「お心遣いありがとうございます」の意味とは? 正しい使い方と例文
ビジネスシーンでよく使う「お心遣いありがとうございます」という表現。どんな意味合いを持つ敬語なのでしょうか。今回は、例文を紹介しながら、正しい使い方を解説します。
「お心遣いありがとうございます」は、日常生活からビジネスシーンまで幅広く使われる言葉です。相手の思いやりや気遣いに対して丁寧に感謝を伝えられる言葉であるため、ぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。
この記事では、「お心遣いありがとうございます」の意味や使い方、言い換え表現などを解説していきます。
使う相手やシーンを選ぶ言葉でもあるので、正しく理解して使用しましょう。
「お心遣いありがとうございます」の意味
「お心遣いありがとうございます」は、相手の思いやりや気遣いに対して感謝を伝える時に使う表現です。
この「心遣い」とは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。
心遣い(こころづかい) の意味
1 あれこれと気を配ること。心配り。配慮。「温かい―」
2 祝儀。心付け。「目をかけて、―もせし人を」〈人・梅児誉美・四〉出典:『デジタル大辞泉』小学館
「心遣い」には、「心配りや配慮などの目に見えない厚意」と「祝儀や心付けなどの金銭面での厚意」の2種類があります。
また「心遣い」に「お(御)」を付けた敬語表現になるので、仕事でさりげなく自分をフォローしてもらった時や、結婚祝いにご祝儀を頂いた時など、目上の人に対して丁寧に感謝の気持ちを伝えられる言葉となります。
「お心遣いありがとうございます」の使い方と例文
「お心遣いありがとうございます」は、相手に対する感謝の気持ちを伝える言葉です。
「ありがとうございます」という一言でも感謝の気持ちを表現できますが、「お心遣い」とつけ加えるだけでより丁寧な印象を与えられるでしょう。
ここからは、シーン別に例文を紹介しながら使い方を解説していきます。
(1)お見舞いのお礼
「お心遣いありがとうございます」は、入院中や療養中に頂いたお見舞いに対するお礼に使われることがあります。使い方を覚えておくと便利な言葉です。
例文
・入院中はお忙しい中お心遣いいただきありがとうございました。おかげさまで経過も良く、○月○日に無事退院することができました。
・入院中は心温まるお心遣いをいただきありがとうございました。ご心配をおかけしましたが、術後の経過も順調に回復し、〇月〇日に退院いたしました。
(2)仕事に対するフォローのお礼
「お心遣いありがとうございます」は仕事でフォローをしてもらった時のお礼にも使えます。
「お心遣い」は相手に対する敬意が込められている表現であるため、上司や先輩など目上の人に感謝を伝える時にピッタリの言葉でしょう。
例文
・A社の件では、細やかなお心遣いをありがとうございました。おかげさまで成約へと話が進んでおります。
(3)贈り物や祝儀に対するお礼
「心遣い」は、ご祝儀や心づけなど金銭面での厚意を指す場合にも使われます。
「ご祝儀を頂きありがとうございました」でも間違いではありませんが、やや直接的な表現となってしまうため、かえって相手に気を使わせてしまうかもしれません。
現金や贈り物を「お心遣い」と置き換えることで間接的な言い回しとなり、柔らかい表現でお礼を伝えられます。
例文
・私どもの結婚に際して、過分なお心遣いをいただきありがとうございました。
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「お心遣いありがとうございます」を使う時の注意点
「お心遣いありがとうございます」は丁寧に感謝を伝えられる言葉ですが、いくつか気をつけるべき注意点があります。詳しく解説していきましょう。
(1)同僚や後輩には使わない
「お心遣いありがとうございます」は、相手の気遣いを「お心遣い」と敬った表現。上司や先輩、取引先などの目上の人に対して使うのが好ましい言葉です。
同僚や後輩などに「お心遣いありがとうございます」と使うと、かえって相手を恐縮させてしまうかもしれません。丁寧にお礼を伝えたつもりでも、相手にその気持ちが伝わらなければ本末転倒です。
この場合は、「いつも気遣ってくれてありがとう」「○○さんのフォローにはいつも助けてもらっています」など、やや砕けた表現の方が良いでしょう。
(2)「気遣い」との使い分けを意識する
「心遣い」によく似た言葉として、「気遣い」が挙げられます。「気遣い」には、次のような意味があるとされています。
気遣い(きづかい) の意味
1 あれこれと気をつかうこと。心づかい。「どうぞお―なく」
2 よくないことが起こるおそれ。懸念。「情報が漏れる―はない」出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
「気遣い」は「心遣い」と同様に、相手に対する配慮や心遣いを示す言葉であるため、その使い分けに悩むことがあるでしょう。その場合は、「行動を伴っているかどうか」で判断するといいかもしれません。
例えば、「体調の悪さを心配してくれた」という場合は「気遣い」を用いますが、「体調の悪さを心配して、仕事を代わりに引き受けてくれた」と具体的な行動を伴う場合は「心遣い」を用いるなど。
相手が自分を思いやって具体的な行動を起こしてくれた場合は「お気遣いありがとうございます」よりも「お心遣いありがとうございます」を使った方が、深い感謝の気持ちが伝わるのではないでしょうか。
▶次のページでは、言い換え表現を解説します。
「お心遣いありがとうございます」の言い換え表現
「お心遣いありがとうございます」は、他の言葉にも言い換えができます。使う場面や相手に応じて、いくつかのパターンを覚えておきましょう。
(1)「お心遣い痛み入ります」
「お心遣い痛み入ります」は「お心遣いありがとうございます」と同様に、相手の思いやりや配慮に対してお礼を伝える言葉です。しかし、「痛み入ります」という言葉を使うことで、より「気遣って頂いて申し訳ない」という気持ちを伝えられる表現となります。
特に、高価な贈り物をもらった場合やご祝儀をもらった場合などに、「ここまでして頂いて申し訳ない」という気持ちを伝えるのに適している言葉です。
(2)「ご配慮いただきありがとうございます」
「お心遣い」は「ご配慮」という言葉にも言い換えができます。相手がさりげなく親切をしてくれた場合など、相手の思いやりや気遣いに対してお礼が伝えられる言葉です。
ただし、「ご配慮」は「お心遣い」のように、「ご祝儀、心付け」という意味合いは含まれていません。
金銭的な厚意に対するお礼を伝える場合は、「お心遣いありがとうございます」を使いましょう。
(3)「ご高配を賜り感謝申し上げます」
取引先など対企業へお礼を伝える際は「ご高配を賜り感謝申し上げます」という表現に言い換えするのもいいでしょう。
ただし、格式張った表現であるため、安易に使うと堅い印象を与えすぎてしまうことも。よりかしこまった表現を用いたいシーンでは適切な表現です。
敬語で丁寧に感謝を伝えよう
「お心遣いありがとうございます」は、相手の思いやりや心配りに対してお礼を伝える言葉です。
ただ「ありがとうございます」と伝えるよりも、より丁寧な印象が与えられるため、日常生活やビジネスシーンでも積極的に使ってみましょう。
ぜひ正しい使い方を覚えておき、感謝を伝える表現の幅を広げていってくださいね。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2022年11月08日に公開されたものです