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「よしなに」の意味や語源は? 使い方や例文・言い換え表現を解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「よしなに」は方言ではなく和語・古語の1つ

「よしなに」には古風な響きがあり、一般的にひらがなで書かれることが多いため、関西弁などの方言や大和言葉(日本古来からある言葉)だと思う人も多いでしょう。

しかし、方言の辞典には掲載されていないので、方言ではないようです。

また、厳密な意味での大和言葉として位置付けるほどには古い時代のものでもないようです。そのため、一般的な和語・古語の1つと考えるのが良いでしょう。

江戸時代の文献に「よしなに」を使ったものがあり、この頃にはすでに使われていたことが分かります。

十難を一つ一つよしなに言いなし、ここが大事の胸算用
(井原西鶴『世間胸算用・二』)

国へはよしなに言い遣って
(近松門左衛門『心中刃は氷の朔日』)

「よしなに」の語源

語源についてはさまざまな説がありますが、辞書に以下のような記述があります。

よしなに
よいように。適切に。語源については、形容詞「良し」に接尾語「な」と断定の助動詞「なり」の連用形に「に」が付き一語化したものとする説(角川古語大辞典)があるが、「な」の素性が必ずしもはっきりしない。
この「な」に関して、『大言海』は「ナは、あんな・こんなのナにて、様(やう)の意」ととくが、疑問である。
(『新明解語源辞典』三省堂)

「な」の部分は諸説あるようですが、全体は以下の成り立ちだと考えられます。

・形容詞「良し」+接尾語「な」(あるいは「様」の意)+助動詞「なり」の連用形「に」

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