【File30】イキりすぎて失敗した恋
今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はモテ男観察の鬼ぴーちゃんのイタい恋。
「冷酷天上天下唯我独尊女」爆誕
「私と会話できてよかったね。あなたは選ばれし者だよ」
これは、私がどイキり女子だった頃に出会った男性に実際に言っていた、思い返して時々胃が痛くなる言葉です。同じ黒歴史を背負う女性を一人でも減らすべく、本日は私のイタい恋愛を公開したいと思います。
私が二十歳前後の頃の事でした。当時の私は、
・周りにハイスペックイケメンがうじゃうじゃおり、アプローチされまくる
・本命彼氏は高身長高学歴イケメンで資産家の息子
・自分自身の学歴等のスペックが厳格だった父親を抜く
・イケてる友達も多く、毎週夜の街で遊びまくる
という状況で、はちゃめちゃにイキりまくっていました。いやそりゃもうはちゃめちゃに。
Awichは『口に出して』という曲で『見返りばっか求める そんなプレゼントなら逆に 金払うから二度と出してくんな』と歌っていますが、それを地でいく感じです。(Awichさんは素敵な女性です。)
ものすごく自己中心的で承認欲求も強く、SNSには旅行先や食べた高級料理、男性からいただいたハイブランドのプレゼントを載せまくるという酒池肉林の狂乱ぶり。感情で動き、自分の思い通りにならないと途端に不機嫌になる様はまさにモラハラ女。ついたあだ名は「冷酷天上天下唯我独尊女」です。
本当にやりたい放題でした。世の中にはいろんなクズがいるとは思いますが、漫画に出たら100%悪役で、なんなら、割と早いうちに登場し、主人公をいじめて返り討ちに遭うタイプのクズだったのではないでしょうか……。
ですが、そんな狂乱生活の中、転機は突然訪れます。
本命彼氏からの忠告
当時のしゅきぴ彼氏とのうきうきデート中の事です。突然、苦虫を嚙み潰したような顔をした彼氏からこんな言葉を伝えられました。
「ぴーちゃんあのさ、すごく言いづらいんだけど、ぴーちゃん、SNSにブランド品とか料理とかいろいろ載せてるけど、そういうのあまり良くないと思うんだ」
サーッと音を立てて引く血の気。その瞬間猛烈に感じた強い羞恥心は今でも忘れられません。
私の理解者(主観)である彼氏でさえそう思ってたなら、いわんや周りをや。周りはもっとそう思ってるじゃん……と。
そう、私は知らないうちに天狗になり、孤立の道を選んでいたのでした。
今でこそ、天狗に気づかせてくれた当時の彼氏に感謝の気持ちでいっぱいですが、当時は羞恥心で死にそうで、そのプライベートアカウントは削除しました。
この状況になったことがある方はお分かりかもしれませんが、天狗は自分で気づけないんです。本当に。もし、その彼氏が変に良い人で、私にそのことを伝えてくれなかったらと思うと、ものすごくゾッとします。
イキりの先に良い出会いは無い
それ以降、『常に謙虚』『常に感謝』『常識外れの発想は常識の枠をまず知ることから』という言葉を意識して天狗にならないよう生活しています。
実際、それらを意識して生活するようになってからの方が、より豊かな方々と出会え、さまざまな価値観を素直な気持ちで楽しめるようになりました。上には上がいるこの世の中で、イキることは純粋に損だという事が身に染みたのです。
ブランド品を身につけない成功者の隣にいると、全身ハイブランドの自分が急激に恥ずかしくなるように、過度な自己主張は時に貧しさを感じさせる。井の中の蛙は非常に見苦しい。
今でも、当時を知る夫から、「ぴーちゃん『私がプレセントを貰うのはボランティア。相手が喜ぶからもらってあげてるの』って言ってたよねー」「『浮気? したいならすれば? どうせ私が一番って事に気づくだけだし』って言ってたし浮気しちゃおっかなぁ。ぷぷぷ」
とイジられます。そのたびに恥ずかしくて気が狂いそうです。悪影響が甚大すぎる……。ホントにヤダ……。
皆さんに私と同じ思いは絶対にしてほしくありません。
素直と感謝が治療薬
働く女性、いわゆるバリキャリ女性はおそらく、年収が平均より多い方も少なくないと思います。そして、ストレスが溜まっている方も……。
もし、周囲の男性を頼りなく感じていたり、お酒を飲んでいたりしたとしても、イキる事だけは絶対にしない方が良いです。イキりが恥ずかしいと気づいた後に、街の中で流れるヒップホップやラップを聞いて、共感性羞恥に襲われるような生き方は絶対におすすめしません。純粋な気持ちで心から音楽を楽しみたいはずです。
そして、「もう遅いよ!!」と頭を抱えて悶えているそこのあなたには、魔法の言葉を授けます。ぜひ、久しぶりに当時の友人に会った際にお使いください。
「上には上がいるって知って、自分死ぬほどダサいなってようやく気づいたの。むしろダサいときからずっと仲良くしてくれてありがとうね」
素直が一番です。素直であれば、あなたがどんな状態の時に出会った友人でも、また仲良くなる事ができます。
もし、照れくさくなったら、「今どこかの面接行って面接官に『自己PRしてください』って言われたら、『○○ちゃんと友達って事です!』って言うわ!」とおちゃらけましょう。
また、私の夫のように「あの時こんな事言ってたよねー」とイジってくる場合は、こちらが使えます。
怪訝そうな顔で、「気持ち悪! 誰!? そんな気持ち悪い事言った人!」と。
一旦すっとぼけ、笑いに変えるのです。
そして次に、「ものすごく気持ち悪い事を言ってた私といまだに仲良くしてくれるあなたってとっても素敵。神様みたい。私の家の神棚に祀るね。ありがとう」と、感謝を伝えてみてください。
イタい恋から得た教訓「周りへのリスペクトと謙虚さこそが良い出会いを連れてくる」
近年はSNSが発達し、エコーチェンバー現象によって「男性と肩を並べて働けるキラキラした女性」像がもてはやされ、独り歩きしているので、“自立”を勘違いし、謙虚さを欠いてしまうことがあるかもしれません。
だからこそ、今一度、自分がイキっていないか自問自答してみてください。
『有能な人ほど自身の能力に疑いを持つ傾向があり、一方で、無能な人は自分は優れていると過信して悦に入る傾向がある』
これは、ダニング=クルーガー現象と言い、近年よく聞かれるようになってきました。本当にその通りだと思います。この言葉を当時の私に伝えてあげたいくらいです。なんで誰も教えてくれなかったの……(イキってたからや)。
たしかに、自信を持つことは重要です。ですが、同時に、今の自分があるのは周りのおかげである事を思い出し、周りへのリスペクトと、謙虚さを忘れないようにしたいものです。
大丈夫、まだ今からでもあなたはやり直せる。あなたの人生がより豊かになることを願っています。
(文・モテ男観察の鬼ぴーちゃん、イラスト・菜々子)
※この記事は2021年12月19日に公開されたものです