「頂戴する」の意味は? 正しい使い方を例文で解説
「頂戴する」のよくある誤用表現3つ
「頂戴する」は誤った表現で使われることがあります。失礼な人と思われないように、「頂戴する」のよくある誤用表現を確認しておきましょう。
(1)「頂戴いたします」
「頂戴いたします」は、二重敬語のため誤用とされています。二重敬語とは、一つの言葉で敬語を二重に使った表現のことです。
「頂戴」「いたします」はどちらも謙譲語です。つまり同じ種類の敬語が連続しているため、「頂戴いたします」は二重敬語に当たるのです。似たような表現で、「ご頂戴する」も二重敬語なので、誤って使わないように注意しましょう。
敬語を重ねたからといって丁寧さが強まるわけではなく、まわりくどくなってしまい、失礼な表現になってしまうことがあります。
ただし、「頂戴いたします」という言葉は、二重敬語でありながらさまざまな場面で使われています。例えば、名刺交換の際に「頂戴いたします」を使うのは一般的なのではないでしょうか。
本来正しい使い方ではないものの、ビジネスなどのさまざまな場面ですでに定着している表現として、「頂戴いたします」が使われることもありますよ。
(2)「お名前を頂戴する」
「お名前を頂戴する」は、電話対応時などによく使われる誤用です。「お名前を頂戴する」を敬語なしで言い換えると、「名前をもらう」という意味になります。
しかし、名前はもらったりあげたりするものではありません。このことから、名前に対して「頂戴する」を使うと失礼な印象になることもあります。
名前を聞きたい時は、「頂戴する」以外の言葉を選ぶのが正しい選択です。例えば「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」「お名前をお教えいただけますでしょうか」など、「頂戴する」に代わる表現を覚えておきましょう。
(3)「○○円頂戴します」
「○○円頂戴します」という誤用表現は、お金を受け取る場面で使われることが多いです。
「頂戴する」には「丸ごと受け取る」という意味があります。お釣りが出る場合はお金を全て受け取るわけではないため、「頂戴する」は適当ではありません。
「〇〇円頂戴します」を「〇〇円お預かりします」に言い換えると、「お金を一時的に預かる」という意味になり、お釣りを渡す動作に対して矛盾がなくなります。
ただし、会計金額ちょうどのお金を受け取り、お釣りが出ない場合は「頂戴する」が適切です。状況に応じて正しい表現を使い分けましょう。
番外編「○○して頂戴」
「○○して頂戴」は「頂戴」を文末に置く表現方法で、命令に近い意味を持ちます。ただし、強制力を伴うものではなく、命令形の中に親しみやすさを加えた表現です。
命令口調というより「○○をください」に近いニュアンスがあります。例えば「そのお菓子を頂戴」などは聞きなじみがあるかもしれませんね。
こちらは決して誤用というわけではありませんが、カジュアルな表現に当たるため、ビジネスシーンでは使わない方が無難。使用の際は注意しましょう。