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男性がデート代を奢る「本当の理由」

笹氣健治(心理カウンセラー)

働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちがお悩み回答形式で紹介します。今回の回答者は、心理カウンセラーの笹氣健治さん。

今回のお悩み「女性に奢る男性心理って何ですか?」

一昔前までは、男性が女性に奢るのが当たり前という風潮がありました。でも、今は割り勘にするカップルも比較的スタンダードになってきているように思います。そんな中で、男性がデート代を全額奢ってくれる理由って、「下心があるから?」それとも「見栄を張りたいから?」。令和になった今、女性に奢る男性心理って何なんでしょうか?

男性が女性に奢る本当の理由

なぜ男性は女性に奢るのか、それはズバリ「モテたい」からです。女性をデートに誘った時、(多分)ほとんどの男性はこう考えています。

「デート代を全部出したら、俺のことを頼もしい人、紳士的な人だと思ってもらえるだろうか」

要するに、カッコつけたいんです。カッコいい男はモテる。そう考えているんですね。

確かに、少し前の日本では「デート代は男性が負担するもの」という風潮が根付いていました。しかし、今の時代は令和。男女間の収入格差は縮まったし、世の中ははるかに平等で自由になり、そんな風潮に考えを左右される男性はぐっと減りました。

つまり、奢る心理の背景には「風潮」ではなく、「個人の気持ち」の比重が大きくなったのです。

男性側がデートに誘うということは、やはりその女性に好意を持っているわけで、「できればお付き合いしたい」「もっと親密になりたい」と思っているわけです。

お付き合いをOKしてもらうには、当然ながら、相手からも自分に対して好意を持ってもらう必要があります。そのためにはカッコいい男でなければならない。カッコいい男は気前がよく、紳士的で、頼りがいがある。だからデート代は全額払わなきゃ、といった考えで奢っているのです

ちなみに、デート代を全額出さない男性は「モテたい」と思っていないのか、と言うと、そんなことはなくて、本当にお金に余裕がないか、「どんな状況であれ平等に出すのが普通でしょ?」という価値観の持ち主であると思われます。

したがって、デート代の負担だけで相手の全ての感情を量る、なんてことはできないでしょう。

奢るのは「下心」や「見栄」じゃないの?

ところで、男性が女性に奢る理由として、下心があるからではないのか、見栄を張りたいからではないのか、という意見もあるかもしれませんが、私の考えはこうです。

いわゆる「下心がある」と言う時は、性的な意味で使っていると思いますが、全くないとは言い切れないものの、奢ったくらいでそこまで考えている男性は、一般的に考えて、まずいないはずです

あくまでも「好意を持たれたい」「いい関係を作りたい」というレベルでしか考えていないと思います。

一方、見栄を張りたいというのは、相手によく思われようとする、好印象を与えようとする、つまり、「自分をより良く見せたい」と思っている点では、当たっているかもしれません。やはり、カッコつけたい、モテたい、という気持ちが根底にあるのです。

心理カウンセラーが教える「好印象な奢られ方」

ここまで、女性に奢る男性心理を考えてきましたが、それを踏まえた上で、男性に奢ってもらった後は
どんな対応したらいいのか、という肝心な点を考えてみましょう。

私が重要だと思うポイントを示したいと思います。

大切なのは「申し訳なさ」ではなく「感謝」

まずは、「返報性(へんぽうせい)の原理」に惑わされないようにしましょう。

返報性の原理とは、他人から何かしてもらった時に、お返しをしなければならないという気持ちが湧いてくる心理傾向のことです。

年賀状をもらったら送り返す、SNSで「いいね」をもらった人に「いいね」を返す、といったように、わざわざ何かしてもらったら相応のお返しをしなければと、つい思ってしまった経験があなたにもあるのではないでしょうか?

デート代を奢ってもらったらどうすればいいのか? と悩むのは、この心理に陥っているからかもしれません。「奢ってもらったら何かお返ししなければならないのかな」と申し訳なく思ってしまうのは、返報性の原理によるものです。

男性は、奢りたいからを奢るのであり、デート代を全額出してもらったからと言って、申し訳なく思う必要はありません。抱くべきなのは「申し訳なさ」ではなく、「感謝」です。

まずは「喜ぶ顔」をお返ししよう

逆の立場になって考えてみましょう。

例えば、あなたが誰かに(彼氏、親友、家族など)手料理を振る舞う場面を想像してみてください。誕生日プレゼントを買って渡す場面でもいいです。

その時あなたは、その相手のどんな反応を期待しているでしょうか?

まず先に「材料費の半分出すよ」「今度必ずお返しするね」と言われたいですか? そんなことはありませんよね。

きっと「料理をおいしいと言ってほしい」「一緒に食事の時間を楽しみたい」「相手の喜ぶ顔が見たい」と思うのではないでしょうか?

男性が女性に奢る時も同じです。

「一緒に楽しい時間を過ごしたい」「喜ぶ顔が見たい」と思っているからデートするのです。

奢られた時の対応は、その期待に応えるものであれば、どんなものでも正解です。

男性が「あなたにモテたい」と思う根底には、「あなたと一緒に楽しい時間を過ごしたい」という気持ちがあります。

「無理してないかしら」「少しはお金出した方がいいのかしら」といったように、気を回す前に、まずは素直に感謝する気持ちを持ちながらその場を楽しむ。これを常に忘れないことが大切です。

こう考えてみると、どちらがどれだけ払うか、なんてことは、ちっぽけな問題かもしれません。こんな原点に立ち返って、どうぞ2人にとって素敵な時間をお過ごしください。

令和のマネーハック08

令和の今、男性が奢る理由は「風潮」ではなく「気持ち」がメイン。そんな思いには、「申し訳なさ」ではなく「感謝」で応えよう!

(文:笹氣健治、イラスト:itabamoe)

参考記事はこちら▼

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※この記事は2021年01月12日に公開されたものです

笹氣健治(心理カウンセラー) (心理カウンセラー)

メンタルトレーナー・心理カウンセラー
1967年生まれ。国際基督教大学を卒業後、NTT(東京支社)に入社。その後、地元の仙台に戻り、スポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。企業を経営する上で人間心理を理解する必要性を痛感して心理カウンセリングを学び、現在は、ストレスやコミュニケーション問題の解消をテーマにした講演やカウンセリング、目標達成のためのメンタルトレーニングを行っている。『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『仕事の悩みを引きずらない技術』(PHP研究所)など、著書19冊。

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