義務感を抱きながら生きる人生にストレスを感じたときの対処法
義務感を抱いてしまう心理
やりたくないのであればやらなければいいだけの話なのですが、義務感を抱き生きている人にとって「やらない」という選択をするのはとても難しいことです。
それはなぜかというと、たとえやりたくないことであっても、それをやることが自分の存在価値の証明になるからです。
別の言い方をすると、自分がこうありたいという理想像があって、その理想通りの生き方をすることで自分の存在価値を確かめているのです。義務感で生きる人が持っている理想像の例を挙げながら、もう少し具体的に説明しましょう。
理想像(1)義理堅い人でありたい
「バレンタインデーのチョコレートを職場の男性全員に買う」「何かしてもらったら必ずそのお返しをする」といったように、義理を果たすことに義務感を抱く人は、「私は義理堅い人でありたい」という理想像を持っています。
義理堅い行動をすることで、「私は良い人間だ」と実感することができて、その自己肯定によって自分の価値を確認しているのです。
理想像(2)常識やルールを守る人でありたい
「旅行に行ったら必ず同僚全員にお土産を買ってくる」「お付き合いのある人全員に毎年必ず年賀状を送る」といったように、社会人としての常識を貫くことに義務感を抱く人は、「私は常識を守る人でありたい」という理想像があります。
また、会社でやってはいけないと言われていること、やるべきだと教えられたことを律儀に守り通そうとするのは、「私はルールを守る人でありたい」という意識があるからです。
もし常識やルールを守らなかったら、「私はダメな人間だ」と自己否定し、「そんな私には価値がない」と感じてしまうのです。それを避けるためにも、常に常識やルールに沿った行動をしてしまいます。
理想像(3)思いやりのある人でありたい
「頼られたら忙しくてもつい面倒を見てしまう」「どんなに忙しくても友達の買い物に付き合ってしまう」といったように、他人をサポートすることに義務感を抱く人は、「私は思いやりのある人でありたい」という理想像を持っています。
他人をサポートすると、「私は思いやりのある良い人間だ」と自己肯定感を得ることができます。そうやって、「そんな私には存在価値がある」という安心感で満たされたいのです。
理想像(4)有能な人でありたい
「自分以外にパソコンに詳しい人が職場にいないので、パソコンが動かなくなったと言われたら残業してまで対応してあげる」といったように、自分でなければできないことに義務感を抱き行動する人もいます。思いやりの意識もありますが、自分に能力があることで誰かに貢献しているという満足感を得ている部分もあります。
こういう人は、「私は有能な人でありたい」という理想を持っています。自分の能力によって誰かの役に立っているときに、その理想が実現できているという実感が得られます。そのため「私は有能である」ということを自分自身に証明するべく、自分の能力を発揮できることをつい引き受けてしまうのです。