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「せわしない」は方言? 意味や使い方・類語を解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「せわしない」を使う場面と使い方(例文)

「せわしない」は、例えば次の3つのような状態・状況を表す場合に使います。

(1)やることが多くて、暇がない。いそがしい状態。

(2)物事の動きや流れが急なこと。

(3)人の動作や話し方、雰囲気が落ち着かない様子。

いずれも、本当にいそがしい、落ち着かない様子を表します。

では、実際にどんな場面で使えるのでしょう。

(1)「やることが多くて、暇がない。いそがしい状態」を表す場合

(転勤した上司へのメールで)
・新天地はいかがですか。こちらはみんな相変わらずせわしない日々を過ごしております。

(繁忙期で忙しい時に)
・4月は新人指導など何かとせわしない時期で、なかなかそちらへ伺うことができません。

(2)「物事の動きや流れが急なこと」を表す場合

(急激な環境の変化により)
・法改正に対応すべく、この業界も例年になくせわしない状況です。

(市場への動向により)
・A社の破綻報道で、弊社の関係部署が一気にせわしなくなってきました。

(3)「人の動作や話し方、雰囲気が落ち着かない様子」を表す場合

(話し方が早口な人に対して)
・Kさんの話し方はちょっとせわしないですね。

その他、プライベートな場面でも次のような使い方ができます。

・元気ですよ。せわしないのは変わりませんが。

・今年は夏以降ずっとせわしなくて、ゆっくり休みが取れない。

なお、上記の「せわしない」は全て「せわしい」とも表せます。

「せわしない」の類語

「せわしない」の類語には、以下のような言葉が挙げられます。

「慌ただしい」「気ぜわしい」

「慌ただしい」とは、落ち着きがなく、急いだり慌てたりするさまのこと。

「気ぜわしい」は「気+せわしい」。

気持ちが焦って落ち着かないさまを示し、いずれも「落ち着きがない」とう意味を持つ「せわしい」と似た言葉として挙げられます。

「多忙」「繁多」

「いそがしい」という意味では、この「多忙」「繁多」も挙げられます。

「多忙」は、非常にいそがしいさま。「繁多」は、物事や煩わしいことが多いさまを意味します。

「忙忙しい」「忙忙」

「せわしない」よりもさらに多忙な様子を示す場合に「忙」の字を重ねた言葉もあります。

「忙忙しい(せわせわしい)」には、ひどくいそがしいなどの意味が、「忙忙(せわせわ)」には、心の落ち着かないさま、という意味があります。

「せわしない」は「いそがしい」ことを表す言葉

いかがでしたか?

「せわしい」という言葉に「ない」が付くことで「いそがしくない」と誤認しそうですが、本当の意味は、「いそがしい」や「落ち着きがない」状態を指す言葉です。

また、以前は一部の地域で方言のように使われていたものの、今では一般的に使える言葉でもあります。

もし、意味が通じにくいかも、と思った場合には、「慌ただしい」「多忙」などの言葉に言い換えて伝えると良いでしょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

※この記事は2020年07月26日に公開されたものです

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師) (ライティングコーチ・文章術講師)

コピーライターとして長年「ことば」に関わってきた経験値を元にまとめた「ほどよい敬語」(https://ameblo.jp/comkeigo/)が好評。過剰さや不適切さを排し、明快に説く内容は「違和感の理由がわかりスッキリした」と質問サイトなどでたびたび引用される。

自治体・団体・医療機関向けSNS活用、文章術研修の講師でもある。

著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(青春出版社)『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(日本経済新聞出版社)『ソーシャルメディアで伝わる文章術』(秀和システム)など。公益社団法人日本広報協会アドバイザー。

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