な文書では「いずれか」表記を用いることが推奨される。
出典:『実用日本語表現辞典』
場合によっては「いづれか」が用いられることもありますが、現代において正しいとされている日本語は「いずれか」のようです。
ビジネスメールや文書で「いづれか」を使用するのは一般的ではないと判断できるため、基本的には「いずれか」を使いましょう。
「いずれか」の使い方と例文
「いずれか」は、複数ある中の1つ、もしくは、2つ並べた時の一方を選ぶ時に使われると考えられがちですが、先述した通り2つ以上の複数を指す時にも使われる言葉です。
そして稀に、疑問の意味を込めて使われることや、反語として使われることもあります。
ただし、反語としての使用は「まさか」「そんなはずはない」といった皮肉めいたニュアンスになるため、ビジネス上での使用は避けましょう。
例文
・いずれかの日程で会議を予定しております。
ビジネスシーンにおいて使われる頻度が高いのは、「いずれか」に「日程」や「日」を組み合わせるケースです。
「いずれかの日程」とすると、「まだ決まっていないけれど、どこかの日程で会議を予定しています」といった程度で伝えられるため、確定していないことを伝える時に便利です。
・A案とB案、いずれか一方をお選びください。
「いずれか」に「一方」を添え、「どちらかを選んで」と促すこともできます。
このように選択肢を提示するシーンでも使える表現でしょう。
「いずれか」を使う時の注意点
ビジネスシーンでも使いやすい「いずれか」ですが、間違った使い方をして恥をかきたくないもの。
相手に不快な思いをさせないよう、注意点を知っておきましょう。
(1)「いずれか」と「いずれ」を混同しない
「いずれか」とよく似た言葉に「いずれ」があります。複数の中の1つを指す意味合いが両方にあるものの、この2つは全く同じ意味というわけではありません。
どちらかというと「いずれ」は、「どちらにしても」や「そのうちに」などを表す副詞としての使用が一般的。従って、使い分けるとミスリードを防げるでしょう。
(2)表記揺れに注意
同じ書面の中に「いずれか」と「いづれか」が混在して、表記揺れにならないよう注意しましょう。表記がバラバラな文章は、丁寧さに欠ける印象があります。
前述の通り、一般的なのは「いずれか」です。こちらの表記を使うと決めておけば、バラバラとした文章を書いてしまわずに済むでしょう。
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