「言付かっております」はフォーマルな場において、頼まれた伝言を取り次ぐ際などに使うフレーズです。
本記事では「言付かっております」の意味と使う時の注意点、類語などを紹介します。
■「言付かっております」の意味とは
そもそも^「言付ける(ことづける)」には、誰かに間に立ってもらい、伝言や品物を取り次いでもらうこと^、という意味があります。
こと‐づ・ける【言付ける/託ける】
1人に頼んで伝言や品物を取り次いでもらう。「明日来るように—・ける」「手紙を添えて新築祝いを—・ける」
2 かこつける。口実にする。
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
そして^「言付かっております」は、誰かから伝言などを頼まれた立場の人の表現^です。受け身系と敬語を組み合わせた表現で、主に^目上の人に対して^使います。
■「言付かっております」の使い方と例文
「言付かっております」は、フォーマルな表現のため主にビジネスシーンで使います。
例えば受付が、^社内の誰かから伝言や品物を預かっていて、それをお客さまや取引先に伝える^場面で使用します。また^既に依頼を受けており用件は分かっているという旨を知らせる^こともできます。
◇例文
「言付かっております」はどう使うのか、具体的な例文を見ていきましょう。
*・「弊社の○○より、△△とお伝えするよう言付かっております」
・「その件は○○より言付かっております」
・「○○さんより、△△の締め切りが□日に変更となったと言付かっております」
・「○○様より、△△についてのご要望を言付かっております」
・「こちらをお渡しするように、○○より言付かっております」*
■「言付かっております」の注意点
「言付かっております」は丁寧な言葉ですが、シーンによっては注意が必要なこともあります。細かく見ていきましょう。
◇(1)「言付かる」と「預かる」はニュアンスが違う
「言付かる」と「預かる」は、人から用件や品物を受け取るところは同じです。
しかし「言付かる」はどちらかというと、伝言を残した人が主体です。「預かる」は自分が引き継いで世話をするという意味合いがあるため、「言付かる」とはややニュアンスが変わるのです。
わずかな違いですが、^伝言や物を必要な人に届ける中間的なポジションの場合は「言付かっております」を^使い、^より能動的な印象を与えたい場合は「預かっております」を^使うといいでしょう。
◇(2)対面では、現代的な敬語に言い換えることも検討する
^「言付かる」という表現はやや古典的で堅苦しい印象があります。^そこで、特に対面では「聞いております」といったカジュアルな表現を使うのもいいでしょう。
ただし「言付かっております」をスムーズに使えると、敬語の知識が深く、安心感のある相手だと印象づけられるかもしれません。相手や場の雰囲気によって使い分けましょう。
■「言付かっております」の類語・言い換え表現
「言付かっております」では硬すぎる場面では、適度な言い換えが必要です。ここでは3つの類語・言い換え表現を紹介します。
◇(1)伝言を承っております
^「言付かっております」と似た意味として、誰かに伝言を頼まれている場合は「承っております」という表現^が使えます。
相手にもスムーズに意味が伝わりやすく、便利なフレーズです。
◇(2)命じられております
上司などの目上の人から、^命令を受けていることを強調したい場合は、ニュアンスが伝わりやすい「命じられております」^を使いましょう。
より揺るぎない印象を与えることができるはずです。
◇(3)指示されております
何かするように^指示を受けているのなら、ストレートに「指示されています」という言い回しも便利^です。
「命じられております」よりもカジュアルで、直近の上司など比較的身近な相手からの命令や要望に応える際に使います。
■「言付かっております」は、伝言の際などに使える中間的立場の表現
「言付かっております」は、誰かから言われたことを相手に伝えるなど、中間的なポジションにいる際に使える表現です。
特にビジネスシーンでは、必要な情報を正しく届けることが大切です。相手やタイミングなどによっては他の言い換え表現も使いながら、円滑なコミュニケーションを目指しましょう。
(にほんご倶楽部)
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