「そつなくこなす人」の課題とは。意味や特徴を解説
仕事をそつなくこなすことって簡単なことではありません。ただ、求められたこと以上のパフォーマンスを発揮できないと悩んでいる方もいることでしょう。今回は、心理カウンセラーの笹氣健治さんに「そつなくこなす」ことの長所を伸ばし、新たな自分と出会う方法を教えてもらいます。
仕事を「そつなくこなす」のは、本当に良いことなのでしょうか?
与えられた仕事をミスなく効率的に処理していく。周りにも気を配り、人間関係を荒立てることもない。そんなふうに仕事をこなすことは、一見なんの問題もないように思えますが、良いことの裏には悪いことが潜んでいるものです。
仕事をそつなくこなすことの問題点と課題はなんなのか、また一皮むけるための方法を一緒に考えてみましょう。
「そつなくこなす」の意味
そつがないとは、「むだがない。ておちがない」といった意味の言葉です(出典元:広辞苑 第六版)。
そして、仕事において「そつがない」というのは、どんな仕事もミスなく正確に処理し、効率的にテキパキ仕事を進める。納期を必ず守るのはもちろんのこと、いろいろな派閥やグループの中で敵をつくらず、うまく立ち回ることができるということを指し、まさに「仕事ができる有能な人」といった印象です。
ところが、面と向かって(あるいは陰で)「仕事をそつなくこなしているよね」と言われる場合は、必ずしも誉め言葉だけではない可能性もあります。たとえば、こんなふうに思われているかもしれません。
自分の利益しか考えてなさそうで、一生懸命さや熱意が感じられない。しかも、いつも成果はそこそこのレベル止まりで、すばらしいというレベルには至っていない。
仕事ができるのですから、本来は尊敬されるべきなのに、どこか人として魅力に欠けている。それが「仕事をそつなくこなす人」にはびこる残念な印象だといえるかもしれません。
仕事をそつなくこなす人に共通する特徴
仕事をそつなくこなす人は、まぎれもなく優秀な人材です。そんな人にはどのような特徴があるのか、ここで整理しておきましょう。
(1)頭の回転が速い
頭の中でいろいろな状況をシミュレーションし、何が最適かをすばやく見極めて判断を下します。この頭の回転の速さがあるからこそ、なんでもそつなくこなすことができるのです。
(2)客観的に全体を把握できる
主観にとらわれず客観的に全体を把握する力があります。よって、ミスや問題が生じそうなところをあらかじめ察知し、対策をとることができます。
広い視野で物事を多角的に考えることで、より最適なプランニングも可能です。
(3)論理的に考える
「これをするとこうなる」「求める結果を得るためにはこれをやっておく必要がある」というように論理的に考えられることによって、先を予測してムダや漏れのない効率的な計画を立てることができます。
(4)ポイントを押さえる
重要なポイントが何かを見抜く力に優れています。
押さえるべきところはしっかり押さえ、そうでないところは力を抜く。そうやってメリハリを上手につけて時間を効率的に使うので、同じ時間内でも周りの人よりも多くの仕事をこなすことができます。
(5)相手の立場を考える
人それぞれの異なる意見や立場を尊重して、全体としてうまくまとまるように配慮ができます。
また、交渉力があり、相手に納得してもらうように説得することも得意とします。
(6)責任感が強い
仕事に関しては、自分の責任をしっかり果たそうという意識を強く持っています。だからこそ、ダンドリをしっかり考え、進捗管理を徹底して締め切りを確実に守ろうとするのです。
そうやって得られた信用の積み重ねが、「仕事をそつなくこなす人」という評価につながっています。

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