料理上手になるには? プロが教える上達メニュー&常備調味料
“料理上手な人はモテる”とは言いつくされた言葉ですが、実際、手際よく食材を調理してビシッと味を決められる人には、同性の目からもセンスや魅力を感じます。料理上手になるには、なにかコツがあるのでしょうか? 今回は料理家・フードコーディネーターの両角舞さんに、料理が上達するポイントを教えていただきました。
“料理上手”と聞くと、どんな人を想像しますか? レストランのような華やかな料理や、手間や時間をかけた料理を作れる人、と答える人も多いのではないでしょうか?
もちろん、それもステキですが、私は“旬の素材をおいしく調理できる人”が、本当の料理上手だなと感じます。
旬の素材を引き立てることができれば、凝ったことをしなくても十分おいしくなります。何より季節の移り変わりを感じながら、生活している女性という意味でも魅力的ですよね。
まずは、料理上手になるコツを知る前に、料理が苦手な人がやりがちなことを考えていきましょう。
料理が苦手な人がやりがちなこと。“~すぎ”
あるあるのひとつは、“~すぎ”という加減の失敗。やりすぎ、多すぎもあれば、少なすぎて物足りないということもあります。
火が強すぎ
例えば、火加減を気にせず、調理をする人って意外と多いんですよ。火が強すぎると、味や焼き加減の失敗につながります。
スープやカレーなどをつくるときも、いったん沸騰させたら、あとは中火でOK。強火のまま続けると、煮詰まって味が変わってしまいます。
混ぜすぎ・さわりすぎ
“混ぜすぎ”“さわりすぎ”という人も少なくないと感じます。
炒めたり、煮込んだりしている間、何度も具材にさわったり、かき混ぜたりしている記憶はありませんか? 混ぜすぎはフライパンや鍋の温度を下げるので、うまく火が入らず食感を失う原因に。また、さわりすぎると柔らかい具材がくずれて、見た目も美しくなくなります。
焼き物は、焼き目が決め手になることもあります。でも、あまりに具材にさわったり、何度もひっくり返したりしていると、おいしい焼き目はできません。ある程度、“ほっておく”ことも、料理をおいしくする秘訣なんです。
少なすぎ
逆に“少なすぎ”の失敗の原因は、下準備にあることが多いかもしれません。
例えば、肉を焼くときに事前にふる塩・コショウが足りなかったり、唐揚げを揚げる前にタレをもみこむ作業が足りず、味がぼやけてしまったり。
サラダのレタスも、買ってきたままを使うと、食感があまりありません。水を吸わせてシャキッとさせるだけで、ずいぶん味が変わります。料理の味が理想通りにならない、何かが足りないと感じたときは、“~すぎ”をうたがってみてください。
食材のおいしい組み合わせを知るべし
そして、“旬の食材をおいしく料理”するためには、食材のおいしい組み合わせを知っているかがポイント。
じつは、初心者の方にはコンビニのお惣菜っていい教材になるんです。ベーシックでまちがいのない組み合わせがされているので、ときどき観察すると、自然と基本が学べますよ。
外食には、料理の腕を上げるヒントがたくさん!
外食のときにおいしかった組み合わせを、自分の中にインプットしておくのもいいですね。私もレストランなどに行ったときは、食材の組み合わせを観察して、意外な取り合わせを見つけたら、家で試してみることもあります。
ほかにも、外食は料理の腕を上げるヒントがたくさん。例えば、食感がいいなと思ったら切り方を覚えておくと、家でつくるときの参考になります。
炒めものや和え物は、具材とソースの量のバランスを見ておきましょう。例えば、ペペロンチーノはオイルひたひたではないけれど、カルボナーラならお皿に多めのソースが広がっていますよね。そういうバランスを把握することで、おいしくつくるヒントが得られると思います。
お店の人への質問は、失礼なことではない
私の場合は、お店の人にズバリ聞くこともあります。料理家になる前は、レストランのコックとして働いていたのですが、お客さまに作り方を聞かれるのはうれしいことでした。
レストランのお料理って企業秘密のように感じて、聞きづらいと思い込んでいませんか? でも、「すごくおいしかったので、自分でも挑戦してみたいんですけど、家庭でもつくれますか?」と言えば、ていねいに教えてくれることも多いと思います。聞いたら、味を忘れないうちに挑戦してくださいね。
料理上手になるためにマスターしたいメニュー
次は、料理上手になるためにマスターしたいメニューのおはなしです。
おすすめメニュー① 野菜炒め
あくまで、おすすめのひとつですが、初心者の人はフライパンだけでできる野菜炒めなんていかがでしょうか。
食材をどれくらいの大きさにカットするといい食感になるのか、どういう食材の取り合わせだとおいしいのか、また、火を入れると水気が出る具材、油を吸いやすい具材など、基本的なことをつくりながら体感できます。いろんな野菜を使って、何度もつくるうちに自分の“ベスト野菜炒め”ができると楽しくなりますよ。
おすすめメニュー② カレーのアレンジ
基本的な料理はつくれるという方なら、カレーのアレンジを楽しむのがおすすめ。
例えば、ルーを使わず、玉ねぎをあめ色に炒めるところからはじめたり、スパイスを調合してみたり。カレーは奥が深いので、どんどんおもしろくなっていくと思います。また、野菜によって出るうまみも変わるので、いろんな具材で挑戦してみてくださいね。
おすすめメニュー③ 餃子
餃子も、個人的には挑戦しがいのある料理だなと感じます。具材のバリエーションも豊富ですし、包み方や焼き方でいろんな食感や味が楽しめます。何より、“やりきった感を味わえる”のもポイントですよね。
使いどころ満載! 常備しておくといい調味料
最後は調味料のおはなしをしましょう。
めんつゆ、白だしはテッパン
テッパンですが、めんつゆと白だしは常備しておきたいもののひとつ。なかなか手間をかけられない人も、すでにだしの入った調味料を使えば、おいしく仕上げることができます。
昔もいまも「女性に作ってほしい手料理」の上位に入る肉じゃがも、めんつゆがあれば、まちがいのない味になります。白だしなら、みそ汁のだし代わりにちょっと入れたり、おひたしに少し加えたりするだけで味が変わりますよ。
クリアタイプのフレンチドレッシング
ちょい足しで、料理が別ものになる調味料の代表格はごま油ですが、私のおすすめはクリアタイプのフレンチドレッシング。
ポテトサラダなどマヨネーズ系のサラダに少し加えると、うまみと酸味が出て、グッと味がひきしまります。お刺身やスモークサーモンを、さっとフレンチドレッシングで和えれば、手軽に魚介のマリネもできますよ。
ニンニクしょうゆのつくり置きも便利
少し手間をかけられるなら、ニンニクしょうゆをつくり置きしておくと便利。生のニンニクを輪切りして、しょうゆに漬けこんでおくだけなので簡単です。炒めものの最後に少したらすと、風味が一気に変わっておいしくなります。
やっぱり“自分の大好物”に挑戦するのが一番の近道
今回は、私のおすすめとしてメニューや調味料を挙げましたが、できることなら“自分の大好物”に挑戦するのがいちばん。好きなもののほうが作りがいがありますし、おいしくできたときの喜びも大きくなります。
いまは料理に苦手意識がある人も、「これだけは、おいしくできる!」という得意料理がひとつできると、自信や楽しみにつながると思いますよ。
(取材・文:宮浦彰子)
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※この記事は2019年08月07日に公開されたものです