「抜け感」って一体何? 上手な「抜け感コーデ」の作り方
いつの間にか世の中に浸透した「抜け感」という言葉。ファッション誌をはじめとし、現在ではショップ店員さんも頻繁に使っていますよね。一体「抜け感」とはなんなのでしょうか? ファッションライターの朝日絵美瑠さんに解説してもらいました。
買い物の最中、店員さんから「この服は“抜け感”があってかわいいんですよ~」なんて声をかけられたことはありませんか?
雑誌やWEBの記事でも今や当たり前のように使われている「抜け感」という言葉。
でも、抜け感についてきちんと説明できる人はなかなかいないかもしれませんね。
そんな曖昧になっている抜け感の意味や抜け感コーデの作り方について考えてみましょう。
ファッション誌でもよく目にする「抜け感」とは?
雑誌やWEBのファッション記事では、「抜け感」がオシャレのキーワードとして頻繁に使われていますよね。今や、抜け感を知らないと、時代遅れのファッションになってしまう危険があります。
抜け感についてしっかりと理解すれば、ファッション記事を読むのもこれまで以上に楽しくなるはず。
まずは、抜け感の意味について押さえておきましょう。
抜け感の意味とは?
「抜け感」の使われ方は幅広く、「肌見せで抜け感を出す」というものもあれば、「色で抜け感を意識」と書かれたり、さらには「抜け感のあるシルエット」を紹介しているものもあります。
どれも「抜け感」という雰囲気を伝えていて曖昧に感じますが、共通しているのは、コーディネートのどこかに力が抜けたように感じさせる部分があるかということ。
さらに、コーディネートが重く見えず、軽快さが感じられるかどうかがポイントとなっています。
ただし、力を抜いて軽さを出すとはいっても、野暮ったく見えるのはNG。あくまで大人っぽく品のあるファッションが基本です。
本当に力を抜いているわけではなく、力を抜いているように“見せる”のが重要なのです。
「抜け感」という言葉が生まれた背景
2000年代前半ぐらいまでは、上品で控えめなお嬢様風のファッション、いわゆるコンサバ系のスタイルが持てはやされていました。
しかし、だんだんと「脱・コンサバ」がオシャレのキーワードとなり、2000年代半ばごろのファストファッションの台頭とともにカジュアル志向が高まっていきました。
そして、アメリカ・ロサンゼルス発のセレクトショップ「ロンハーマン」が2009年に日本初出店したあたりから、西海岸風のどこかゆるさを感じるリラックスしたスタイルが圧倒的に支持されるようになったのです。
そんな背景もあって、現在はコーディネートがカッチリと見えすぎないよう、どこかに力を抜いた“隙”を作るのがトレンドとなっています。
その隙のことを、ファッション誌などが「ヌケ(抜け)を作る」と説明するようになり、やがて「抜け感」という言葉として浸透していったようです。
さらに、抜け感という言葉はファッションに限らず、ヘアやメイクを紹介する記事の中でも当たり前に登場するようになっています。
ヘアでは、髪をまとめるときにあえておくれ毛を引き出して無造作に仕上げるのを「抜け感ヘア」として紹介したりします。
メイクでは、バッチリとメイクしたように見えないよう、たとえばアイホールの中央にハイライトを入れてベタッと見えないよう工夫するなど、さまざまな「抜け感メイク」のテクニックが取り上げられています。
そんな風に、現在ではファッションからヘア、メイクまで「抜け感」というキーワードがすっかり浸透しています。
「こなれ感」とのちがい
抜け感と同じように、ファッション誌などでよく目にするキーワードとして「こなれ感」という言葉がありますよね。
まぎらわしいのですが、抜け感とこなれ感は、似ているようで全然違います。
こなれ感とは、オシャレな洋服、もしくはコーディネートをしっかり自分のものとして着こなしていることをいいます。
要は、その日だけ気合いを入れてオシャレしているわけではなく、普段からいろいろな服をセンスよく着こなしているんだろうなと見ている人に想像させられるかどうか。
特に今のトレンドでは、「抜け感」を作ることで「こなれ感」が出せると紹介している記事が多いですね。