「そつなくこなす」の意味とは? そつなくこなす人の特徴も解説
「そつなくこなす」とはどのような意味なのでしょうか。また、仕事をそつなくこなす人にはどのような特徴があるのでしょうか。本記事では、心理カウンセラーの笹氣健治さんが、そつなくこなす人の特徴や長所、短所などを解説します。
仕事を「そつなくこなす」のは、本当に良いことなのでしょうか?
与えられた仕事をミスなく効率的に処理していく。周りにも気を配り、人間関係を荒立てることもない。そんなふうに仕事をこなすことは、一見なんの問題もないように思えますが、良いことの裏には悪いことが潜んでいるものです。
仕事をそつなくこなすことの問題点と課題はなんなのか、また一皮むけるための方法を一緒に考えてみましょう。
「そつなくこなす」の意味や類語は? 使い方も解説
まずは「そつなくこなす」の基本的な意味や類語、使い方を確認しておきましょう。
意味は「むだなくこなす」
そつがないとは、辞書によると以下のような意味です。
そつが無い
むだがない。ておちがない。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
そして、仕事において「そつがない」というのは、どんな仕事もミスなく正確に処理し、効率的にテキパキ仕事を進める。納期を必ず守るのはもちろんのこと、いろいろな派閥やグループの中で敵をつくらず、うまく立ち回ることができるということを指し、まさに「仕事ができる有能な人」といった印象です。
類語は「要領よくこなす」など
「そつなくこなす」の類語としては、以下のような言葉が挙げられます。
・要領よくこなす
・抜け目なくこなす
・うまくこなす
使い方(例文つき)
「そつなくこなす」の使い方としてまず気になるのは、「そつなくこなす」が褒め言葉になるのかどうかでしょう。
そこで、ここでは「そつなくこなす」が褒め言葉になるのかを解説。また、例文もいくつか紹介します。
「そつなくこなす」は褒め言葉?
前述した通り、仕事をそつなくこなす人には優秀なイメージがあるでしょう。
そのため、「いつもそつなくこなしてくれて助かる」といったように、プラスの言葉と一緒に使う分には褒め言葉といえます。
ところが、面と向かって(あるいは陰で)「仕事をそつなくこなしているよね」と言われる場合は、必ずしも誉め言葉だけではない可能性もあります。例えば、こんなふうに思われているかもしれません。
自分の利益しか考えてなさそうで、一生懸命さや熱意が感じられない。しかも、いつも成果はそこそこのレベル止まりで、すばらしいというレベルには至っていない。
仕事ができるのですから、本来は尊敬されるべきなのに、どこか人として魅力に欠けている。それが「仕事をそつなくこなす人」にはびこる残念な印象だといえるかもしれません。
「そつなくこなす」の例文
まずは「そつなくこなす」の褒め言葉としての例文を以下に紹介します。
・「○○さんはいつも仕事をそつなくこなしてくれる、優秀な後輩だ」
・「この間もあんな大人数の前でプレゼンをそつなくこなしていて、すごいと思ったよ」
次に挙げるのは、必ずしも褒め言葉とはいえない「そつなくこなす」の例文です。
・「彼は仕事をそつなくこなしている感じだ」
・「悪くないけど、なんとなくそつなくこなしている印象なんだよね」
仕事をそつなくこなす人に共通する特徴
仕事をそつなくこなす人は、まぎれもなく優秀な人材です。そんな人にはどのような特徴があるのか、ここで整理しておきましょう。
(1)頭の回転が速い
頭の中でいろいろな状況をシミュレーションし、何が最適かをすばやく見極めて判断を下します。
この頭の回転の速さがあるからこそ、なんでもそつなくこなすことができるのです。
(2)客観的に全体を把握できる
主観にとらわれず客観的に全体を把握する力があります。よって、ミスや問題が生じそうなところをあらかじめ察知し、対策をとることができます。
広い視野で物事を多角的に考えることで、より最適なプランニングも可能です。
(3)論理的に考える
「これをするとこうなる」「求める結果を得るためにはこれをやっておく必要がある」というように論理的に考えられることによって、先を予測してムダや漏れのない効率的な計画を立てることができます。
(4)ポイントを押さえる
重要なポイントが何かを見抜く力に優れています。
押さえるべきところはしっかり押さえ、そうでないところは力を抜く。そうやってメリハリを上手につけて時間を効率的に使うので、同じ時間内でも周りの人よりも多くの仕事をこなすことができます。
(5)相手の立場を考える
人それぞれの異なる意見や立場を尊重して、全体としてうまくまとまるように配慮ができます。
また、交渉力があり、相手に納得してもらうように説得することも得意とします。
(6)責任感が強い
仕事に関しては、自分の責任をしっかり果たそうという意識を強く持っています。だからこそ、ダンドリをしっかり考え、進捗管理を徹底して締め切りを確実に守ろうとするのです。
そうやって得られた信用の積み重ねが、「仕事をそつなくこなす人」という評価につながっています。
(7)ITを活用する能力が高い
多くの仕事を同時並行で抜かりなく処理していくためには、IT活用も重要です。
タスク管理、関係者のスケジュール調整、情報の共有化、ドキュメント作成などを効率的にできる背景には、ITスキルの高さもあるでしょう。
▶次のページでは、そつなくこなすことのメリット・デメリットを紹介します。