先が見えないからこそ、やりたいことをやる。SHE IS SUMMER・MICOの生き方
マイナビウーマンのコア読者は“28歳”の働く未婚女性。今後のキャリア、これからどうしよう。結婚、出産は? 30歳を目前にして一番悩みが深まる年齢。そんな28歳の女性たちに向けて、さまざまな人生を歩む28人にインタビュー。取材を通していろんな「人生の選択肢」を届ける特集です。
取材・文:ameri
撮影:洞澤佐智子
編集:鈴木美耶/マイナビウーマン編集部
かわいい声とエモい曲調、そしてセンチメンタルなのに軽やかに紡がれる歌詞。『とびきりのおしゃれして別れ話を』を筆頭に、恋に悩む女の子たちの背中を押してくれる楽曲を届け続ける、ソロプロジェクト「SHE IS SUMMER」でアーティスト活動中のMICOさん。
そんな彼女は2020年9月3日で28歳を迎える、どんぴしゃのマイナビウーマン読者世代。
大きな分岐点を経てソロアーティストとして活動している彼女の“今”に迫った。
曲作りは暇つぶしから日々の記録になった
15歳の時に作詞・作曲を始め、翌年には初のワンマンライブを開催した彼女。楽曲制作を始めたきっかけは“暇だったから”と語る。
では現在、曲を作ることや歌うことは彼女にとってどのような存在へと変わっているのだろうか。
「暇つぶしから『たくさんの人を勇気付けられる曲を書きたい』という気持ちに変わり、今は『もっと詩を楽しんでみたい』と思うようになりました。曲作りは、私にとって日々の記録を付けるようなものでもあります」
暇つぶしから始まった楽曲制作は、今や日常の一部となっている。そう語る彼女からは、楽曲制作を楽しむ姿勢が垣間見える。
「言葉の組み合わせを楽しんだり、言葉で遊ぶ詩を作ったりしたいなと思うようになったので、最近はメッセージ性と言葉遊びを半々に織り交ぜた曲を書いています」
何が起こるか分からない人生だから、やりたいことをする
彼女は、SHE IS SUMMERとしてソロ活動をする前に、かつてエレクトロポップ・ユニット「ふぇのたす」のボーカルとしてバンド活動をしていた。メンバーの一人が亡くなるという事態から解散を経て、もう一度アーティストとして生きていこうと決意した裏には、どんな気持ちの変化があったのだろう。
「ふぇのたすの解散を決めた時、実は音楽を続けるか迷っていたんです。デビューできたのは、やっぱりふぇのたすのメンバーがいてこそだったから」
そう言って複雑な表情を見せる。その眼差しから、当時の葛藤が見て取れた。
「そもそも、音楽を始めたきっかけが暇つぶしだったので、当時はその延長という気持ちが拭えない自分もいて。そんな時、今のディレクターに『もう一度一緒に音楽をやろうよ』と声を掛けてもらったんです。それがきっかけで、もう一度だけ挑戦してみようかと思えたんですよね」
あの時彼女が別の道を選んでいたら、世の女の子たちの背中を押すSHE IS SUMMERの楽曲は今存在していない。誰かの一言が大きく人生を変えることもあるのだ。
大きな分岐点を経て、アーティスト活動を継続した彼女。もちろん歌い続けていると、壁にぶつかることもあるという。
「悩んだ時は周りに相談するし、自分でもしっかり考えます。どんなことを思い、何が楽しくて何が不安なのか、どうしてそう思うのかを徹底的に紙に書き出すんです。だって、何が不安なのか分からないことが一番不安だから。
不安の原因が突き止められれば、改善するための行動に移れるじゃないですか。行動している間は、悩みが消えていなくても解決の方向へと進んでいると思えるから、不思議とつらくない。いつも、早くそのフェーズに行きたいから、じっくり自分と向き合って棚卸しをしていますね」
2020年、SHE IS SUMMERは“コラボイヤー”と題して、さまざまなアーティストとコラボレーションした楽曲を発表している。その他にも、今まで気になっていたものの一歩踏み出せなかったというYouTubeでの動画配信も始めた。楽曲をイメージしたショートムービーや、ライブの配信を行っている。
「SHE IS SUMMERの音楽に関しては、ずっといろんなことに挑戦してきたので、コラボ自体をあまり新しいチャレンジとは思っていないんです。それよりも、最近始めたYouTubeの方が自分にとって新しいチャレンジですね。
新型コロナウイルスによる外出自粛期間に、『何が起こるか分からない人生だから、やりたいことをやればいいじゃん!』って吹っ切れたんです。経験は何にも代えられない価値があるじゃないですか。いろいろなことをたくさん経験した方が人生は充実するし、楽しいですよね」
いつか「結婚した時の気持ち」を歌詞にしたい
28歳を迎える今年、彼女は自らの年齢とどう向き合っているのだろうか。
「28歳ってすごく微妙な年齢ですよね。25歳よりは大人だし、かといって30歳まではあと2年もあるし。でも正直、自分の年齢をだんだんと意識しなくなってきてるんです。この間も年齢を書く欄に(まだ27歳なのに)28歳って書いちゃって……。あまり年齢にこだわってはいないと言いつつも、字面で見た時はさすがに『もう28歳なのか』と感じましたけど(笑)」
焦りを微塵も感じさせない。彼女は彼女の時間の中で生きているようだ。
しかし、30歳を目前にすると、自分のかなえたいキャリアプランと、結婚・出産といったライフイベントとの間で揺れ動いてしまうことも少なくない。彼女自身は「いつまでにこうありたい」という具体的なイメージを持っているのか聞いてみた。
「小さい頃からずっと、30歳くらいに結婚するんじゃないかなというイメージはぼんやり持っています。『絶対にしなきゃいけない』とは思ってはいないけど、そのイメージは今でもそれほど崩れてはいませんね。
だけど、人生の中でマストではない。だから、まだまだ結婚が遠い存在に感じられるのも正直なところです」
そしてアーティストらしい、こんな本音も漏らしていた。
「結婚したら自分の気持ちにどんな変化が起こるのかには興味があります(笑)。いつかその時の気持ちを歌詞にしたいですね」
マイペースな考え方が魅力の彼女ではあるが、周りと自分を比べて焦ることはないのだろうか。
「つい最近、友達に指摘されて『周りの目を気にしている自分がいる』ことに気が付きました(笑)。ソロになって自分と向き合う時間が増えたことで、元々のネガティブな性格が出てきてしまったんだと思います。
でも、ネガティブな自分もポジティブな自分も、どちらも間違いなく自分だから。どちらも解き放っていいのかなって。ただ、自然体を見せるのって、とても難しいですよね。だから、どうすればそれができるのかを最近よく考えています」
28歳は自分の技術を磨いていく1年に
新型コロナウイルス感染拡大によって、アーティスト活動にも制限が生じている。こんな時代の中で、目指したい姿を明確に描ける人は少ないのかもしれない。
「『こんなアーティストになりたい』と限定しないようにしています。以前は目標のアーティスト像がありましたし、今も憧れる人はいます。でも、今私たちはこれまでにないスピードで時代の変化や進化を感じているはず。だから、目標を定めても同じようにはなれないと思うんです」
これから先どんな未来になっていくのか、それは誰にも分からない。変わりゆく時代の波に乗りながら、その時々に沿った目標を掲げる必要があるだろう。彼女は、これからの1年に向けて、こんな夢を語ってくれた。
「だから、28歳は、自分の技術を磨く1年にしたいですね。練習と勉強の年にして、自分でできることを増やしていきたいです。できることが増えると、自分で自分の機嫌を取ったり、自信を付けられたりすると思うから」
自由だけど芯の通った考え方、独特なのに違和感なく心に溶け込む言葉。彼女は、SHE IS SUMMERの楽曲を初めて聴いた時に感じた印象を、そのまま纏った人だった。
自分で自分の限界を決めなくていい。したいと思ったなら挑戦したらいい。取材中に受け取ったメッセージは、悩み、立ち止まってしまった時にいつも私の背中を押してくれる。
SHE IS SUMMERは、これから先も多くの人を勇気付け、魅了していくのだろう。
summer end one man live -streaming-
28歳初日の9月3日に、ストリーミングワンマンライブを開催。
・開催日時:2020年9月3日(木)19:50 OPEN/20:00 START
・出演:SHE IS SUMMER
・チケット代金::2,000円
MICOさんメッセージ
半年以上ぶりにライブハウスに立ってパフォーマンスを披露します。これまでも何度か配信ライブはしていますが、全て部屋をテーマにしたライブだったので、久しぶりにちゃんと衣装を着て豪華に開催するので、そこが見所です!
※この記事は2020年08月29日に公開されたものです