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集団心理とは? 意味と具体例を心理学で解説

大塚統子(心理カウンセラー)

集団心理(群集心理)とは、大勢の人が集まった時に起こる特殊な心理状態のこと。うまくコントロールすれば良い面に働きますが、中にはこれがいじめなどにつながる怖い事例も。今回は、心理カウンセラーの大塚統子さんが集団心理の意味や具体例を解説します。

集団心理について、どのようなイメージを持っていますか? 「人が集団になると怖い」と思う人もいるでしょうし、「集団心理をコントロールできたら」と考える人もいるでしょう。

集団心理とは、多数の人が集まることで起こる特殊な心理状態のこと。今回は、集団心理の意味や具体例、メリット・デメリットを詳しく紹介していきます。

集団心理とは? 意味と具体例

集団心理とは、集団の中で多数派に同調して合理的な思考力や判断力が抑制されると、集団全体として極端な行動を引き起こす特殊な心理のこと。同じような意味を示す言葉として「群集心理」も用いられます。

「集団」は目的や規律がある人々の集まり、「群集」は全体の統制が取られていない人々の集まりとして、従来は主に社会心理学で別々に研究されてきました。しかし現在は、集団の集団行動と群集の集合行動には連続性も認められています。

集団心理(群集心理)が働いた時に起こる事例は以下の通り。

(1)匿名性が強まる

不特定多数の中に混じると、一個人としての責任や恥じる気持ちなどの社会的なモラルが低下しやすくなります。

例えば、お互いの顔が見える少数のメンバー間での発言は、「私が言った」と特定できるため慎重になるでしょう。

しかし、SNSなど多くの人が発言するような場面では、普段しないような過激な発言も「言っても良いだろう」と思ってしまうなど、無責任になることがあります。

(2)被暗示性が強まる

大勢が同じことを言い、同じ行動をしていると、冷静な判断力を失って自分もその場の雰囲気に合わせた言動をしやすくなります。

特に日本には、協調性を大切にする文化的な背景があり、「みんながやっているから」と流されやすい傾向にあります。

例えば、ある商品が「大人気と評判」という話を聞いたり、行列ができている映像を見たりすると、たいして必要でもないのに自分も欲しくなることがあるでしょう。

このように、周りの言動に影響を受けることを被暗示性と言います。「みんなが言っているから、そうなのだろう」と集団心理が働いた結果、この傾向が表れやすくなります。

(3)感情性が強まる

一般的に「感情的になるのは良くない」という価値観があり、人前で感情を抑えようとする人が多いでしょう。ところが、一緒にいる人たちが泣いたり笑ったり怒ったりするような環境になると、感情が出やすかったり、感情優先の判断になりやすかったりします。

例えば、普段は物静かな人が好きなアーティストのライブ会場に行くと、気分が高揚して別人のようにノリノリになることもあるでしょう。また、普段は論理的に考えて冷静に行動する人が、好きなスポーツチームの試合観戦に行くと、感情的に叫びながら応援するなど。

集団心理が働くと、周りの人たちの感情の影響を受け、自分も感情に従った言動をしやすくなる傾向にあります。

(4)大きな力を持っていると錯覚する

自分1人では「自信がない」と思って行動をためらう人でも、集団になると気が大きくなって大胆に振る舞うことがあります。

例えば、自分がプレイしたわけではないのに、自分が応援するチームが勝利すると自分達が強くなったように思うこともあるでしょう。また、勤務先の会社が良い話題で取り上げられると、自分が直接成果を出したわけではないのに、偉くなったように自慢したくなることも。

集団心理が働くと、大きな力を持っていると錯覚しやすいのです。

次ページ:集団心理のメリット・デメリット

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