気づけば私も20代半ば。続々と友人の結婚・妊娠報告がSNSに並んでいる。「これが噂の結婚ラッシュか……」なんて気にしないふりをしていても、心の中ではどうしたって気になる。
「自分らしく生きる」と建前では言っていても、私はいつ結婚できるんだろう……と焦ってしまっているのが本音。その一方、仕事でも着実にキャリアやスキルを積んでいかなきゃいけない。
結婚したい。子どもだって産みたい。でも仕事もがんばりたい。すべて手を抜きたくないけれど、どうがんばればいいかわからない。だって、そばにロールモデルとなる女性がいないから。
今回私が取材したのは、コンテンツクリエイター集団・株式会社HUGの取締役を務め、フェミニズムや性などのトピックを取り扱うインディペンデント雑誌『ハイアーマガジン』の編集長としても活躍するharu.さん。
彼女は、大学在学中に『ハイアーマガジン』を、大学卒業後すぐにHUGを立ち上げ、自分らしい人生を歩んでいる(と私は感じている)女性のひとり。
最近では、生理週間を軸に、女性のバイオリズムに寄り添うライフデザインを提案する「EMILY WEEK」とコラボレーションし、穿き心地のよさとファッション性に配慮したサニタリーショーツの開発を行なったことでも話題だ。
そんな彼女に、SNSでも度々話題に上がる「20代女性のロールモデル不在問題」をぶつけてみた。
超直感型の生き方! ロールモデルは作らない
ライターのameriです。今日はよろしくお願いします!
バリキャリかと思いきや、ふんわりやさしい雰囲気のharu.さん
haru.さんは、『ハイアーマガジン』やHUGの立ち上げ、「EMILY WEEK」との取り組みなど、学生時代から今までさまざまな取り組みをされてきていますよね。その際に目標としている人はいたんですか?
それが、今も昔もロールモデルは全然いないんですよ。私は、誰かひとりを目標とするのではなく、まわりにいる、やりたいことに夢中になってがんばっている友人たちを見てやる気をもらうことのほうが多くて。
でも、中学生のころはマイケル・ジャクソンが好きで、表現者になるときは彼を参考にしようと思っていたんですけどね(笑)。
私は、身体表現をしたり歌ったりすることはないんですけど、作品のレベルや人を巻き込む力は、こういう人を参考にしなきゃいけないんだろうなと、中学生ながらに思っていました(笑)。
とんでもない中学生だ……! ちなみに、先ほどおっしゃっていた“刺激を受けた友人”というのは、haru.さんとは違う分野の方もいたんですか?
そうですね。『ハイアーマガジン』では、自分が魅力的だと思うアーティストを取り上げることが多いんですけど、これをはじめたきっかけが「踏ん張っている人や輝いている人のアーカイブがしたいから」でして。
そのうえで、記録するマガジンだけではなく、彼・彼女たちのサポートをしていきたいと考えたこともあり、HUGでアーティストのマネジメント事業もはじめたんですよ。
「型がなければ自分で作ればいい」という考え、かっこよすぎる
ロールモデルは無理に探さなくていい
先ほどharu.さん、ロールモデルがいないとおっしゃっていましたよね。私もお手本にしたい人が全然見つからなくて悩んでいて……。「こうなりたい」と思うロールモデルが身近にいないときって、どうしたらいいのでしょう?
それぞれに違う人生のバックグラウンドがあるから、同じ選択をしても全然違う結果になると思うんですよ。
では、haru.さんのように、まわりにいる友人たちから影響を受けたほうがいいんでしょうか?
どうなんだろう。私は、割と直感で生きている人間なので、あまり先のことを考えられないんです(笑)。
わかります。私もわりと直感型ですし、そういうタイプの女性って多い気がします。
そうですよね。それに加えて、私はそもそも社会で言われている「成功」といわれるものに全然ピンとこなくて。そこにがんばって合わせるよりは、成功・失敗問わず自分の直感で動いた感覚のほうが大切なんですよね。
自分の直感を信じているからこそ、そう言えるのかもしれない
じゃあ、「○年後までに年収アップを目指したい」とか「○歳までに結婚・出産したい」とか、あまり考えていないですか?
そうですね。特に結婚・出産は「できたらいいな」くらい。でも出産に関しては実際に体のリミットってあるじゃないですか。私も子育てはいつかしてみたいなと思っているので、体力があるうちに経験できたら……と、漠然と思っています。
私は直感型だけど、リミットがあることもわかっていて、さらにまわりの友達と比較してしまうから、結婚・出産を焦ってしまうのかもしれません。
でも極端なことを言うと、別に結婚していなくても、自分に経済力と育てる環境さえあれば子どもを産んでもいいと思う。自分ひとりだけじゃなく、複数人のコミュニティで子どもを育ててみたいとも思っています。
そう言われたらたしかに……。haru.さんは、よく言われる「普通のしあわせ」に自分を当てはめていないですよね。
すでにある「しあわせ」というフォーマットに自分を当てはめにいくのではなく、常に自分の直感で進んで、壁にぶつかったときに何がベストかを考えるほうが、私は生きやすいんですよ。
「普通のしあわせ」に捉われないほうが、案外生きやすい
私はもともと、「みんなでこれをしなきゃ」というルールが学生時代からずっと苦手だったんです。
でも、どうにかこの世界で生きていかなきゃいけない。だから、生きていく方法を私なりの形にしてきただけなんです。
自分が新しい道を切り開いていこうなんて、実は思ったことないんですよ。
バリバリ切り開いていかれているんだと思ってました……!
そんなことないんですよ。自分だったらどうしたいかな、ってことを実現してきただけです。
ロールモデルを作ってしまうと、逆に追いつけなかったときに苦しくなってしまいそうですね。
そう! そうなんです。この人の人生がステキだと思って真似したとして、それが実現しなかったときに「自分ってダメなんだ」と思ってしまいそうで。なので、ロールモデルを追うのはあまりよくないのかなと、正直思います。
自分の人生、どう選択する?
人生に迷ってしまうのって、女性の生き方の選択肢が増えてきていることも関係があると思っているんですよね。haru.さんは人生における大きな選択をするときに大切にしている基準はありますか?
「楽しそうかどうか」ですね。話を聞いたときにワクワクするかという基準だけで、ここまで選択してきた気がします。
haru.さんみたいに、自分なりの選択基準を持つことって大事
楽しそうだと思ったら、規模感に関わらず「やってみます」って言っちゃうんですよ。これがすごく大変なんですけど(笑)。
心が動くことって逃したくないですもんね! haru.さんは、どういうときに「楽しそう」と感じるんでしょう?
うーん。たとえば仕事のプロジェクトの場合、一緒に取り組む相手の熱意が伝わったときですね。伝われば伝わるほど、応えたいという気持ちになります。
常にワクワクした人生を送りたい
最後に、haru.さんはこれからどんな人生を送りたいと考えてますか?
うーん……、変わらないもの大切なものはそのまま、変わることに対してあまり恐れずに、いろいろなことに挑戦していく人生でありたいですね。
「自分を大きく見せないこと」「自分に正直でいること」っていうのは、ずっと大切にしているモットーなんです。
取材中も、すごく謙虚に応じてくれたharu.さん
ステキな言葉。人ってどうしても、年齢を重ねるにつれて大きく見せたくなる場面が出てきてしまいますよね。
そうですよね。でも、そこでちょっとでも「自分ってすごいだろう」と見せようとすると、持っている良さや伝えたいことが、全部台無しになってしまうと思っていて。
会社も私自身も変わっていくとは思いますが、根底の部分を常に意識しながら、変わることを恐れずチャレンジしていきたいですね。
まだまだ人生に迷ってばかりの私。そんな私と同い年くらいのharu.さんは、落ち着いていて、芯が通っていて、「ワクワクすること」と「直感」をとことん信じている、ステキな女性でした。
私も、次に何か選択するときには、自分の直感を信じてあげよう。自分を信じて決めた選択は、きっと私をいい方向へと導いてくれるはずだから。
INFORMATION
メーカー×Z世代の「エリス コンパクトガード」プロジェクト
「生理用品らしくないオシャレなパッケージデザイン」という若年層ニーズを捉えた大王製紙のスリムナプキン「エリス コンパクトガード」。生理の悩みに寄り添う活動を続けるharu.、性教育に取り組む大学生の中島梨乃とともに、2020年に若者たちとのミートアップを開催予定。
>プロジェクトの詳細はこちら
(取材・文:ameri、撮影:masaco、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)
※この記事は2020年01月15日に公開されたものです
ameri
2016年より執筆をはじめ、主に美容・恋愛・ウエディングについて書いています。美容とコーヒーとチョコレートをこよなく愛するフリーライター。コスメと触れ合うこと、旅行、カフェ巡りが趣味です。百貨店のコスメフロアによく出没する特徴あり。