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説明下手な人の特徴と原因。改善するためのトレーニング方法

ぱぴこ

仕事で上司や取引先にプレゼンをしたとき、自分の説明がうまく伝わらなくて悩むことはありませんか? この記事では、あなたの説明が相手に理解されない理由や、説明下手を改善するためのコツについて、OLコラムニストのぱぴこさんに解説してもらいました。

「プレゼンが得意」「説明だーい好き!」と胸を張って言える人はどの程度いるのでしょうか。

私も社会人人生が長くなってきましたが、苦手というほどでもないものの、超得意! 任せて! と言えるほどうまいとも言えません。

しかし、仕事をする上で顧客はもとより、自分の上司や自社内においても「プレゼン」は必須、プレゼンまでいかなくても「説明」を避けて通ることはできません。

準備して望んだプレゼンなのにいまいち相手に伝わらず、「伝えたいことが伝わらない」で終わってしまうと、がっかり度は5割増しになりますし、誰かに何かを聞いたり、確認したり、説明したりするときに「わかりにくい」と言われてしまうのも、仕事が積まれたままになる原因になります。

今回は、そんな「説明下手」を改善し、伝えたいことを伝えてスムーズに仕事をするための方法論を考えていきましょう。

説明下手な人の特徴

説明下手な人にはいくつか特徴があります。

(1)説明やプレゼンで思いついたことから話す

説明をする際に大事なことは結論から話すことですが、説明下手な人は時系列はおろか「何を伝えるための説明なのか」も伝えずに話し出すことがあります。

頭の中で思いついたことをそのまま口に出すので、話の流れがぐちゃぐちゃしており、聞き手は何の話題なのか理解できないまま話が進んでいきます。

(2)感情ベースで話をする

自分のその時の気持ちをベースに話をする人も説明下手でしょう。

物事を順序立てて話すことができず自分の感情をメインで話そうとするので、主観が混ざり過ぎて何が起きたのかの実態をつかむことができなくなります。

(3)主語や目的語がない

説明下手な人は会話の中で主語や目的語が抜けてしまいがちです。

主語や目的語がないと何の話をしているのか、誰の話なのかが伝わりにくくなり、会話もあいまいになりがちです。

また、相手に「何のことだろう?」と考えさせる負担が増えてしまいます。

説明下手になる理由

「言いたいことが伝わらない」は、大きくわけて2つの原因があります。

1.説明の意図・目的がわからない
2.表現が適切でないため理解するのが難しい

どちらも「言いたいことが伝わらない」という表現に集約されますが、それぞれ原因がちがうため、改善策もちがいます。

まずは自分の「言いたいことが伝わらない」ということがどちらの原因で発生しているのか? を分解しましょう。

ただし、多くの説明で「何が言いたいんだ?」と相手に思わせてしまう要因は、大前提である「目的の共有ができていないところから話しはじめてしまう」に起因します。

つまり、原因のうちの「1.説明の意図・目的がわからない」です。

1がきちんと共有された上で、「2.表現が適切でないため理解するのが難しい」が発生していた場合は、「もっとわかりやすく話してくれたらより理解が深まるのに」といったクオリティの問題で処理され、いわゆる「わかりやすい話し方」といったテクニックの問題になります。

ただ単純に「表現がわかりにくい」場合は「●●ってこと?」と聞いている側からの質問によって補足する機会ができるので、クリティカルな問題としての「説明下手」の原因は1であると言えます。

克服したい! 説明下手の改善方法

原因を2つに分解した上で、どうしたら「説明下手」を解決できるのか? を考えてみましょう。

(1)説明範囲を明確にする

これ以上でもこれ以下でもないのですが、「自分が何をどんな目的で話すか」の範囲を明確にし、その合意を取りましょう。

これは説明する対象が顧客・上司・部下に限らず、誰かに向けて説明するときの大前提です。

「そんなこと当たり前では?」と思うかもしれませんが、意外と人は「Aについて」というお題目を与えられたときの解釈がズレます。

しかも、だいたい人は「自分」を基準に考えるため、100人いれば100通りの「Aについての●●」の●●(目的)部分が生まれる可能性があります。

同じ「Aについて」というお題目でも、「Aについての大きさ」「Aについての難易度」「Aについてのやり方」の説明はそれぞれちがったものになります。

そのため、「範囲の限定と目的の共有」ができていない人の説明は「何について話してるの?」という疑問がわいてしまい、話に集中できないため、わかりにくいと感じられてしまいます。

まずは「何について」の話をするのかという、説明範囲を明確にして受け手側と合意しましょう。

これは、説明側が自由に設定できるという強みでもあります。

準備不足や不安がある部分は「対象外」としてしまい、「今から話すのはこの範囲についての話です」と明確に設定するだけで、8割のわかりにくさは解消されます。

(2)主語を明確にして話す

説明がわかりにくい人の話は「誰が?」という主語が抜けていることが多いです。

受け手側が知りたいのは「誰が」「何を」「どうした」というSVOの基本構文です。

説明が下手な人は、頭の中にある自分の理解をアウトプットするときに、自分がわかっている部分をはしょってしまう傾向があります。

その最たるものが「主語」です。

顧客に説明する場合は「弊社」「御社」のどちらの話なのか、上司へ話す場合は「自分」と「他者」のどちらの話なのか、はたまた「社」などの単位の話なのかを明確にして話しましょう。

(3)優先順位をつけて話す

人は自分が知っていること、把握していることは「わかっている」ということを示すためにも伝えたくなってしまう生き物です。

しかし、「AもBもCも……、あ! さらにDもあるんですよ!」という形であれもこれもと話してしまうと「で? 結局どれが一番大事なの?」と相手が疑問を持ってしまいますし、何が聞くべき話なのかがボヤけてしまいます。

説明がわかりにくい人は、「話の本筋以外の枝葉の話が多い」傾向があります。

伝えたいことは「いろいろなことを知っている」ということではないはずです。

そのため、「説明したい事柄の優先度」は常に意識して話しましょう。

(4)相談か、報告か、説明かを明確にする

これは主に先輩や上司に対して話すときですが、自分がしたいのが「相談・報告・説明」のいずれかなのかを最初に明確にしましょう。

(1)で記載した「説明範囲を明確にする」に近いですが、特に上司と会話する場合は、「どんな種類のコミュニケーションをしたいのか」を最初に伝えるのは重要です。

「ちょっと相談したい」というゴール感のない会話のつもりが、「で? この打ち合わせの目的って何?」などという別の種類のツッコミが入る場になり、当初の目的が果たせなくなる……という悲しいイベントが発生したこと、あなたにもありませんか?

こういったことが続くと「あいつは何を言いたいのかよくわからない」という評価を受けてしまう可能性があるので、上長に対してはコミュニケーション種別を最初に伝えましょう。

(5)本を読んで参考にする

上手に説明できるようになるためには自分の問題点を明確にして、論理的に考えられるようになることも大事です。

そんな時におすすめなのがノウハウが詰まった本を読むことです。

情報整理の仕方や実体験、具体的な対処法がまとめられている本を読むことで人に伝える力も向上するでしょう。

説明上手になるためにおすすめの本

『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』

会議やプレゼン、報告など、仕事におけるさまざまな場面で大切な「自分の思いを言葉にする力」を身につく本。語彙力不足や表現力不足を改善するトレーニング方法がわかりやすく紹介されています。

『一番伝わる説明の順番』

「話し方」や「内容」を変えるのではなく、「どの順番で話すか」を変えるだけで、相手に伝わりやすくなるということを教えてくれる本。説明のために何が必要なのか、どう話せばいいのか分からない初心者にもぴったりな1冊です。

【番外】説明下手な上司との付き合い方

最後に番外編として、説明下手な人との付き合い方について紹介します。

相手が上司や先輩であれば、説明が分かりにくいとは伝えにくいもの。そんな時は以下の2点を試してみてください。

・相手の説明をメモする
・最終的なすり合わせを行う

まずはメモをしながら相手の話を聞きましょう。メモを取ることで作業の流れや大事なポイントをまとめることができますし、「言った言わない」の不毛なやり取りを防ぐことができます。

そして、話をあらかた聞いたら、内容を整理してすり合わせを行いましょう。

説明下手な人の場合、言っていることと考えていることが違う場合があります。なので「〇日までにこの作業をすればよいですか? 作業のやり方はこれで良いですか?」と具体的な行動をもとに確認作業を行いましょう。

それである程度の意思のズレを防ぐことができますし、ミスも起こりづらくなるでしょう。

表現や話し方よりも、いかに「範囲を決められるか」がキモ

多くの人は、「説明がうまくなりたい」と思ったときに、テンションが高く話せたり、その場を盛り上げることができたりする、いわゆるコミュニケーション能力の高低を考えてしまい、「自分には苦手だし」とあきらめがちです。

しかし、「上手に話す」とは、最後のトッピングの話であって土台の話ではありません。

「説明がうまい」とは華々しいプレゼンを決めて拍手喝采を受けることではなく、「自分が伝えたいことを、きちんと相手に受け取ってもらう」ということです。

多少ぎこちなくても、これができていれば成功といえますし、盛りに盛った演出をしても肝心のメッセージが伝わらなければ失敗です。

そして「伝えたいことを伝える」ためには、「範囲を決める」ということが重要なのです。

何について話すのか、どの程度話すのか、どんな目的で話すのか。

ありとあらゆる角度で自分が伝える「範囲」を合意してから話すことを意識しましょう。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです

※この記事は2019年08月30日に公開されたものです

ぱぴこ (外資系ときどき激務OLコラムニスト)

外資系ときどき激務OLコラムニスト。オシャレとズボラの狭間に生息し、ストレスを課金で潰すことに余念がない。趣味はNetflix、お酒、豚を塩漬けにすること。目標はゆとりのある生活(物理)。
Twitter:@inucococo

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