
【File7】厳しい家庭のルールから抜け出したかった、禁断の恋
今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はエマちゃんのイタい恋。
イタい恋愛と言えば、感情のままに我を忘れて突っ走った恋愛にほかならない。
私のそんなイタい恋愛は、キュルンキュルンの女子高生のとき。先に言っておくと我が家は、私のこのフリーダムな性格からは想像し難いほど厳しい家庭でした。
どれぐらい厳しいかというと、まず高校生にもなって、門限が17時。それをなんとか学校の活動が……などなんやかんやと理由をつけて、19時に。そして悪い誘惑がないようにと、携帯を持たせてもらえない。友だちともお泊まりはダメ。極めつけが「恋愛禁止!」でした。
当時17歳エマちゃん。もう全ての言いつけがムリ!
恋愛禁止ってなんやねん!! 恋は自然にしてしまうもんやろ!! 止められるか!!
って感じで、私からしたら“普通の女の子”をしたかっただけなんだけど、我が家では「反抗期」になったわけですね。
なんとか携帯電話をゲット! 恋愛がはかどる
反抗期の高2エマちゃんは一生懸命悪知恵を働かせて、両親を言いくるめ(騙し)やっとの思いで携帯を手に入れます。それでも「夜は携帯を親に預けなきゃいけない」とか制約があったんですけど、地獄からの天国でしたね。
なんてったって、携帯を手に入れたら……はかどる、はかどる恋愛が!!
今まで全ての男子の「メアド教えてください」を断っていたのよ。携帯がないから(笑)。当時、実家の家電に連絡してくる勇者もいたけど、勇者ほど電話してきては「いきなり告白!」って感じだったから、いまいちピンと来なかったのよね。
そんな状況から、携帯を持ち始めて数週間、私は出会ってしまう。学校のOBである、4つ上の先輩に。
最初は大人数で会う仲だった。学校の活動の一環で、たまに会える人。そのとき同世代にまるで興味が抱けなかった私は、ちょっと大人の彼に会えば会うほど、気になっていたのでした。
彼は車を持っている人だったので、用事が終わればみんなを送ることも。その時に私だけ最後にして、話し込む時間があったり、次の機会には遠回りしてドライブしたり、彼も彼で私のことをかわいがってくれて、なんとなーくいい感じになっていったんですよね。
ただしここで付け加えておきたいのが、彼には長年の彼女がいたんです。高校生の頃からもう3、4年付き合っている人がいると。
長年の彼女がいる先輩といい感じに……
でも、私たちがなんとなーくいい感じになっているのは否めなかったので、私の恋心はヒートアップ。
「彼女がいるとか、どうでもいい。私好きだし。彼も私のこと好きそうだし。落とせるな」くらいに思ってました。JKエマちゃん強気。
その予感は的中し、高2の夏休み、私たちは急激に近づきます。
両親の言いつけを守っていたら、誰であっても19時までしか遊べない。それに誰と会うか絶対に伝えなきゃいけない。最悪両親は友だちが私といるか電話で確認する始末! そんなんじゃデートにいけない! 彼と遊べない! と思い、私は計画的に「おばあちゃんちでしばらく宿題をやりにいく」と両親に申し出ます。
おばあちゃんちでは携帯が使い放題! 私と彼とのやりとりもはかどります。なんなら、おばあちゃんちにいる間はアリバイづくりをせずにデートができるじゃん! と。
おばあちゃんちは吉祥寺にあったので、「明日かあさって、吉祥寺デートをしよう」という約束を彼と取り付けます。
もうメールでは完全にいい感じになっている私たち。
初デートになるそれは、なんとも楽しかった。お昼にパスタを食べて、吉祥寺の街や、井の頭公園をお散歩。しばらく歩いてたら彼から自然に手を繋がれたのよね。「でた大人ー! 告白せずにこういうことするんだー!」と衝撃だったの、覚えてる。
そんな感じで、どんどん仲良くなる私たち。もっともっと会いたいし、長くいたいし、あんなこともこんなこともしたくなるよね。
おばあちゃんちでの滞在は終わり、実家に戻って自由が効かなかった私は、思い切った行動に出ます。それが、夜中に家を抜け出すことでした。
彼を夜中に呼び出し、車で自宅前に来てもらう。私は夏の夜中に、彼の車に乗りこみました。
家を抜け出して、公園に行ってイチャイチャしてましたね。かわいいところまでですのでね、ご安心を。
そろそろ周りが明るくなってきて、時刻は4時くらい。両親が寝静まっている間に戻らないと、となり、車を走らせました。自宅から少し離れたところに降ろしてもらい、彼とは名残惜しくもお別れ。一人で余韻に浸りながら帰宅しようとしたら……。
なんと朝の4時に家の前で両親が“仁王立ち”で待機してるではありませんか……。
私心臓止まるかと思ったよね。もう言い訳なーーーんも思いつかない。万が一に備えて、考えとけよって感じだけど、JK恋バカエマちゃんは、なにも考えてません。すぐ彼と会ってたことゲロっちゃった。
まず、携帯を没収され、今までの彼とのやりとりを全て見られた。おばあちゃんちにいた時のデートもバレる。そしてここで、ふとしたやりとりで彼に彼女がいることも発覚してしまうんですね。
学校のOBで⁉ 娘を夜中に連れ出し⁉ 彼女がいて⁉ なにやってんだ! と父の怒りが爆発。
速攻彼は、我が家に呼び出されました。なんでこんなことになったのか、私のことが好きなのか、今後どうしたいんだとか、結婚したいのか(!)とか色々聞かれて、素直に話す彼。
「エマさんのこと好きです。彼女には別れを告げます。エマさんを幸せにします……」と、彼もビビってなのか、真剣なのか、一生懸命に言うも、父の怒りは収まらず……!
父は「ダメですね、エマとは二度と会わないと約束してください」と告げ、彼に「二度と会いません」と誓約書を書かせたのでした。
わたし、涙涙涙。好きな人との突然の別れって、衝撃ですよね。
イタい恋から得た教訓「恋愛では闇雲に突っ走ってはいけない」
とはいえ、今振り返るとこの恋愛は障害だらけ! 厳しすぎる我が家、彼女がいる人との内緒の関係、高校生と成人男性、とめちゃくちゃだよね。時効だから話せるわ。
あの時、彼との仲を引き離した両親には憎しみたっぷりでしたが、今の大人エマちゃんならわかります。「そりゃムリよ」と。
でも恋に恋した乙女はそんなこと分からないし、「好きが正義!」だった。
でもその恋愛で私は、「恋愛に闇雲に突っ走ってはいけないのだ。じゃないとムダに人を傷つけ巻き込んでしまう……。一歩引いて見なければ」と学んだのでした。
そこからはもちろん、彼と会うことは叶いませんでした。
たまに学校にくる彼を、遠目に眺めるくらい。彼はこわいこわい私の両親に、誓約書を書かされているため、私を見かけても、ただ悲しそうな視線を送るだけでなにもできません。
しばらくしてふたりは、偶然見かけた時に長めに視線を交わすだけの関係となったのでした。
好きなのに、近づけない……そんなドラマみたいな恋を、図らずとも経験してしまった高校生エマちゃん。キュンを通り越して、ギュンとしますね。
ただドラマと違うのは、その後ほとぼりが冷めても、復縁しないってところですよね。その後何年か経ってから彼から連絡来たけど、私はもう他の恋に夢中。エマフォルダ「ひと夏の恋」というカテゴリで、保存されたのでした。
両親に呼び出されてビビったよね……あんな思いさせてごめんね。そしてまさかのコラムでネタにしてごめんね……。マイナビウーマンさんがどうしてもってさあ……。
冗談はさておき、間違いなく私の青春の(イタい)1ページでした。
素敵な夏をありがとうね、ヒロくん。
(文・エマちゃん、イラスト・菜々子)
※この記事は2021年07月04日に公開されたものです