【第6話】駿の弱さと葉山社長に立つ死亡フラグ
恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、TBS火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』を毎週考察&展開予想するコラムです。今の日本人の生き方、価値観に一石を投じてくれそうな本作で、真柴くるみ(川口春奈)と藤野駿(横浜流星)が繰り広げる”うちキュン”はどう展開されるのか!?
※このコラムには『着飾る恋には理由があって』エピソード第6話までのネタバレが含まれます。
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横浜流星、丸山隆平に加え、向井理を従え日本最強のドリームハウスとなったシェアハウス。
居住権をオークションにかけたら、家賃ウン百万はくだらない夢の家で、今回も人間模様が入り乱れます。
最強の陽キャ・葉山社長
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久しぶりの葉山社長(向井理)、良すぎましたね。毎回小出しの出演で焦らされていた視聴者としては、やっと存分にご尊顔を堪能することができ、溜まりに溜まった向井理欲が満たされました。
突然シェアハウスにやってきたにも関わらず、人当たりの良さと豊富な話題でガンガン人の懐に入っていき、秒で全員の心をつかむ葉山社長のチートっぷりたるや。まるでマリオのスター状態。
あの難攻不落な羽瀬ちゃん(中村アン)相手でも、初っ端から軽々と壁をぶち壊すコミュ力と顔面力は、まさに陽キャの鏡。恋のライバル出現で社長を疎ましく思っていた駿(横浜流星)すら一瞬で心をつかまれ陥落。
おまけに、前向きで常に上昇志向であり、失敗を恐れない嫌味のない明るさ。大学カースト最高峰のフットサルサークルの部長タイプですね。このようなタイプの男性には、かき上げ前髪でミスコン出場経験ありの読モ系彼女がいたに違いありません(偏見)。
桜を分岐点にすれ違った運命
しかし、駿と両思いになった直後に7年間も大好きだった葉山社長が同じ屋根の下に住むとなれば、真柴(川口春奈)も気が気じゃない。かと思いきや、常に目線は駿を追っていましたね。
でもまだそのことをここでは明かしていないため、みんなは真柴が葉山社長に気持ちがあると思っているわけです。
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そこで、香子さん(夏川結衣)が葉山社長に「桜の約束をしていた頃の真柴の社長への思い」をほんのり伝えて彼の心を動かしてしまうわけです。
気持ちがまだ葉山社長にあればナイスアシストだったわけですが、社長とはかなわなかった桜を駿と見に行ったことがきっかけで気持ちは変わってしまっていたのですから皮肉なものです。
駿の発した2つのダブルミーニング
真柴のバイヤーへの夢を応援する場面で、駿は「これだと思うものを見つけて、社長に報告して……やりたいようにやれよ」と後押ししていました。
あえてここに社長を絡ませてくることで「自分の思うままにやれ」は夢を追いかけることの他に、「駿のことは気にせず心のままに社長を追いかけろ」という2つの意味が込められていました。
結局、真柴が自分の気持ちは駿にあることを伝えて丸く収まりましたが、身を引くという行為は時に独りよがりになってしまう危うさを垣間見ましたね。
駿は、勝手に真柴の気持ちを決めつけて身を引こうとしたわけですが、きちんと相手の気持ちを確認しないままでは、お互いにとって幸せな結論ではないのかもしれません。
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そして、相手に気持ちを確かめるのなら「まず自分の気持ちを伝えてから」がフェアです。駿は失うことが怖くて先に手を離してしまうという悪い癖のせいで、自分がどうしたいか本心も言わず、相手の心の内も聞かずに逃げ、コミュニケーションを取ることを怠っていたんですよね。これができていれば、今まで失わなかったものもあるかも知れないです。
しかし、真柴が夢に向かって出張に向かう場面で駿が発した「まっすぐ帰ってこいよ!」
このひと言にその悪癖を脱ぎ捨てたことが現れていました。
これは「旅から気をつけて家に帰ってこいよ」と「他の男によそ見せず、俺のところに帰ってこいよ」のダブルミーニング。自分の気持ちを伝えてコミュニケーションを取れるようになった第一歩。良い場面でした。
強いようで弱かった駿に母性本能が爆発
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「自分の価値は自分で決める」が座右の銘の駿。人の意見に振り回されず自分を貫くというのは、そうあれたらいいけれど、なかなか簡単に実践できることではありません。つらい経験を経てこの境地にたどり着いた彼は、強い男だと視聴者は思っていました。
が、しかし。今回影の努力や弱さが見えたのがいじらしかった!!
表向きはミニマリストだけれど、その実は大切なものをなくすつらさから逃げるため、多くを持つことを避ける一面があり、真柴を突き放して傷つくことから逃げようとした弱さ。
また、葉山社長が現れたことで真柴の気持ちが動くかもしれないと考え「真柴と社長を応援する!」と、嫉妬心を抑え自分に言い聞かせるようにバッティングに没頭する姿。これらが愛おしすぎて、視聴者の母性本能がビッグバンを起こしました。
強いように見えて実は人並みの弱さを持ち、「余計なものはいらない」「流れのままに」と自分に言い聞かせて精神力で理想の自分を作り上げていたんですね。なんといじらしい。
「上善は水の如し」とばかりにそこまで流れに従わなくてもいいし、真柴が好きなら自分の気持ちを伝えて水の流れを変えたっていい。
葉山社長は分かりやすくいい奴ですが、駿は少し捻くれたところもある、少し分かりにくいいい奴。だから、最初は真柴と駿はけんかばかりしていたけれど、だんだんと惹かれていったわけですね。
また立った葉山社長の死亡フラグ
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第1話で「次のレセプションうまくいったら桜を見に行こうな」と真柴を誘い、洋画あるあるの「この戦いが終わったら結婚しよう」的な絶対生きて帰ってこないタイプのフラグを立てて約束をブッチした社長。今回も仕事で京都に旅立つ時に「真柴のいつかはいつ? 次会った時教えて」とまたも特大フラグを立てて行きました。
これはまた次がないパターンでしょうか。一度社長から受けたトラウマはでかいので、社長の約束に視聴者は敏感になってしまいます。
それと第1話で「次会ったら(真柴に)言う」ともったいつけていた“アレ”もまだ聞いていません。久々にイケメンのご尊顔を拝めたうれしさですっかり誤魔化されていましたが、そろそろ利子つくくらいは待たされてます。早く教えて〜。
駿の店を元カノが受け継いでいた謎や羽瀬ちゃん恋の行方など、気になることがまだまだ盛りだくさん! 今後どう人間模様が変化していくのか楽しみです。
(やまとなでし子)
※この記事は2021年06月01日に公開されたものです