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「天才」の特徴と正体。天才になる方法とは

尾池哲郎(工学博士)

天才は二種類いる?

その後社会に出ると、彼と同じようなイメージ先行型の天才に出会うことがありました。そのうち、天才には二種類あるのでは、と感じるようになりました。

大学の時に出会った先述の彼はいつもどこか物憂げで、自分の才能とは別のところに興味を抱いているような人でした。

ところがもう一方の天才は、たしかに同じようにイメージ先行型で、判断も速く、知識も豊富なのですが、自分の才能に酔いしれているところがありました。

2人の天才の違いは、見えている風景をパズルに例えると分かりやすい気がします。

大学で出会った天才は、パズルの完成にしか興味が湧かないようでした。

しかしもう一方の天才は、パズルの完成よりも自分の才能というピースがその風景のどこかにぴったりハマっていくことの方に喜びを感じているようでした。ピースがはまると気持ちがいいし、周りが褒めてくれるともっと気持ちがいい。その喜びが高じて、自分は天才かもしれないと感じているフシもありました。

しかし真の天才とは、大学の時に出会った彼のほうだと思いました。

天才が自分自身を天才と呼ばない理由がよく分かります。「自分の才能」やそれによる「周囲の評価」には興味がないのです。パズルの完成にしか、興味はない。しかもなかなか完成しないパズルに、焦りを感じています。

大学の時の彼が、しばしば一人で寂しげにしていたり、世の天才たちが精神的な病理に悩まされる理由も理解できたような気がしました。彼らはおそらく、できない私以上に、いつまでたっても目標に到達できない自分にいらだっているのです。

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